第二章
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「お…今日はいい天気になりそうだな」
冷えた空気のせいか吐いた息が白い、太陽がまだ顔を出さない明け方に俺は機材を運び最近ずっと観察をしているピカチュウの元へと向かった
相棒のリザードンは眠そうにあくびをしながら歩き、俺も似たように大きくあくびを一つした
ふと振り向けば俺の家の隣にあるナマエの家に目が止まる
二階の彼女の部屋はまだカーテンが閉まっており起きてない事を知らせた
【本当?……あたしで…フリードさんはときめいてくれますか?】
思い出すのは昨晩の出来事
彼女の言葉が俺を離さず正直眠れなかった
「……とっくにときめいてんだよ…俺は」
ぎゅあ?
行かないのかとリザードンに顔を覗き込まれ俺は軽く肩を上下させてみせるといつの間にか止めていた足を再度動かした
今日で三日目、明日には彼女の親が帰って来る
二人で過ごす日も今日で終わりかと思うと俺は名残惜しいような寂しさを感じていた
ずっと彼女と一緒にいたい
出来る事なら朝から眠る瞬間まで側で存在を感じていたい
俺はポケモン博士で
ナマエはアカデミーの生徒
それぞれのやるべき事があるし何より未成年の彼女を縛る事はできないが
どうにかならないものかと考えてしまう
目的地に辿り着きお目当てのピカチュウを前にした俺はいつものようにカメラを用意しようとしたが、手が止まり瞳を曇らせた
「……やめた」
地面にカメラを投げ捨て相棒もどうしたのかと顔をコチラに向けるが、俺はいつまでもウジウジしている自分自身に嫌気が差し眉を寄せた
こんなのは俺じゃない
ナマエの事もピカチュウの研究も待ってるだけじゃ分からない事もある
俺自身が動かなければ手に入る物も入らない!
「リザードン!俺達も飛ぶぞ!」
目の前に立ち昇る土煙と黄色に輝く雷の渦、ピカチュウは自分の技を利用し空へと駆け上りだし俺もリザードンと共に空を目指した
屋根よりも木々よりも高く
高く
もっと高く!
ほぼ同時に辿り着いた空で俺が見た世界は今後の俺の目的を変えるほどの大きな感動を与えてくれた
ピカチュウが見たかった光景
俺の中に生まれた冒険への憧れ
そしてナマエへの恋を再確認してしまった
****************
「お〜い、そろそろ起きないと遅刻すんぞ?」
『ん…んん』
カーテン越しに部屋に入り込む太陽の光は眩しくて温かい
眠気と戦いつつ部屋の外から聞こえたフリードさんの声にあたしはまだ重い瞼を擦りあくびを一つした
三日目になると彼が起こしてくれるのも違和感がなくて寧ろ安心感さえ感じる
ドラメシヤがベッドの下にスリッパを用意してくれて、あたしは影に掛けといた制服に着替えスリッパに足を通した
『ん…起きました』
「よし、開けるぞ?」
準備ができた事を伝えると部屋の外で待っていた彼が室内に入り込み、あたしの顔を見るなり小さく笑った
「ハハッ!髪の毛凄いな!ボッサボサだぜ?」
『そうですか?ん〜後でドラメシヤに手伝って貰おっかな』
「下の階に行く前に俺がやってやるから後ろ向けよ」
彼はそう言うと鏡台からブラシを取りベッドへと腰掛けた
後ろを向けと顎で言われあたしはモゾモゾとベッドを移動し彼に背中を向け身を任せた
ボサボサになっていた髪をフリードさんは優しくブラシで撫で静かな部屋に髪を滑るブラシの音が妙に響く
人に頭を撫でられるのは気恥ずかしくて、それでいてとっても気持ちがいい
「そう言えば、今日あのピカチュウを仲間にしたんだ」
『本当に!いつの間にそんな…』
「あいつが見ていた世界がなんなのかやっと分かったんだ、実はな…」
髪を梳かしながら彼は今朝見た世界について教えてくれた
太陽よりも高く飛び世界の広さと美しさを共有し、ピカチュウとの間に絆が出来た事を…
そして髪の毛を綺麗に梳かし終えるとフリードさんは腕を降ろし黙り込んた
『フリードさん?』
「……」
振り返って彼の顔を下から覗き込む
真剣な顔つきで何処かを見ていた瞳はゆっくりとあたしを見つめ静かに口を開いた
「俺…パルデアを出ようと思う」
『…………え……えっと、どういう事ですか?』
パルデアを出るってどういう事?
