第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は待ちに待ったジムチャレンジの開会式
浮足立つのは何もルーキー達だけではなくオレ達ジムリーダーも同じ事だ
今年はどんな奴らが挑んでくるか
そして今度こそダンデに膝をつかせてやるのはキバナさまだと皆に見せつけてやる
ダイマックスバンドとグローブを手に装着し紺色のユニフォームの上にいつもの黒いパーカーを羽織ったオレは鏡を見ながら最後のチェックをする
目は血走ってないか、目の下のクマはないか
髪の毛から肌の質までいつも通り完璧
どの角度で見ても様になるのは流石オレさまって感じだ
確認に満足しトレードマークのオレンジ色のバンダナをつけ終わると、ふと充電器で眠るロトムに目が止まった
スヤスヤと眠るロトムからして何も着信がないんだろうと分かるが…
「………ヘイ、ロトム!何か連絡入ってないか?」
呼べばロトムは眠そうに瞬きをしつつ宙を浮きスマホ画面を光らせ、SNS以外特に変化はない事が分かりオレはついため息を一つ吐いた
「…………チハルちゃん」
数日前にワイルドエリアで会った彼女は随分と弱っていた、何かに怯え無理した様子が気になって何度か問いかけたが答えてくれない
メールも何回か送るが似たような返しばかりでオレが聞きたい事には触れようともしない
彼女は何を秘密にしているのか…そう言えば詳しく彼女について聞いた事がなかったな
「……よし!待ってるだけなんてキバナさまらしくねぇし、誘ってみるか」
開会式後に会えないかメールを送れば数分後直ぐに嬉しい返事が来た
それだけでオレの口元は緩み目尻がいつも以上に下がった気がした
*******************
その後ー
エンジンシティにフライゴンで到着したキバナをダンデが直ぐに見つけ片手を大きく振りながら近寄ってきた
いつものユニフォームに王様でも思わせるようなマントを揺らし、笑うコイツを早く負かしてやりたい
闘争心を隠しつつキバナもにこやかに片手をヒラヒラと振り合流すると並んでエンジンシティのジム内へと入った
「今年も沢山のチャレンジャーが集まったな」
「ああ!どんな選手か楽しみだ」
楽しげに話すダンデは本当に嬉しそうに顔を明るくさせる、何よりもバトルを愛する彼らしいと思いつつキバナは今一番気になっている少女の名を口にした
「そういや、チハルちゃんにメッソンあげたんだろ?」
彼女の話題を出せばダンデの顔は急に強張りぎこちなくキバナへと振り向いた
「……なんで知ってるんだ?」
知られて不味い事でもないのに、こちらを睨む金色は早く理由を言えと言っているように見える
「先週だったか?ワイルドエリアで偶然会ってよ、随分特訓してたしルーキーの中でも一番強くなってると思うぜ」
「そ…そうか、頑張ってるんだな」
「……なんで顔赤くしてんの?キモっ」
「別に赤くなんてしてないっ!」
先週…ダンデの頭の中ではその頃自分が犯してしまった行為が思い出され罪悪感と羞恥心に顔が赤くなってしまう
彼女は日々ダンデとの約束を叶えようと頑張っているというのに、自分はそんな純粋な少女を想像の中で穢してしまった
それも一度ではない
「(あの日以来毎晩のように夢に彼女が出てきて…正直今も会いたいのか会いたくないのか分からないぜ)」
なんとか誤魔化そうと帽子を深く被り直し話題を変えようと考え始めるとキバナの方から運良く話題を変えてくれた
「てかさ…オマエはチハルちゃんと深く話した事ある?」
「え?」
「いや……悪いやっぱ何でもねぇわ、ちょっと気になる事があっただけ」
歩く速さを早め前を先に歩き出すキバナは両手をパーカーへと入れ瞳を曇らせた
聞きたいと思うのに逆にダンデが自分の知らない情報を知っていたらと思うと面白くなかった
我儘な自分に呆れつつ彼はダンデに違和感を持たせたまま会場へと消えていく
会場には既にローズが演説を始めており彼の呼びかけによりジムリーダーが入場した
広いコートの芝生を踏み鳴らし地響きのような歓声を肌に受けながら歩くキバナは緊張する事もなくファンに手を振り、自撮りするほど余裕を見せる
「(やっぱ今年もネズは来なかったか)」
開会式なのにジムリーダーが全員揃わないのもいつもの事だ、この場にいないネズはローズを特に良く思っておらず参加した事がない
