第二章
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フリードさんが帰ってきた
この一年ずっとずっと待っていた
時にはスピネルさんに彼の事は忘れろと言われたり、ネモや先輩にも沢山励まされた
あたし自身何度も心が折れそうになり夕日が沈む度に涙が出そうになった
あぁ…今日も帰ってこなかった
明日こそ会えるかな……って
このまま大人になって彼を忘れなきゃいけないのかなって…
そんな時は彼の家にお邪魔して掃除を理由にフリードさんの存在を感じに遊びに行った
彼の仕事部屋やキッチン
二階の寝室やベランダ
色んな場所に彼の存在を感じられ少しホッとした
そう言えばベッドの下に会ったエッチな本には驚いたなぁ
皆綺麗なお姉さんで胸も大きくて自分の胸を見比べてはショックを受けたっけ
フリードさんとの再会はあたしが想像していたのとはまったく違っていた
突然あたしの前に現れていつものようにニッコリと笑いながら迎えに来るかと思ったのに、彼の側には綺麗なお姉さんが二人もいて
あたしはウォーグル達と遊んでいたせいで髪も服もボロボロ
こんな姿で会いたくなかった
もっと綺麗にして恋人っぽく彼の胸に飛び込みたかったのに
汚れた自分の顔を見せるのも嫌であたしは彼から視線を逸らした
「フリードの家があるなら今日はそこに皆で泊まったらいいんじゃない?」
「それナイス!宿代も浮くし」
「はぁっ?なんでお前らを泊めなきゃならねぇんだよ!」
オリオさんとモリーさんの提案にフリードさんはムキになって反対したけど結局今夜はフリードさんの家に泊まる事になったみたい
*****************
その夜ー
フリードの家に集まった仲間達…と言っても約二名は飛行船で留守番をしているらしいがオリオにモリー
そしてマードックは彼の家に泊まる事にし今夜は庭でバーベキューをした
『マードックさん、良かったらコレも使ってください』
大きな皿に盛った野菜や肉
それらをマードックへと渡すと彼は嬉しそうに笑顔を向けてくれた
「おっ!サンキュ!悪いな急に始めた事なのに食材別けてもらって」
『いえいえ、母も是非皆さんに食べて欲しいと言ってましたから』
どうやらマードックは飛行船でも食事を作る役割をしているようだ
先程から手際が良くオリオ達も彼に頼っている
「俺が言うのも変だがナマエも沢山食べてけよ?」
『ふふ、ありがとうございます』
ナマエはふと視線を感じ振り返ると、そこにはバーベキューの鉄板を挟んで向こう側から彼女を見つめるフリードと視線がぶつかった
自分から見てきた癖にフリードは目があった事に驚きギクリと肩を鳴らし、ぎこちなく声をかける
「ぁ、ナマエも食わないか?肉まだ沢山あるし」
肉だけ刺さった串を軽く振って見せるがナマエの反応は薄く
『結構です、オリオさん飲み物貰ってもいいですか?』
「いいよ!てかこっちおいでよ!一緒に飲もう!」
オリオとモリーの元へと行ってしまった恋人を目で追いかけるフリード
彼に気がついたマードックは然りげ無く隣に並びフリードに問いかけた
「ナマエとは仲が悪いのか?」
「…………そんなわけないだろ?」
「そうか?なんか避けてるっつーかお前にだけ素っ気ない気がするが」
気にしている事をマードックは悪気もなく口にしフリードの胸をチクチクと刺していく
「はぁぁ…分かんねぇ」
自分達は確かに恋人同士だというのに何故ここまで冷たいのか分からない
一年という長い月日で恋心が消えてしまったのだろうか
もしくは考えたくないが他に男ができたのか
「(冗談じゃねぇ……今更お前を他の男にくれてやるつもりはないぜ)」
眉間にシワを寄せながらフリードはじっと彼女だけを見つめ隙ができるのを待ち続けた
バーベキュー中は女性達が彼女を離さず断念したが、食事が終わりそれぞれがフリードの家で寝床を作ろうとした時
『じゃあ…あたしはこれで失礼しますね』
