第二章
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フリードと恋人になってから数週間
旅の準備が忙しいのか恋人になってからフリードとは時間が取れず前よりも会えなくなっていた
隣同士の家
二人はすれ違った時間でお互いの部屋の明かりを見ては切なげに胸を苦しめる日々を送り
側にいるのに会えない寂しさに悶々としていたが、今日は遂に付き合ってから初めての休日デートだ
久しぶりに会える恋人にナマエは緊張に顔を強張らせていた
「ぷはっ!なぁ〜に緊張してんだ?」
家に迎えに来てくれた彼に笑われてしまいナマエは羞恥心と悔しさに口を尖らせる
意地悪く笑う姿でさえナマエには魅力的に輝いて見え胸が高鳴った
『笑わないでくださいっ!仕方ないじゃないですか、何もかも初めてなんですから』
彼氏なんて作ったこともない
ましてや相手は自分よりも歳上で大人の男だ
今日のデートを前に大人の付き合いについて本やテレビで学習したが余計に緊張するだけで役にはたたなかった
頬を膨らませているとフリードは彼女の側へと近寄り大きな手を頭の上に置き数回優しく叩いた
「初めてか、そりゃドキドキするよな?」
『なんか…悔しいです』
「悔しい?なんで?」
『あたしばっかりドキドキしてて、フリードさんは余裕そうだから』
頬を少し赤めた彼女は視線を下げてしまい自分自身の言葉にショックを受けているようだ
フリードは大人だ
きっと自分が知らないだけで過去には恋人もいた事だろう
自分なんかより魅力的な女性と深い付き合いをしただろうと想像すると余計に自分が幼い子供に思えてくる
『(キスだって告白した時しかしてないし、こんな子供相手じゃ…フリードさんはドキドキしないよね)』
落ち込む顔を見下ろしていたフリードは小さく困ったように笑い、彼女の頭に触れていた手を下ろすと
「ほら、触ってみ?」
ナマエの手を掴み自分の胸元へと押し付けた
『えっ、なんですか!』
手の平に感じる固く弾力のある胸板
服越しでも伝わる彼の肌の温かさに驚きナマエは慌ててしまう
「しぃーっ……分からないか?」
『……………?………ぁ、ドキドキ…いってる?』
手の平へ神経を集中させるとドクドクと打つ心臓の鼓動が伝わってくる
それは少し早く、自分の心音と似たような速度だった
視線を手元から上へとずらせばニッコリと笑うフリードと目が合いナマエの心臓がドクンと大きく揺れた
「余裕なんてない…俺だってお前にドキドキしてんだ、だからそんなに身構えるなよ…な?」
緊張した者同士だと言う彼にナマエの肩が少し軽くなった気がした
表情の強張りが柔らかくなったのに気がついた彼は自分の胸元に置いていたナマエの手を繋ぎ直すと外へと連れだし、二人っきりのデートへと足を進めた
デートと言っても彼女の足はまだ治って間もない
移動はリザードンに頼み負担のない場所を選び休憩も小まめに挟んだ
映画に食事、そしてショッピング
友人とも何度も足を運んだ店も愛する人が隣にいるだけで特別になる
『(あ…これ綺麗…まるで…)』
蜂蜜色に輝く小さな宝石の付いたネックレスに目が止まり手を伸ばす、細い銀色のチェーンの先に付いた石を指先で撫でていると隣に来たフリードが覗き込んだ
「気に入ったのか?」
『ぁ…その…フリードさんの目の色と同じで綺麗だなと思って』
「綺麗って…俺の目が?」
『はい!蜂蜜みたいに綺麗な金色で、あたしは好きですよ』
素直に告げればフリードは背筋を戻し自分の首の後ろを撫で視線を彷徨わせた
「…気に入ったなら買ってやるぞ?」
照れているのだろう
コチラを見ずにぶっきらぼうに言う彼が可愛らしく見えナマエはイタズラが成功した子供のように笑った
『…ふふっ、フリードさんがいるからいらないです』
「っ!……ったく、子供の癖に!」
『うわわっ!髪が!』
大きな手が突然伸び乱暴に頭を撫で髪を乱された、せっかく綺麗にしたというのに台無しにされ文句を言おうとするが
フリードは彼女が口を開く前に手を繋ぎ歩き出した
「じゃあ他に何か買ってやるよ!せっかくの初デートだしな」
太陽の眩しい光を浴びながら笑う彼は本当に眩しくて見惚れそうだ
その後も恋人らしいコースを楽しみ最後に彼が選んだのは人の手が届いてない丘の上だった