せっかく引っ越してきたのにまた何処かへ引っ越すと言う意味なのか
頭がパニックを起こしあたしはただ彼を見つめた
「天才ポケモン博士なんて言われてるが今俺がやってる事は机に座って研究書を書くばかり…正直結構前から違和感があったんだ、俺がしたかった事じゃないって」
ブラシをベッドの上に離した彼はあたしの手を優しく握り蜂蜜色の真剣な瞳を真っすぐに向けてくる
「もっと世界を見てみたい!この世界の謎とポケモンの謎をこの目で確かめに行きたいんだ!」
『………いつ…行くんですか?』
もっと詳しく聞きたいのに
あたしの口から出たのは別れの日についてだけ
フリードさんは眉間にシワをよせあたしの手を強く握りながら視線を下へと落とした
「今船を作ってる…出来上がり次第旅立つつもりだ」
『…………』
どうしよう
頭が働かない
何か言わないといけないのに
何を言えばいいのか分からない
だって…それってもう会えないって事でしょ?
旅って旅行みたいにすぐ何日かで戻って来るわけじゃないよね?
せっかく、仲良くなれたのに
もう……会えなくなるんだ
「ナマエ?」
黙り込むあたしに気が付き彼は顔を上げ目を見開いた
なんでそんなに驚いてるのかな
あたし変な顔してる?
あれ?なんかフリードさんが歪んで…
あぁ、見えないや
これは…
まばたきをした途端あたしの目から熱い涙が零れ落ちた
まつ毛を濡らし頬に流れ落ちる涙は止まる事なく何粒も何粒も零れ落ち、喉奥がヒリヒリする
鼻の奥が狭くなってあたしは息をするもの苦しくなって背中を丸めた
『ぁ、っ、ごめっ、ひっ、なんか…涙がっ、んんっ、っく』
どうしよう、上手く喋れないよ
謝りたいのに
せっかくフリードさんが決めた新しい道なんだから祝福してあげたいのに
できない
口元を抑え喉をひくつかせながら泣くあたしをフリードさんは突然強く抱き寄せ、自分の胸元へと包みこんだ
「何泣いてんだよ、一生の別れじゃないだろ?」
『ん、だって…っ、パルデアを、出るって』
「必ず戻って来る、最高の仲間を見つけてパルデアに戻って来る…だからその時は」
フリードさんはあたしの濡れた頬を片手で撫で上を向かせた
あたしだけを見る蜂蜜色の瞳は美しくそれでいて優しく輝いていた
「一緒に来てくれるか?」
てっきり別れかと思った
二度と会えないと思ったのに、彼はあたしを求めてくれた
『ぁ、あたひっ、フリードさんに言いたかった事がっ』
「ん…俺もある」
鼻水が出そうだし
喉は痛いしきっと顔は悲惨な事になってる
でも今じゃないときっと言えない気がして、あたしはずっと心に押し込んでいた事を口にした
『あたしっ』
「俺は」
『ポケモンと話せるのっ!』
「お前が好きだ」
言い切った後、あたし達はお互いを見つめ酷く驚いた顔を浮かべた
それはもう涙が引っ込む程
だって今聞き間違いじゃなければフリードさんはあたしを好きって…
『えっ?あ…あの、好き?好きって…友達って意味の?』
顔が急激に熱くなりながら聞き返すとフリードさんもほんのりと頬を赤めだした
「なんでそうなるんだよっ!一人の女の子として好きって意味だ!つーかポケモンと話せるのか!なんで今まで黙ってたんだよ!」
『いや…だって、嫌われたくなかったから…』
「嫌うわけないだろ!最高の力じゃないか!ハハッ!やっぱりお前は俺と一緒に旅する運命なんだな!」
予想外の反応をし好意的な態度を取る彼は何処かスッキリとしていて、あたしの耳に頬を掠めていた髪の毛の束をかけてくれた
「お前の力も含めてお前が好きだ!だから俺にお前の全部をくれないか?」