「え?帰っちゃうの?」
「一緒に泊まってきなよ一階は私らだけで使うつもりだし」
リビングに布団を敷くオリオとモリーに引き止められたがナマエは困ったように笑い両手を左右に振った
『あたしの家すぐそこですから』
そそくさと逃げるようにフリードの家を出ようとすると後ろから誰かが駆け寄ってきた
足音の気配にナマエは振り向かなくても相手が誰か分かり体を強張らせてしまう
「送る」
短くそう言ったのはフリードだった
彼はナマエが断れないように彼女の横を通り過ぎる先に玄関を出て外で待ちナマエは一度喉を上下に揺らし同じく外へと出ていった
外はすっかり暗く風に乗ってバーベキューの後の火の匂いと焦げた肉の匂いが微かに鼻を掠めた
フリードは何も言わず先に歩き出し家から少し離れると草花の爽やかな匂いが二人を包んだ
コンクリートではない雑草の生えた土の道はよく二人がお互いの家を行き来した道
月の光で見えるフリードの大きな背中をチラリと見たナマエは胸を締めつけられ口をきゅっと結んだ
会いたかった相手が目の前にいる
だが彼の側には既に自分の他に女性がいた
『(オリオさんとモリーさん…どっちも素敵な人だった、きっと二人のどっちかがフリードさんの恋人だよね?あんなに仲がいいんだもん)』
会えた嬉しさと好きな人の側に見えた別の女性の影に嫉妬し結果的にフリードを避けてしまった
バーベキュー中もオリオ達はフリードと昔からの付き合いのように仲がよく間に入れない程だった
会話に入れない事も何度かあり
自分の知らない空白の時間に悲しみを覚えてしまう程に…
『(どうしよう、このままじゃ余計に嫌われる…何か言わなきゃいけないのに聞くのが怖い)』
もし彼女達のどちらかが恋人だと言われたら…明日から何を頼りに生きればいいのか分からない
一人困惑していると目の前を歩いていたフリードが突然足を止めた
『フリードさん?』
まだ家は見えない
こんな草原しかない場所に何か用事でもできたのか
不思議そうに彼の後ろ姿を見上げるとフリードはゆっくりと振り向き月のような金色の瞳をこちらへと向けた
「……ナマエ、お前他に好きな奴でもできたのか?」
細められた瞳と少し怒りを帯びた低い声
突然の事に驚きナマエは質問に質問で返してしまう
『…え?なんで突然そんな事』
「いいから答えろ…他に男ができたのか?」
どうしても聞きたい
離れた距離を縮めるように詰め寄る彼はナマエの肩を両手で掴み高い位置から見下ろした
責めるような態度にナマエは恐怖より怒りを覚えムキになってしまう
『いません!いるわけないです!』
「っ!ならなんで俺を無視するんだ!俺はずっとお前に会える日を待ちわびていたのに…お前は違うのかよ!」
『あたしだって!ずっと!……ずっと会いたかったですっ…でも…フリードさんは他にも恋人が…』
「恋人?」
『オリオさん…モリーさん…っ』
自分で言った言葉にショックを受けナマエは顔を歪めてしまう
彼と離れ離れになってからずっと我慢してきた
アカデミーでの学生からの嫌がらせも旅先での辛い事もフリードに会う事を夢みて耐えてきた
我慢しすぎたのかどっと胸に押し寄せた感情を止められずナマエはポロポロと涙を流してながら震える口を動かした
『本当は…会いたかったっ…声が…聞きたかった、でも声聞いたら…余計会いたくなるし…困らせたくないし…っ、で…でもっ…寂しい…怖くて…あたひっ…』
喉奥が狭くなり勝手に震えて上手く喋れない
もっと言いたい事があるというのに
言葉にできず目元を何度も手で拭っていると肩を掴んでいた彼の手が静かに離れ
代わりに涙を拭うナマエの両手を掴み顔から降ろさせると
唇に柔らかい物が突然触れた
『っっ!』
久しぶりにそこに触れた物
視界いっぱいに見える彼の顔
唇に触れた物が彼の口をだと分かった頃、フリードは唇をゆっくりと離し小さく笑った
「全く…ヒヤヒヤさせやがって…何勘違いしてんだ?」
