第二章
夢小説設定
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【ナマエ】
夢の中で彼の声が聞こえたような気がした、目を覚まさないといけないのに体が動かなくて目も開けられない
必死に起きようとするあたしの額にかかる前髪を彼は軽く手で退かすと優しくそこへ唇を落としリップ音が響いた
【……行ってくる】
唇が離れた場所が冷えていき温もりが恋しい、遠ざかる足音に心をざわつかせながらも夢から抜け出す事はできず
あたしは……
『………』
目が覚めてカーテン越しに入る弱い日差しを感じながらあたしは天井をぼんやりと見つめた
時計が時を刻む音が響く静かな室内
確かに彼が側にいたはずなのに今は気配も感じられない
ああ…フリードさんが
パルデアを出ていってしまった
歪む顔を両手で覆い悲しみと後悔の波が心を埋めていく
フリードさんは昨日のデート後、泣きじゃくるあたしをこの部屋まで送り眠りにつくまで側にいてくれた
元気づけるように楽しい話をしたりピカチュウにキャップという名を付けた事を話し、最後まで明るく接してくれたのに
あたしは見送りはしたくないと駄々をこねて彼を困らせてしまった
あの時もっとちゃんとした答えを出せればよかったんじゃ
せめてフリードさんが気持ちよく旅立てるように嘘でも応援するべきじゃなかったのか
もしもを何度も考えていた頃、ベッドの側に置いていた目覚まし時計のアラームが鳴り出し日常に戻るように知らせてくる
『…起きないと…学校が…』
どんなにあたしが悲しんでも世間は関係なくいつも通りに進んでいく
重い体を嫌々起こしシワが出来た私服を着替えようとした時、ドラメシヤがふよふよと飛びながらあたしの髪の毛を一束引っ張った
『どうしたの?』
彼が何を知らせたいのか問いかけるとドラメシヤは髪の毛を離し、あたしの勉強用の机へと飛んだ
机の上には昨日までなかったモンスターボールと小さな箱が置かれており、あたしはスリッパも履かず慌てて机へと向かった
『ボール…それと…これは?』
小さな箱を恐る恐る開けると中には大好きな蜂蜜色が輝いていた
『これ…昨日のネックレス?』
デート中に目に止まった蜂蜜色の宝石が付いたネックレスだった
銀色のチェーンに手をかけ取り出すとアクセサリーの下に折り畳まれた手紙に気が付き、あたしは一度喉を上下させた
『………』
手紙はフリードさんからだった
【俺が戻るまで代わりにコイツ等がお前を守る】
コイツ等とはきっとボールの子とネックレスの事だろう
手の平に置いたネックレスの石を指先で優しく撫で、また涙がこみ上げそうになった……けど
『うん…フリードさんは必ず戻ってくるって言ってたもん、あたしもあたしが出来る事しなきゃ!』
ただ泣いて待ってたら今度彼に会えた時がっかりさせるかもしれない
守ってもらうだけの子供なんて思われたくない
あたしは恋人として彼の隣で同じ景色を見たいんだから
『よし!ドラメシヤ!新しい仲間と一緒に頑張ろう!』
気合を入れるとドラメシヤも任せろとばかりに空中で宙返りをし、ご機嫌だ
貰ったネックレスを首にかけ、ボールから新しい仲間を呼び出すとあたしは一瞬目を見開き目尻から一筋の涙を溢しながら微笑んだ
フリードさん
初めて会った時の話を貴方は覚えていてくれたんですね
『よろしくね、ワシボン!』
***************
「本当っ?本当〜にっジムチャレンジしてくれるの!」
アカデミーの廊下でネモに今後の事を相談し、あたしなりに強くなる為にジムチャレンジに参加したい気持ちを伝えた
アカデミーで一番強いのはチャンピオンランクのネモ、彼女に助言を貰うのが一番だと思ったんだけど
「やった、やったぁ〜!何度も誘った甲斐があったよ!じゃあさっそく準備しなきゃ!校長にも許可貰う為に話してっ旅の支度もしなきゃ」