建造物もなく
野生ポケモンしかいない草原をフリードはナマエと手を繋ぎながら進み、丘の頂上へと辿り着くとゆっくりと地面に腰を降ろした
『凄い高い…パルデアが見渡せる程高いこんな場所初めてきました』
「なかなか良い眺めだろ?この前リザードンと飛んでる時に見つけてな、お前にも見せたかったんだ」
茜色の優しい光に包まれながら並んで地面に座り景色を楽しむ
人が小さく建物もオモチャのように見え不思議な気持ちだった
自分達だけ別の世界に来たような寂しさと開放感
まったく別の感情に包まれながら耳を掠める風の音を聞き
視線を隣の彼に向けるとフリードは街並みではなく海の広がる遠くを見つめていた
「世界は広いな…この海の向こうにはきっと俺達がまだ知らない世界が広がっている、そう思うと好奇心が止まらない」
『…………うん』
「……本当なら今すぐお前も連れて旅立ちたいと俺は思ってる」
『………ん』
独り言のように呟いた彼はゆっくりとナマエに顔を向けると切なげに眉を寄せ、地面に置いていた彼女の手の上に自分の手を重ねた
「でもな…旅には危険が付きものだ、なんの経験もない今の俺じゃナマエを守れないかもしれない」
「俺は特別な力もないし最強でもない、だから力になってくれる仲間と冒険の経験を積んでからお前を迎えに来る」
フリードの言葉を聞きながらナマエも何度か頷き眉を下げた
彼の心配してくれる気持ちに感謝しつつもやはり寂しさは拭えない
そして彼が最後にこの場所選び見せてくれた事
彼が本当に言いたい事が分かってしまいナマエは力なく声を出した
『船…できたんですね?』
図星だったのだろう
フリードは一瞬眉を揺らすと誤魔化す事もせず、視線を下げた
「……ああ、明日の朝出る」
『っ!そんなに…早く?』
我が儘を言えるなら危険でも一緒に行きたいと言うが、それでは彼を困らせるだけだ
自分自身に言い聞かせていると握られた手に力が入り我に帰った
「ナマエ…一つだけ約束してくれないか?」
『ん、なんですか?』
改めて見上げた彼の顔はほんのりと赤くさっきまで下がっていた眉が眉間にシワを深めていた
「俺が帰って来るまで…他の男を好きにならないで欲しい」
『…………はい?』
約束してほしいと真剣な顔で言うものだから何かと思えば
他を見るなと言う子供じみた願いにナマエは驚きつつ頬を赤めた
『な、なんの心配してんるんですか!他の人なんてっ』
「分からないだろ!お前を狙ってる奴らが何人いると思ってるんだ!だいたいナマエは警戒心が足りねぇし俺がいない間に襲われたらって正直ハラハラして落ち着かないっ」
半分やけになって言う彼は怒ったようにそれでいて拗ねたように顔を曇らせ、ナマエの額に自分の額を擦り付け甘えた
「はぁ…ダサい我が儘だろ?そんだけ俺はお前にメロメロなんだよ」
我が儘
大人の彼でさえ我が儘を口にするなんて意外だった
フリードはいつも余裕そうでなんでも簡単にこなすイメージがあったが、自分の事になるとこんなに必死になってくれたのだ
愛しくて
愛しくて
泣きたくなる
『今だけ…我が儘を言ってもいいですか?』
「ん…言ってみ?」
擦り付けていた額を離し見つめ合うとナマエは震えた口元を一度強く噛み、心に押し殺していた気持ちを口にした
『……………本当は…行かないで欲しいです』
「……」
黙り込む彼の胸元の服を強く掴み彼女は言葉を続けた
『あたしもっ連れてって…一人にしないでっ、っ、フリードさんと…一緒にい…たぃ』
困らせてしまう
分かっているのに一度口にすると止まらなくて口元が勝手に震えてしまう
『邪魔しないっ…っ、ぁ、めぇ、いっ惑かけないからっ、ひっ…行かないでぇっ』
「ナマエ…ごめんな」
『ぅ…っ…うぁぁぁぁん、っ、ぁ、あぁ…』
遂に泣き出してしまった
子供のように声を出して泣き出し八つ当たりでもするようにフリードの胸元を数回叩く
力が上手く入らず弱々しい手だった
叩かれても痛くはない
だが心は引き裂かれそうに痛みフリードはナマエを強く抱きしめ自分の腕の中に閉じ込めた
「あぁ可愛いなぁ……こんなにお前を愛してるんだ、必ず戻るから信じてくれ」
風が二人を優しく撫でて通り過ぎる
誰もいない丘の上で泣きじゃくる恋人をフリードは愛しげに抱きしめ、何度も愛を囁いた