『ん…え?』
「あいつらはただの仲間だ、あの二人が恋人だなんでゾッとするぜ」
片眉を吊り上げて意地悪く笑う彼はまだ涙を流す彼女の頬を手の平で拭い、優しく温かい手で包みこんだ
「俺の事をこんなにも想って泣いてくれる可愛い恋人がいるのに浮気なんてするわけないだろ?」
『っ…〜〜っ…ぅ、う…あ…』
喉が震え声を出そうとし、また熱い涙が溢れてしまう
悲しみではなく今度は嬉し泣きだった、ナマエは声に出せない分必死に伝えようと彼の胸元の服をそっと掴みフリードも応えるように彼女の体を自分の胸の中へと迎え入れた
「長い事待たせて悪かった…もう二度と離れねぇ」
『ぅ…ん…』
大好きな彼の匂いと服越しに感じる硬い胸板
背中に回された逞しい腕の感触に安心感を感じつつ鼻を啜り彼女は涙を流しながらも嬉しそうに笑っていた
その気配にホッとしたフリードは彼女の頭に頬を擦り付け少しフザケたような甘えた声を出す
「言っとくが…離してくれって言っても離さねぇからな?覚悟しとけよ?俺は結構独占欲強いし嫉妬深いからな」
『ん、ふ…ふふっ、そんなに想ってくれるなら…嬉しいっ』
「おう!これから嫌って程味あわせてやるよ…お前をどんなに愛してるか……な?」
胸の中で顔を上げた彼女の頬は濡れていた、月の光に照らされ潤んだ瞳が美しく輝きフリードは自然と背中を屈め顔を傾けさせ
ナマエも応えるように顔を少し傾けると二人は鼻先を掠めさせどちらと無く唇に触れた
ちゅっ…っ…
「……ん」
『…はぁ…っフリードさん』
唇と唇が離れる瞬間小さな音が鳴り胸が高鳴る
胸の中にすっぽりと入る小さな恋人
逞しい体に蜂蜜のような美しい瞳を持つ恋人
自分の恋人が帰ってきた事をやっと実感し愛しさが溢れてしまう
「ナマエ…もう一度…いいか?」
『………ん…あたしも、もっとしたい』
「……その言い方は反則」
『?』
触れたばかりだというのに唇が寂しくて
相手の温もりをもう一度感じたくて
見つめ合う二人はまた唇を重ね暫く触れるだけの可愛らしいキスを楽しんだ
この一年ずっとずっと待っていた
時にはスピネルさんに彼の事は忘れろと言われたり、ネモや先輩にも沢山励まされた
あたし自身何度も心が折れそうになり夕日が沈む度に涙が出そうになった
あぁ…今日も帰ってこなかった
明日こそ会えるかな……って
このまま大人になって彼を忘れなきゃいけないのかなって…
そんな時は彼の家にお邪魔して掃除を理由にフリードさんの存在を感じに遊びに行った
彼の仕事部屋やキッチン
二階の寝室やベランダ
色んな場所に彼の存在を感じられ少しホッとした
そう言えばベッドの下に会ったエッチな本には驚いたなぁ
皆綺麗なお姉さんで胸も大きくて自分の胸を見比べてはショックを受けたっけ
フリードさんとの再会はあたしが想像していたのとはまったく違っていた
突然あたしの前に現れていつものようにニッコリと笑いながら迎えに来るかと思ったのに、彼の側には綺麗なお姉さんが二人もいて
あたしはウォーグル達と遊んでいたせいで髪も服もボロボロ
こんな姿で会いたくなかった
もっと綺麗にして恋人っぽく彼の胸に飛び込みたかったのに
汚れた自分の顔を見せるのも嫌であたしは彼から視線を逸らした
「フリードの家があるなら今日はそこに皆で泊まったらいいんじゃない?」
「それナイス!宿代も浮くし」
「はぁっ?なんでお前らを泊めなきゃならねぇんだよ!」
オリオさんとモリーさんの提案にフリードさんはムキになって反対したけど結局今夜はフリードさんの家に泊まる事になったみたい
*****************
その夜ー
フリードの家に集まった仲間達…と言っても約二名は飛行船で留守番をしているらしいがオリオにモリー
そしてマードックは彼の家に泊まる事にし今夜は庭でバーベキューをした
『マードックさん、良かったらコレも使ってください』
大きな皿に盛った野菜や肉