自分が旅に出るようにネモは興奮し話を進めていく
「でもよく決意したね?前は嫌がってたのに」
『うん、前は目立ちたくなかったかし自信がなくて…でも今は頑張りたいと思ってるから!』
あたしの肩の上にいるドラメシヤに視線を向けると彼も嬉しそうに笑ってくれた
新たな仲間ワシボンと一緒に身も心も強くなりたい
その一心で旅を決意した
「ふ〜ん?ところで……フリードさんとの事ペパーには言ったの?」
『ペパー先輩に?なんで?』
何故突然ペパー先輩の名前が出たのか分からずネモを見上げると彼女は苦笑いし自分の頬を指先でかいた
「う〜ん、そっか…まずそこから気がついてなかったんだ」
『?』
「オレがなんだって?」
自分の話題が耳に届いたのか、大股で近づいてきた先輩は不機嫌そうにあたしとネモを見比べ腕を胸の前で組み合わせた
「今オレの名前呼んだろ?何話してたんだよ?」
「え?いや?べつに〜?そうだ!善は急げだし!私校長先生のとこ行ってくるね!」
そそくさと逃げるように走り去るネモをあたしと先輩は驚いたまま見送り、自然とお互いを見つめた
「……足、もう痛くないか?」
『はい!ヒビも小さかったしすぐ治りましたから』
「ヒビとは言え骨を傷つけたのには違いないだろ?あんまり体冷やすなよ?痛みが戻ってくる時があるからな」
ペパー先輩は心配してくれてるんだと思う、いつもぶっきらぼうだけど目を見れば分かる
優しい眼差しになった彼は組んでいた腕を解きあたしの頭を軽く撫でてくれた
少し力が強くてフリードさんとも違う撫で方が今のあたしには切なく感じて、つい彼の手から頭を避けた
「ナマエ?」
『先輩、あたし…ジムチャレンジをするって決めたんです!』
「ジムチャレンジ?」
『もう泣いてばかりになりたくない強くなりたい!だから…応援してくれますか?』
きっと先輩なら応援してくれる
期待を込めて彼を見上げると
「……………なんでだよ」
想像した顔とは真逆に苦い顔であたしを睨んでいた
夢の中で彼の声が聞こえたような気がした、目を覚まさないといけないのに体が動かなくて目も開けられない
必死に起きようとするあたしの額にかかる前髪を彼は軽く手で退かすと優しくそこへ唇を落としリップ音が響いた
【……行ってくる】
唇が離れた場所が冷えていき温もりが恋しい、遠ざかる足音に心をざわつかせながらも夢から抜け出す事はできず
あたしは……
『………』
目が覚めてカーテン越しに入る弱い日差しを感じながらあたしは天井をぼんやりと見つめた
時計が時を刻む音が響く静かな室内
確かに彼が側にいたはずなのに今は気配も感じられない
ああ…フリードさんが
パルデアを出ていってしまった
歪む顔を両手で覆い悲しみと後悔の波が心を埋めていく
フリードさんは昨日のデート後、泣きじゃくるあたしをこの部屋まで送り眠りにつくまで側にいてくれた
元気づけるように楽しい話をしたりピカチュウにキャップという名を付けた事を話し、最後まで明るく接してくれたのに
あたしは見送りはしたくないと駄々をこねて彼を困らせてしまった
あの時もっとちゃんとした答えを出せればよかったんじゃ
せめてフリードさんが気持ちよく旅立てるように嘘でも応援するべきじゃなかったのか
もしもを何度も考えていた頃、ベッドの側に置いていた目覚まし時計のアラームが鳴り出し日常に戻るように知らせてくる
『…起きないと…学校が…』
どんなにあたしが悲しんでも世間は関係なくいつも通りに進んでいく
重い体を嫌々起こしシワが出来た私服を着替えようとした時、ドラメシヤがふよふよと飛びながらあたしの髪の毛を一束引っ張った
『どうしたの?』
彼が何を知らせたいのか問いかけるとドラメシヤは髪の毛を離し、あたしの勉強用の机へと飛んだ
机の上には昨日までなかったモンスターボールと小さな箱が置かれており、あたしはスリッパも履かず慌てて机へと向かった
