第二章
夢小説設定
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「ジムチャレンジ……ですか?」
カチャカチャと鳴る食器
生物準備室には今はジニアはおらずスピネルとナマエだけだった
『(お茶をいれてるだけなのに、なんかカッコいいよねスピネルさんて)』
出会ってから何度も彼の元に訪れて来たがスピネルの容姿や仕草にはいつも見惚れるものがあった
スーツ姿でお茶を準備する姿はちょっとした執事のようであり、気品が溢れている
教師達とも生徒達とも違った雰囲気を纏わせる彼はミステリアスでありついじっと見てしまいそうになりナマエは慌てて話を続けた
『はい!準備ができ次第出発するので…勝手とは思いますがお手伝いは今日で終わりにしたいんです』
校長の許可を得たナマエは旅の準備を始める為暫く会えない事をスピネルに話した
ポケモンの研究の為とはいえ普段から気を使ってくれている彼には言うべきだと思い声をかけたが
お茶を用意していたスピネルはティーカップをテーブルに置くと自分の顎を撫でながら何やら考え込み始めた
「そうですか…研究の方は大体終わってますので構いませんが、私は貴女の方が心配ですね」
コチラを見た彼は腕を下ろすと黒縁メガネの奥の瞳を細め微かに口角を吊り上げる
「アカデミーでの貴女を見る限りとても心が繊細のようですし、教師の目の届かない場所で何が起きるかも分かりません……止める者がいない場では愚かな者程我が物顔で暴れるものですよ?」
彼が言葉に匂わせるのはイジメについてだろう
今までは言葉による嫌がらせや物を隠したり捨てられたが直接的な暴力は受けていない
学校という狭い世界では教師や他生徒の目があるが、旅に出てしまえばそれらはない
『あ…大丈夫ですよ、なんとかなると思うし』
ナマエは彼は自分を心配してくれていると感じ苦笑いを浮かべ俯くが、スピネルの顔は心配そうに眉を下げているというわけではなく
俯く彼女を見下ろし意地悪く薄っすらと笑みを浮かべていた
「怖いなら止めてしまえばいいじゃないですか、誰も貴女を責める者はいませんよ?」
『怖くないわけじゃないけど、大事な人が帰ってきた時ガッカリさせたくないんです!』
胸元の服を強く掴み揺れる気持ちを引き締めようとするが、スピネルの攻撃は止まらない
「その大事な人は……本当に帰って来るんですか?」
『……………え?でも…約束してくれた…し…』
考えてもいなかった事に驚き顔を上げたナマエは目を見開きスピネルを見上げるが、彼は無情にも彼女が嫌う答えを口にした
「外の自由な世界を知ってわざわざ戻りますか?ましてや口約束なんて無いも同然…子供である貴女に出発を邪魔されたくなかったからその場限りの嘘をついたのではないですか?」
『違…フリードさんは約束してくれたもん、だから…絶対…っ』
「人間なんて自分の為ならいくらでも裏切ったり嘘をつくんですよ?貴女の父親のようにね」
『っ!』
家族を捨て娘の情報を売ったような父親、思い当たる事にナマエの顔が曇り眉が情けなく下がっていく
その崩れる表情を見下ろすスピネルは加虐心にゾクゾクと背筋を震わせ満たされる欲に歪む口元を手の平で隠した
「失礼…言いすぎましたね、ただ私は貴女に傷ついて欲しくないだけなんです」
笑いたくなる口元をなんとか戻し蛇のように優しい口調で彼女との距離縮めていく
隙だらけの獲物に噛みつこうとゆっくりゆっくりと言葉で心を縛ってやろうとした
「貴女さえ望めば私が貴女の側にずっといます、こう見えても私はトレーナーとしても強いですからね…二度と貴女を他の者に傷つけさせない」
泣きそうに歪めた彼女の顔をスピネルは両手で包みこみ、長身の背中を屈め瞳を覗き込む
彼の瞳は恐ろしい程に見開き言う事を聞けと言っているかのようだった
「ただ…貴女は私を信じて側にいればいい……簡単でしょ?」
元々顔も整っておりスピネルは自分が女性にモテる事も分かっている
愛に飢えた目の前の少女を落とすなんて簡単な事だと思っていたが
『……いいえ、あたしはフリードさんを信じて待ちます!』
彼の両手を掴み自分の顔から引き離した彼女は涙を瞳に溜めつつも笑った
泣きわめくでもなく
怒るでもなく
笑ったのだ
「……………」
予想外の反応に今度はスピネルが驚き言葉をなくした
黙り込み動かなくなった彼の手から抜け出すとナマエは乱暴に自分の目元を腕で拭い
『ありがとうスピネルさん!心配してくれて…でも大丈夫ですから!必ずジムチャレンジを成功させてきます!』
歯を出してニッコリと笑った彼女は反応しない彼を置き去りにしその場を去ったが、スピネルは暫く動けず彼女が完全に見えなくなった時
「…………?」
自分の胸元に手の平を添え困惑した表情を浮かべた
手の平で感じる胸の鼓動は早いリズムを打ち、それと同時に息苦しくて辛かった
これが何なのか分からずスピネルはただ指がめり込む程強く服を掴み顔を長い髪の毛で隠した