それらをマードックへと渡すと彼は嬉しそうに笑顔を向けてくれた
「おっ!サンキュ!悪いな急に始めた事なのに食材別けてもらって」
『いえいえ、母も是非皆さんに食べて欲しいと言ってましたから』
どうやらマードックは飛行船でも食事を作る役割をしているようだ
先程から手際が良くオリオ達も彼に頼っている
「俺が言うのも変だがナマエも沢山食べてけよ?」
『ふふ、ありがとうございます』
ナマエはふと視線を感じ振り返ると、そこにはバーベキューの鉄板を挟んで向こう側から彼女を見つめるフリードと視線がぶつかった
自分から見てきた癖にフリードは目があった事に驚きギクリと肩を鳴らし、ぎこちなく声をかける
「ぁ、ナマエも食わないか?肉まだ沢山あるし」
肉だけ刺さった串を軽く振って見せるがナマエの反応は薄く
『結構です、オリオさん飲み物貰ってもいいですか?』
「いいよ!てかこっちおいでよ!一緒に飲もう!」
オリオとモリーの元へと行ってしまった恋人を目で追いかけるフリード
彼に気がついたマードックは然りげ無く隣に並びフリードに問いかけた
「ナマエとは仲が悪いのか?」
「…………そんなわけないだろ?」
「そうか?なんか避けてるっつーかお前にだけ素っ気ない気がするが」
気にしている事をマードックは悪気もなく口にしフリードの胸をチクチクと刺していく
「はぁぁ…分かんねぇ」
自分達は確かに恋人同士だというのに何故ここまで冷たいのか分からない
一年という長い月日で恋心が消えてしまったのだろうか
もしくは考えたくないが他に男ができたのか
「(冗談じゃねぇ……今更お前を他の男にくれてやるつもりはないぜ)」
眉間にシワを寄せながらフリードはじっと彼女だけを見つめ隙ができるのを待ち続けた
バーベキュー中は女性達が彼女を離さず断念したが、食事が終わりそれぞれがフリードの家で寝床を作ろうとした時
『じゃあ…あたしはこれで失礼しますね』
「え?帰っちゃうの?」
「一緒に泊まってきなよ一階は私らだけで使うつもりだし」
リビングに布団を敷くオリオとモリーに引き止められたがナマエは困ったように笑い両手を左右に振った
『あたしの家すぐそこですから』
そそくさと逃げるようにフリードの家を出ようとすると後ろから誰かが駆け寄ってきた
足音の気配にナマエは振り向かなくても相手が誰か分かり体を強張らせてしまう
「送る」
短くそう言ったのはフリードだった
彼はナマエが断れないように彼女の横を通り過ぎる先に玄関を出て外で待ちナマエは一度喉を上下に揺らし同じく外へと出ていった
外はすっかり暗く風に乗ってバーベキューの後の火の匂いと焦げた肉の匂いが微かに鼻を掠めた
フリードは何も言わず先に歩き出し家から少し離れると草花の爽やかな匂いが二人を包んだ
コンクリートではない雑草の生えた土の道はよく二人がお互いの家を行き来した道
月の光で見えるフリードの大きな背中をチラリと見たナマエは胸を締めつけられ口をきゅっと結んだ
会いたかった相手が目の前にいる
だが彼の側には既に自分の他に女性がいた
『(オリオさんとモリーさん…どっちも素敵な人だった、きっと二人のどっちかがフリードさんの恋人だよね?あんなに仲がいいんだもん)』
会えた嬉しさと好きな人の側に見えた別の女性の影に嫉妬し結果的にフリードを避けてしまった
バーベキュー中もオリオ達はフリードと昔からの付き合いのように仲がよく間に入れない程だった
会話に入れない事も何度かあり
自分の知らない空白の時間に悲しみを覚えてしまう程に…
『(どうしよう、このままじゃ余計に嫌われる…何か言わなきゃいけないのに聞くのが怖い)』
もし彼女達のどちらかが恋人だと言われたら…明日から何を頼りに生きればいいのか分からない
一人困惑していると目の前を歩いていたフリードが突然足を止めた
『フリードさん?』
まだ家は見えない
こんな草原しかない場所に何か用事でもできたのか