『〜〜っ、なんか…なんて言っていいか分からないけど』
彼の親指があたしの唇の端を優しく撫で誘ってくる
大人の女の人ならなんて答えるのか分からないけど…
あたしはあたしの言葉で彼に想いを伝えた
『あたしも、フリードさんが大好きです』
初めての告白はとても子供っぽい言葉になってしまった
愛してるなんて恥ずかしくて言えないし好きって言葉よりきっと今のあたしの想いは大きいの
だから大好きって伝えた
呆れられるかと思ったら彼は嬉しそうに口角を上げ目尻を垂れさせ笑った
「俺も…大好きだっ」
喜びにあたしまで胸を温かくさせ体中がぽかぽかしてくる
愛しさが溢れて好きって気持ちがどんどん大きくなって落ち着かなくなった頃
フリードさんはあたしの頬を支える手とは別の手で腰を引き寄せ、前を見ればさっきよりも彼の顔が近かった
『フリード…さ…』
「ナマエ……好き…大好きだ」
囁くような声と共に彼の唇があたしの唇に触れ、柔らかい感触に胸が飛び跳ねそうになった
…ちゅっ
唇が離れた瞬間、ちょっとエッチな音が鳴ってしまった
キスって本当にこんな音がするんだ
呑気に頭の片隅でそう感じていると顔を少し離したフリードさんは小さく笑い、また触れるだけのキスをしてくれた
ちゅっ…ちゅ…ぷっ…
何度か触れては離れるキスを繰り返し、キスの気持ちよさにうっとりと瞳を潤わせた頃フリードさんはやっと唇を離し熱くなったあたしの頬を撫でてくれた
「……キス…気持ちいいな?」
『…うん…気持ちいい』
照れながらお互いを見つめどちらと無く笑い、あたし達はまたキスをした
時計の針が登校時刻を示す頃まであたし達はキスに溺れ、お互いの想いに喜びを感じていた
冷えた空気のせいか吐いた息が白い、太陽がまだ顔を出さない明け方に俺は機材を運び最近ずっと観察をしているピカチュウの元へと向かった
相棒のリザードンは眠そうにあくびをしながら歩き、俺も似たように大きくあくびを一つした
ふと振り向けば俺の家の隣にあるナマエの家に目が止まる
二階の彼女の部屋はまだカーテンが閉まっており起きてない事を知らせた
【本当?……あたしで…フリードさんはときめいてくれますか?】
思い出すのは昨晩の出来事
彼女の言葉が俺を離さず正直眠れなかった
「……とっくにときめいてんだよ…俺は」
ぎゅあ?
行かないのかとリザードンに顔を覗き込まれ俺は軽く肩を上下させてみせるといつの間にか止めていた足を再度動かした
今日で三日目、明日には彼女の親が帰って来る
二人で過ごす日も今日で終わりかと思うと俺は名残惜しいような寂しさを感じていた
ずっと彼女と一緒にいたい
出来る事なら朝から眠る瞬間まで側で存在を感じていたい
俺はポケモン博士で
ナマエはアカデミーの生徒
それぞれのやるべき事があるし何より未成年の彼女を縛る事はできないが
どうにかならないものかと考えてしまう
目的地に辿り着きお目当てのピカチュウを前にした俺はいつものようにカメラを用意しようとしたが、手が止まり瞳を曇らせた
「……やめた」
地面にカメラを投げ捨て相棒もどうしたのかと顔をコチラに向けるが、俺はいつまでもウジウジしている自分自身に嫌気が差し眉を寄せた
こんなのは俺じゃない
ナマエの事もピカチュウの研究も待ってるだけじゃ分からない事もある
俺自身が動かなければ手に入る物も入らない!
「リザードン!俺達も飛ぶぞ!」
目の前に立ち昇る土煙と黄色に輝く雷の渦、ピカチュウは自分の技を利用し空へと駆け上りだし俺もリザードンと共に空を目指した
屋根よりも木々よりも高く
高く
もっと高く!