何度も…何度も……
「……愛してる……俺の可愛いナマエ」
旅の準備が忙しいのか恋人になってからフリードとは時間が取れず前よりも会えなくなっていた
隣同士の家
二人はすれ違った時間でお互いの部屋の明かりを見ては切なげに胸を苦しめる日々を送り
側にいるのに会えない寂しさに悶々としていたが、今日は遂に付き合ってから初めての休日デートだ
久しぶりに会える恋人にナマエは緊張に顔を強張らせていた
「ぷはっ!なぁ〜に緊張してんだ?」
家に迎えに来てくれた彼に笑われてしまいナマエは羞恥心と悔しさに口を尖らせる
意地悪く笑う姿でさえナマエには魅力的に輝いて見え胸が高鳴った
『笑わないでくださいっ!仕方ないじゃないですか、何もかも初めてなんですから』
彼氏なんて作ったこともない
ましてや相手は自分よりも歳上で大人の男だ
今日のデートを前に大人の付き合いについて本やテレビで学習したが余計に緊張するだけで役にはたたなかった
頬を膨らませているとフリードは彼女の側へと近寄り大きな手を頭の上に置き数回優しく叩いた
「初めてか、そりゃドキドキするよな?」
『なんか…悔しいです』
「悔しい?なんで?」
『あたしばっかりドキドキしてて、フリードさんは余裕そうだから』
頬を少し赤めた彼女は視線を下げてしまい自分自身の言葉にショックを受けているようだ
フリードは大人だ
きっと自分が知らないだけで過去には恋人もいた事だろう
自分なんかより魅力的な女性と深い付き合いをしただろうと想像すると余計に自分が幼い子供に思えてくる
『(キスだって告白した時しかしてないし、こんな子供相手じゃ…フリードさんはドキドキしないよね)』
落ち込む顔を見下ろしていたフリードは小さく困ったように笑い、彼女の頭に触れていた手を下ろすと
「ほら、触ってみ?」
ナマエの手を掴み自分の胸元へと押し付けた
『えっ、なんですか!』
手の平に感じる固く弾力のある胸板
服越しでも伝わる彼の肌の温かさに驚きナマエは慌ててしまう
「しぃーっ……分からないか?」
『……………?………ぁ、ドキドキ…いってる?』
手の平へ神経を集中させるとドクドクと打つ心臓の鼓動が伝わってくる
それは少し早く、自分の心音と似たような速度だった
視線を手元から上へとずらせばニッコリと笑うフリードと目が合いナマエの心臓がドクンと大きく揺れた
「余裕なんてない…俺だってお前にドキドキしてんだ、だからそんなに身構えるなよ…な?」
緊張した者同士だと言う彼にナマエの肩が少し軽くなった気がした
表情の強張りが柔らかくなったのに気がついた彼は自分の胸元に置いていたナマエの手を繋ぎ直すと外へと連れだし、二人っきりのデートへと足を進めた
デートと言っても彼女の足はまだ治って間もない
移動はリザードンに頼み負担のない場所を選び休憩も小まめに挟んだ
映画に食事、そしてショッピング
友人とも何度も足を運んだ店も愛する人が隣にいるだけで特別になる
『(あ…これ綺麗…まるで…)』
蜂蜜色に輝く小さな宝石の付いたネックレスに目が止まり手を伸ばす、細い銀色のチェーンの先に付いた石を指先で撫でていると隣に来たフリードが覗き込んだ
「気に入ったのか?」
『ぁ…その…フリードさんの目の色と同じで綺麗だなと思って』
「綺麗って…俺の目が?」
『はい!蜂蜜みたいに綺麗な金色で、あたしは好きですよ』
素直に告げればフリードは背筋を戻し自分の首の後ろを撫で視線を彷徨わせた
「…気に入ったなら買ってやるぞ?」
照れているのだろう
コチラを見ずにぶっきらぼうに言う彼が可愛らしく見えナマエはイタズラが成功した子供のように笑った
『…ふふっ、フリードさんがいるからいらないです』
「っ!……ったく、子供の癖に!」
『うわわっ!髪が!』
大きな手が突然伸び乱暴に頭を撫で髪を乱された、せっかく綺麗にしたというのに台無しにされ文句を言おうとするが
フリードは彼女が口を開く前に手を繋ぎ歩き出した
「じゃあ他に何か買ってやるよ!せっかくの初デートだしな」
太陽の眩しい光を浴びながら笑う彼は本当に眩しくて見惚れそうだ
その後も恋人らしいコースを楽しみ最後に彼が選んだのは人の手が届いてない丘の上だった
建造物もなく