不思議そうに彼の後ろ姿を見上げるとフリードはゆっくりと振り向き月のような金色の瞳をこちらへと向けた
「……ナマエ、お前他に好きな奴でもできたのか?」
細められた瞳と少し怒りを帯びた低い声
突然の事に驚きナマエは質問に質問で返してしまう
『…え?なんで突然そんな事』
「いいから答えろ…他に男ができたのか?」
どうしても聞きたい
離れた距離を縮めるように詰め寄る彼はナマエの肩を両手で掴み高い位置から見下ろした
責めるような態度にナマエは恐怖より怒りを覚えムキになってしまう
『いません!いるわけないです!』
「っ!ならなんで俺を無視するんだ!俺はずっとお前に会える日を待ちわびていたのに…お前は違うのかよ!」
『あたしだって!ずっと!……ずっと会いたかったですっ…でも…フリードさんは他にも恋人が…』
「恋人?」
『オリオさん…モリーさん…っ』
自分で言った言葉にショックを受けナマエは顔を歪めてしまう
彼と離れ離れになってからずっと我慢してきた
アカデミーでの学生からの嫌がらせも旅先での辛い事もフリードに会う事を夢みて耐えてきた
我慢しすぎたのかどっと胸に押し寄せた感情を止められずナマエはポロポロと涙を流してながら震える口を動かした
『本当は…会いたかったっ…声が…聞きたかった、でも声聞いたら…余計会いたくなるし…困らせたくないし…っ、で…でもっ…寂しい…怖くて…あたひっ…』
喉奥が狭くなり勝手に震えて上手く喋れない
もっと言いたい事があるというのに
言葉にできず目元を何度も手で拭っていると肩を掴んでいた彼の手が静かに離れ
代わりに涙を拭うナマエの両手を掴み顔から降ろさせると
唇に柔らかい物が突然触れた
『っっ!』
久しぶりにそこに触れた物
視界いっぱいに見える彼の顔
唇に触れた物が彼の口をだと分かった頃、フリードは唇をゆっくりと離し小さく笑った
「全く…ヒヤヒヤさせやがって…何勘違いしてんだ?」
『ん…え?』
「あいつらはただの仲間だ、あの二人が恋人だなんでゾッとするぜ」
片眉を吊り上げて意地悪く笑う彼はまだ涙を流す彼女の頬を手の平で拭い、優しく温かい手で包みこんだ
「俺の事をこんなにも想って泣いてくれる可愛い恋人がいるのに浮気なんてするわけないだろ?」
『っ…〜〜っ…ぅ、う…あ…』
喉が震え声を出そうとし、また熱い涙が溢れてしまう
悲しみではなく今度は嬉し泣きだった、ナマエは声に出せない分必死に伝えようと彼の胸元の服をそっと掴みフリードも応えるように彼女の体を自分の胸の中へと迎え入れた
「長い事待たせて悪かった…もう二度と離れねぇ」
『ぅ…ん…』
大好きな彼の匂いと服越しに感じる硬い胸板
背中に回された逞しい腕の感触に安心感を感じつつ鼻を啜り彼女は涙を流しながらも嬉しそうに笑っていた
その気配にホッとしたフリードは彼女の頭に頬を擦り付け少しフザケたような甘えた声を出す
「言っとくが…離してくれって言っても離さねぇからな?覚悟しとけよ?俺は結構独占欲強いし嫉妬深いからな」
『ん、ふ…ふふっ、そんなに想ってくれるなら…嬉しいっ』
「おう!これから嫌って程味あわせてやるよ…お前をどんなに愛してるか……な?」
胸の中で顔を上げた彼女の頬は濡れていた、月の光に照らされ潤んだ瞳が美しく輝きフリードは自然と背中を屈め顔を傾けさせ
ナマエも応えるように顔を少し傾けると二人は鼻先を掠めさせどちらと無く唇に触れた
ちゅっ…っ…
「……ん」
『…はぁ…っフリードさん』
唇と唇が離れる瞬間小さな音が鳴り胸が高鳴る
胸の中にすっぽりと入る小さな恋人
逞しい体に蜂蜜のような美しい瞳を持つ恋人
自分の恋人が帰ってきた事をやっと実感し愛しさが溢れてしまう
「ナマエ…もう一度…いいか?」
『………ん…あたしも、もっとしたい』
「……その言い方は反則」
『?』
触れたばかりだというのに唇が寂しくて
相手の温もりをもう一度感じたくて
見つめ合う二人はまた唇を重ね暫く触れるだけの可愛らしいキスを楽しんだ