ほぼ同時に辿り着いた空で俺が見た世界は今後の俺の目的を変えるほどの大きな感動を与えてくれた
ピカチュウが見たかった光景
俺の中に生まれた冒険への憧れ
そしてナマエへの恋を再確認してしまった
****************
「お〜い、そろそろ起きないと遅刻すんぞ?」
『ん…んん』
カーテン越しに部屋に入り込む太陽の光は眩しくて温かい
眠気と戦いつつ部屋の外から聞こえたフリードさんの声にあたしはまだ重い瞼を擦りあくびを一つした
三日目になると彼が起こしてくれるのも違和感がなくて寧ろ安心感さえ感じる
ドラメシヤがベッドの下にスリッパを用意してくれて、あたしは影に掛けといた制服に着替えスリッパに足を通した
『ん…起きました』
「よし、開けるぞ?」
準備ができた事を伝えると部屋の外で待っていた彼が室内に入り込み、あたしの顔を見るなり小さく笑った
「ハハッ!髪の毛凄いな!ボッサボサだぜ?」
『そうですか?ん〜後でドラメシヤに手伝って貰おっかな』
「下の階に行く前に俺がやってやるから後ろ向けよ」
彼はそう言うと鏡台からブラシを取りベッドへと腰掛けた
後ろを向けと顎で言われあたしはモゾモゾとベッドを移動し彼に背中を向け身を任せた
ボサボサになっていた髪をフリードさんは優しくブラシで撫で静かな部屋に髪を滑るブラシの音が妙に響く
人に頭を撫でられるのは気恥ずかしくて、それでいてとっても気持ちがいい
「そう言えば、今日あのピカチュウを仲間にしたんだ」
『本当に!いつの間にそんな…』
「あいつが見ていた世界がなんなのかやっと分かったんだ、実はな…」
髪を梳かしながら彼は今朝見た世界について教えてくれた
太陽よりも高く飛び世界の広さと美しさを共有し、ピカチュウとの間に絆が出来た事を…
そして髪の毛を綺麗に梳かし終えるとフリードさんは腕を降ろし黙り込んた
『フリードさん?』
「……」
振り返って彼の顔を下から覗き込む
真剣な顔つきで何処かを見ていた瞳はゆっくりとあたしを見つめ静かに口を開いた
「俺…パルデアを出ようと思う」
『…………え……えっと、どういう事ですか?』
パルデアを出るってどういう事?
せっかく引っ越してきたのにまた何処かへ引っ越すと言う意味なのか
頭がパニックを起こしあたしはただ彼を見つめた
「天才ポケモン博士なんて言われてるが今俺がやってる事は机に座って研究書を書くばかり…正直結構前から違和感があったんだ、俺がしたかった事じゃないって」
ブラシをベッドの上に離した彼はあたしの手を優しく握り蜂蜜色の真剣な瞳を真っすぐに向けてくる
「もっと世界を見てみたい!この世界の謎とポケモンの謎をこの目で確かめに行きたいんだ!」
『………いつ…行くんですか?』
もっと詳しく聞きたいのに
あたしの口から出たのは別れの日についてだけ
フリードさんは眉間にシワをよせあたしの手を強く握りながら視線を下へと落とした
「今船を作ってる…出来上がり次第旅立つつもりだ」
『…………』
どうしよう
頭が働かない
何か言わないといけないのに
何を言えばいいのか分からない
だって…それってもう会えないって事でしょ?
旅って旅行みたいにすぐ何日かで戻って来るわけじゃないよね?
せっかく、仲良くなれたのに
もう……会えなくなるんだ
「ナマエ?」
黙り込むあたしに気が付き彼は顔を上げ目を見開いた
なんでそんなに驚いてるのかな
あたし変な顔してる?