テーブルに置かれた琥珀色の紅茶は静かに白い湯気を揺らめかせ窓から差し込む光を美しく反射させていた
カチャカチャと鳴る食器
生物準備室には今はジニアはおらずスピネルとナマエだけだった
『(お茶をいれてるだけなのに、なんかカッコいいよねスピネルさんて)』
出会ってから何度も彼の元に訪れて来たがスピネルの容姿や仕草にはいつも見惚れるものがあった
スーツ姿でお茶を準備する姿はちょっとした執事のようであり、気品が溢れている
教師達とも生徒達とも違った雰囲気を纏わせる彼はミステリアスでありついじっと見てしまいそうになりナマエは慌てて話を続けた
『はい!準備ができ次第出発するので…勝手とは思いますがお手伝いは今日で終わりにしたいんです』
校長の許可を得たナマエは旅の準備を始める為暫く会えない事をスピネルに話した
ポケモンの研究の為とはいえ普段から気を使ってくれている彼には言うべきだと思い声をかけたが
お茶を用意していたスピネルはティーカップをテーブルに置くと自分の顎を撫でながら何やら考え込み始めた
「そうですか…研究の方は大体終わってますので構いませんが、私は貴女の方が心配ですね」
コチラを見た彼は腕を下ろすと黒縁メガネの奥の瞳を細め微かに口角を吊り上げる
「アカデミーでの貴女を見る限りとても心が繊細のようですし、教師の目の届かない場所で何が起きるかも分かりません……止める者がいない場では愚かな者程我が物顔で暴れるものですよ?」
彼が言葉に匂わせるのはイジメについてだろう
今までは言葉による嫌がらせや物を隠したり捨てられたが直接的な暴力は受けていない
学校という狭い世界では教師や他生徒の目があるが、旅に出てしまえばそれらはない
『あ…大丈夫ですよ、なんとかなると思うし』
ナマエは彼は自分を心配してくれていると感じ苦笑いを浮かべ俯くが、スピネルの顔は心配そうに眉を下げているというわけではなく
俯く彼女を見下ろし意地悪く薄っすらと笑みを浮かべていた
「怖いなら止めてしまえばいいじゃないですか、誰も貴女を責める者はいませんよ?」
『怖くないわけじゃないけど、大事な人が帰ってきた時ガッカリさせたくないんです!』
胸元の服を強く掴み揺れる気持ちを引き締めようとするが、スピネルの攻撃は止まらない
「その大事な人は……本当に帰って来るんですか?」
『……………え?でも…約束してくれた…し…』
考えてもいなかった事に驚き顔を上げたナマエは目を見開きスピネルを見上げるが、彼は無情にも彼女が嫌う答えを口にした
「外の自由な世界を知ってわざわざ戻りますか?ましてや口約束なんて無いも同然…子供である貴女に出発を邪魔されたくなかったからその場限りの嘘をついたのではないですか?」
『違…フリードさんは約束してくれたもん、だから…絶対…っ』
「人間なんて自分の為ならいくらでも裏切ったり嘘をつくんですよ?貴女の父親のようにね」
『っ!』
家族を捨て娘の情報を売ったような父親、思い当たる事にナマエの顔が曇り眉が情けなく下がっていく
その崩れる表情を見下ろすスピネルは加虐心にゾクゾクと背筋を震わせ満たされる欲に歪む口元を手の平で隠した
「失礼…言いすぎましたね、ただ私は貴女に傷ついて欲しくないだけなんです」
笑いたくなる口元をなんとか戻し蛇のように優しい口調で彼女との距離縮めていく
隙だらけの獲物に噛みつこうとゆっくりゆっくりと言葉で心を縛ってやろうとした
「貴女さえ望めば私が貴女の側にずっといます、こう見えても私はトレーナーとしても強いですからね…二度と貴女を他の者に傷つけさせない」
泣きそうに歪めた彼女の顔をスピネルは両手で包みこみ、長身の背中を屈め瞳を覗き込む
彼の瞳は恐ろしい程に見開き言う事を聞けと言っているかのようだった
「ただ…貴女は私を信じて側にいればいい……簡単でしょ?」
元々顔も整っておりスピネルは自分が女性にモテる事も分かっている
愛に飢えた目の前の少女を落とすなんて簡単な事だと思っていたが
『……いいえ、あたしはフリードさんを信じて待ちます!』
彼の両手を掴み自分の顔から引き離した彼女は涙を瞳に溜めつつも笑った
泣きわめくでもなく
怒るでもなく
笑ったのだ
「……………」
予想外の反応に今度はスピネルが驚き言葉をなくした
黙り込み動かなくなった彼の手から抜け出すとナマエは乱暴に自分の目元を腕で拭い
『ありがとうスピネルさん!心配してくれて…でも大丈夫ですから!必ずジムチャレンジを成功させてきます!』
歯を出してニッコリと笑った彼女は反応しない彼を置き去りにしその場を去ったが、スピネルは暫く動けず彼女が完全に見えなくなった時
「…………?」
自分の胸元に手の平を添え困惑した表情を浮かべた
手の平で感じる胸の鼓動は早いリズムを打ち、それと同時に息苦しくて辛かった
これが何なのか分からずスピネルはただ指がめり込む程強く服を掴み顔を長い髪の毛で隠した
テーブルに置かれた琥珀色の紅茶は静かに白い湯気を揺らめかせ窓から差し込む光を美しく反射させていた