『ボール…それと…これは?』
小さな箱を恐る恐る開けると中には大好きな蜂蜜色が輝いていた
『これ…昨日のネックレス?』
デート中に目に止まった蜂蜜色の宝石が付いたネックレスだった
銀色のチェーンに手をかけ取り出すとアクセサリーの下に折り畳まれた手紙に気が付き、あたしは一度喉を上下させた
『………』
手紙はフリードさんからだった
【俺が戻るまで代わりにコイツ等がお前を守る】
コイツ等とはきっとボールの子とネックレスの事だろう
手の平に置いたネックレスの石を指先で優しく撫で、また涙がこみ上げそうになった……けど
『うん…フリードさんは必ず戻ってくるって言ってたもん、あたしもあたしが出来る事しなきゃ!』
ただ泣いて待ってたら今度彼に会えた時がっかりさせるかもしれない
守ってもらうだけの子供なんて思われたくない
あたしは恋人として彼の隣で同じ景色を見たいんだから
『よし!ドラメシヤ!新しい仲間と一緒に頑張ろう!』
気合を入れるとドラメシヤも任せろとばかりに空中で宙返りをし、ご機嫌だ
貰ったネックレスを首にかけ、ボールから新しい仲間を呼び出すとあたしは一瞬目を見開き目尻から一筋の涙を溢しながら微笑んだ
フリードさん
初めて会った時の話を貴方は覚えていてくれたんですね
『よろしくね、ワシボン!』
***************
「本当っ?本当〜にっジムチャレンジしてくれるの!」
アカデミーの廊下でネモに今後の事を相談し、あたしなりに強くなる為にジムチャレンジに参加したい気持ちを伝えた
アカデミーで一番強いのはチャンピオンランクのネモ、彼女に助言を貰うのが一番だと思ったんだけど
「やった、やったぁ〜!何度も誘った甲斐があったよ!じゃあさっそく準備しなきゃ!校長にも許可貰う為に話してっ旅の支度もしなきゃ」
自分が旅に出るようにネモは興奮し話を進めていく
「でもよく決意したね?前は嫌がってたのに」
『うん、前は目立ちたくなかったかし自信がなくて…でも今は頑張りたいと思ってるから!』
あたしの肩の上にいるドラメシヤに視線を向けると彼も嬉しそうに笑ってくれた
新たな仲間ワシボンと一緒に身も心も強くなりたい
その一心で旅を決意した
「ふ〜ん?ところで……フリードさんとの事ペパーには言ったの?」
『ペパー先輩に?なんで?』
何故突然ペパー先輩の名前が出たのか分からずネモを見上げると彼女は苦笑いし自分の頬を指先でかいた
「う〜ん、そっか…まずそこから気がついてなかったんだ」
『?』
「オレがなんだって?」
自分の話題が耳に届いたのか、大股で近づいてきた先輩は不機嫌そうにあたしとネモを見比べ腕を胸の前で組み合わせた
「今オレの名前呼んだろ?何話してたんだよ?」
「え?いや?べつに〜?そうだ!善は急げだし!私校長先生のとこ行ってくるね!」
そそくさと逃げるように走り去るネモをあたしと先輩は驚いたまま見送り、自然とお互いを見つめた
「……足、もう痛くないか?」
『はい!ヒビも小さかったしすぐ治りましたから』
「ヒビとは言え骨を傷つけたのには違いないだろ?あんまり体冷やすなよ?痛みが戻ってくる時があるからな」
ペパー先輩は心配してくれてるんだと思う、いつもぶっきらぼうだけど目を見れば分かる
優しい眼差しになった彼は組んでいた腕を解きあたしの頭を軽く撫でてくれた
少し力が強くてフリードさんとも違う撫で方が今のあたしには切なく感じて、つい彼の手から頭を避けた
「ナマエ?」
『先輩、あたし…ジムチャレンジをするって決めたんです!』
「ジムチャレンジ?」
『もう泣いてばかりになりたくない強くなりたい!だから…応援してくれますか?』
きっと先輩なら応援してくれる
期待を込めて彼を見上げると
「……………なんでだよ」
想像した顔とは真逆に苦い顔であたしを睨んでいた