野生ポケモンしかいない草原をフリードはナマエと手を繋ぎながら進み、丘の頂上へと辿り着くとゆっくりと地面に腰を降ろした
『凄い高い…パルデアが見渡せる程高いこんな場所初めてきました』
「なかなか良い眺めだろ?この前リザードンと飛んでる時に見つけてな、お前にも見せたかったんだ」
茜色の優しい光に包まれながら並んで地面に座り景色を楽しむ
人が小さく建物もオモチャのように見え不思議な気持ちだった
自分達だけ別の世界に来たような寂しさと開放感
まったく別の感情に包まれながら耳を掠める風の音を聞き
視線を隣の彼に向けるとフリードは街並みではなく海の広がる遠くを見つめていた
「世界は広いな…この海の向こうにはきっと俺達がまだ知らない世界が広がっている、そう思うと好奇心が止まらない」
『…………うん』
「……本当なら今すぐお前も連れて旅立ちたいと俺は思ってる」
『………ん』
独り言のように呟いた彼はゆっくりとナマエに顔を向けると切なげに眉を寄せ、地面に置いていた彼女の手の上に自分の手を重ねた
「でもな…旅には危険が付きものだ、なんの経験もない今の俺じゃナマエを守れないかもしれない」
「俺は特別な力もないし最強でもない、だから力になってくれる仲間と冒険の経験を積んでからお前を迎えに来る」
フリードの言葉を聞きながらナマエも何度か頷き眉を下げた
彼の心配してくれる気持ちに感謝しつつもやはり寂しさは拭えない
そして彼が最後にこの場所選び見せてくれた事
彼が本当に言いたい事が分かってしまいナマエは力なく声を出した
『船…できたんですね?』
図星だったのだろう
フリードは一瞬眉を揺らすと誤魔化す事もせず、視線を下げた
「……ああ、明日の朝出る」
『っ!そんなに…早く?』
我が儘を言えるなら危険でも一緒に行きたいと言うが、それでは彼を困らせるだけだ
自分自身に言い聞かせていると握られた手に力が入り我に帰った
「ナマエ…一つだけ約束してくれないか?」
『ん、なんですか?』
改めて見上げた彼の顔はほんのりと赤くさっきまで下がっていた眉が眉間にシワを深めていた
「俺が帰って来るまで…他の男を好きにならないで欲しい」
『…………はい?』
約束してほしいと真剣な顔で言うものだから何かと思えば
他を見るなと言う子供じみた願いにナマエは驚きつつ頬を赤めた
『な、なんの心配してんるんですか!他の人なんてっ』
「分からないだろ!お前を狙ってる奴らが何人いると思ってるんだ!だいたいナマエは警戒心が足りねぇし俺がいない間に襲われたらって正直ハラハラして落ち着かないっ」
半分やけになって言う彼は怒ったようにそれでいて拗ねたように顔を曇らせ、ナマエの額に自分の額を擦り付け甘えた
「はぁ…ダサい我が儘だろ?そんだけ俺はお前にメロメロなんだよ」
我が儘
大人の彼でさえ我が儘を口にするなんて意外だった
フリードはいつも余裕そうでなんでも簡単にこなすイメージがあったが、自分の事になるとこんなに必死になってくれたのだ
愛しくて
愛しくて
泣きたくなる
『今だけ…我が儘を言ってもいいですか?』
「ん…言ってみ?」
擦り付けていた額を離し見つめ合うとナマエは震えた口元を一度強く噛み、心に押し殺していた気持ちを口にした
『……………本当は…行かないで欲しいです』
「……」
黙り込む彼の胸元の服を強く掴み彼女は言葉を続けた
『あたしもっ連れてって…一人にしないでっ、っ、フリードさんと…一緒にい…たぃ』
困らせてしまう
分かっているのに一度口にすると止まらなくて口元が勝手に震えてしまう
『邪魔しないっ…っ、ぁ、めぇ、いっ惑かけないからっ、ひっ…行かないでぇっ』
「ナマエ…ごめんな」
『ぅ…っ…うぁぁぁぁん、っ、ぁ、あぁ…』
遂に泣き出してしまった
子供のように声を出して泣き出し八つ当たりでもするようにフリードの胸元を数回叩く
力が上手く入らず弱々しい手だった
叩かれても痛くはない
だが心は引き裂かれそうに痛みフリードはナマエを強く抱きしめ自分の腕の中に閉じ込めた
「あぁ可愛いなぁ……こんなにお前を愛してるんだ、必ず戻るから信じてくれ」
風が二人を優しく撫でて通り過ぎる
誰もいない丘の上で泣きじゃくる恋人をフリードは愛しげに抱きしめ、何度も愛を囁いた
何度も…何度も……
「……愛してる……俺の可愛いナマエ」