あれ?なんかフリードさんが歪んで…
あぁ、見えないや
これは…
まばたきをした途端あたしの目から熱い涙が零れ落ちた
まつ毛を濡らし頬に流れ落ちる涙は止まる事なく何粒も何粒も零れ落ち、喉奥がヒリヒリする
鼻の奥が狭くなってあたしは息をするもの苦しくなって背中を丸めた
『ぁ、っ、ごめっ、ひっ、なんか…涙がっ、んんっ、っく』
どうしよう、上手く喋れないよ
謝りたいのに
せっかくフリードさんが決めた新しい道なんだから祝福してあげたいのに
できない
口元を抑え喉をひくつかせながら泣くあたしをフリードさんは突然強く抱き寄せ、自分の胸元へと包みこんだ
「何泣いてんだよ、一生の別れじゃないだろ?」
『ん、だって…っ、パルデアを、出るって』
「必ず戻って来る、最高の仲間を見つけてパルデアに戻って来る…だからその時は」
フリードさんはあたしの濡れた頬を片手で撫で上を向かせた
あたしだけを見る蜂蜜色の瞳は美しくそれでいて優しく輝いていた
「一緒に来てくれるか?」
てっきり別れかと思った
二度と会えないと思ったのに、彼はあたしを求めてくれた
『ぁ、あたひっ、フリードさんに言いたかった事がっ』
「ん…俺もある」
鼻水が出そうだし
喉は痛いしきっと顔は悲惨な事になってる
でも今じゃないときっと言えない気がして、あたしはずっと心に押し込んでいた事を口にした
『あたしっ』
「俺は」
『ポケモンと話せるのっ!』
「お前が好きだ」
言い切った後、あたし達はお互いを見つめ酷く驚いた顔を浮かべた
それはもう涙が引っ込む程
だって今聞き間違いじゃなければフリードさんはあたしを好きって…
『えっ?あ…あの、好き?好きって…友達って意味の?』
顔が急激に熱くなりながら聞き返すとフリードさんもほんのりと頬を赤めだした
「なんでそうなるんだよっ!一人の女の子として好きって意味だ!つーかポケモンと話せるのか!なんで今まで黙ってたんだよ!」
『いや…だって、嫌われたくなかったから…』
「嫌うわけないだろ!最高の力じゃないか!ハハッ!やっぱりお前は俺と一緒に旅する運命なんだな!」
予想外の反応をし好意的な態度を取る彼は何処かスッキリとしていて、あたしの耳に頬を掠めていた髪の毛の束をかけてくれた
「お前の力も含めてお前が好きだ!だから俺にお前の全部をくれないか?」
『〜〜っ、なんか…なんて言っていいか分からないけど』
彼の親指があたしの唇の端を優しく撫で誘ってくる
大人の女の人ならなんて答えるのか分からないけど…
あたしはあたしの言葉で彼に想いを伝えた
『あたしも、フリードさんが大好きです』
初めての告白はとても子供っぽい言葉になってしまった
愛してるなんて恥ずかしくて言えないし好きって言葉よりきっと今のあたしの想いは大きいの
だから大好きって伝えた
呆れられるかと思ったら彼は嬉しそうに口角を上げ目尻を垂れさせ笑った
「俺も…大好きだっ」
喜びにあたしまで胸を温かくさせ体中がぽかぽかしてくる
愛しさが溢れて好きって気持ちがどんどん大きくなって落ち着かなくなった頃
フリードさんはあたしの頬を支える手とは別の手で腰を引き寄せ、前を見ればさっきよりも彼の顔が近かった
『フリード…さ…』
「ナマエ……好き…大好きだ」
囁くような声と共に彼の唇があたしの唇に触れ、柔らかい感触に胸が飛び跳ねそうになった
…ちゅっ
唇が離れた瞬間、ちょっとエッチな音が鳴ってしまった
キスって本当にこんな音がするんだ
呑気に頭の片隅でそう感じていると顔を少し離したフリードさんは小さく笑い、また触れるだけのキスをしてくれた
ちゅっ…ちゅ…ぷっ…
何度か触れては離れるキスを繰り返し、キスの気持ちよさにうっとりと瞳を潤わせた頃フリードさんはやっと唇を離し熱くなったあたしの頬を撫でてくれた
「……キス…気持ちいいな?」
『…うん…気持ちいい』
照れながらお互いを見つめどちらと無く笑い、あたし達はまたキスをした
時計の針が登校時刻を示す頃まであたし達はキスに溺れ、お互いの想いに喜びを感じていた