やれやれと小さく笑いながら指定の場所で足を止めるとローズが彼らの後ろへと片手を向け大きな声を出した
「さあチャレンジャー達の入場です!」
自然とキバナも後ろを振り返り白いユニフォームに身を包んだルーキー達を眺める
動作がぎこちない者やビクビクと辺りを見回す者、年齢関係なく緊張した面持ちの彼らを眺め目的の少女を探す
「(おっ、いたいた)」
最後の方で現れたチハルは少々緊張に顔を強張らせているものの、表情は明るくワクワクといった喜びを浮かべていた
じっと見つめすぎ視線でも感じたのか
キバナと目が合ったチハルは一瞬キョトンと目を見開くと遠慮がちに骨盤辺りで低く手を振ってくれた
「ぷっ、くくっ…(可愛いっなんでそんな小さく手振ってんだよ)」
笑いつつもキバナは片手をひらつかせ、もっと見ていたいところだがローズの話が始まり仕方なく視線を元に戻した
「知り合いかい?」
隣に並ぶメロンから小声で声をかけられキバナも同じように周りに聞こえない小さな声で答える
「えぇ…今年の期待のルーキーっすね」
「ふーん?珍しいね、あんたがルーキーに期待するなんて」
「そうっすか?」
そんなに珍しいだろうかと小首を傾げるがメロンはニッコリと笑い
「あんたは毎年何処かルーキーを見下してたからね、自分の元に来るはずないとかダンデの相手は自分以外無理だろうって顔に出てんだよ」
「………すんません」
図星だ
ジムチャレンジをしていると後半のジムでリタイアする選手が多くナックルジムに挑む者も数人いるかどうかだ
ましてやキバナに勝てる者は殆どいなかった
その為ジムチャレンジの華を飾る試合は決まってダンデ対キバナという事が多かった
これが当たり前
いつの間にかルーキーに何も期待してなかった事を知りキバナは気まずそうに視線を彷徨わせた
ローズの演説は確かに聞こえているのに耳の中を通り過ぎていき何も頭に入ってこない
「(なんでだろうな……チハルちゃんならオレの元に辿り着ける気がする)」
ちらりと横へ視線を向け並んだチャレンジャーの奥に見えた彼女を見つめ、キバナは静かに微笑んだ
浮足立つのは何もルーキー達だけではなくオレ達ジムリーダーも同じ事だ
今年はどんな奴らが挑んでくるか
そして今度こそダンデに膝をつかせてやるのはキバナさまだと皆に見せつけてやる
ダイマックスバンドとグローブを手に装着し紺色のユニフォームの上にいつもの黒いパーカーを羽織ったオレは鏡を見ながら最後のチェックをする
目は血走ってないか、目の下のクマはないか
髪の毛から肌の質までいつも通り完璧
どの角度で見ても様になるのは流石オレさまって感じだ
確認に満足しトレードマークのオレンジ色のバンダナをつけ終わると、ふと充電器で眠るロトムに目が止まった
スヤスヤと眠るロトムからして何も着信がないんだろうと分かるが…
「………ヘイ、ロトム!何か連絡入ってないか?」
呼べばロトムは眠そうに瞬きをしつつ宙を浮きスマホ画面を光らせ、SNS以外特に変化はない事が分かりオレはついため息を一つ吐いた
「…………チハルちゃん」
数日前にワイルドエリアで会った彼女は随分と弱っていた、何かに怯え無理した様子が気になって何度か問いかけたが答えてくれない
メールも何回か送るが似たような返しばかりでオレが聞きたい事には触れようともしない
彼女は何を秘密にしているのか…そう言えば詳しく彼女について聞いた事がなかったな
「……よし!待ってるだけなんてキバナさまらしくねぇし、誘ってみるか」
開会式後に会えないかメールを送れば数分後直ぐに嬉しい返事が来た
それだけでオレの口元は緩み目尻がいつも以上に下がった気がした
*******************
その後ー
エンジンシティにフライゴンで到着したキバナをダンデが直ぐに見つけ片手を大きく振りながら近寄ってきた
いつものユニフォームに王様でも思わせるようなマントを揺らし、笑うコイツを早く負かしてやりたい
闘争心を隠しつつキバナもにこやかに片手をヒラヒラと振り合流すると並んでエンジンシティのジム内へと入った
「今年も沢山のチャレンジャーが集まったな」
「ああ!どんな選手か楽しみだ」
楽しげに話すダンデは本当に嬉しそうに顔を明るくさせる、何よりもバトルを愛する彼らしいと思いつつキバナは今一番気になっている少女の名を口にした
「そういや、チハルちゃんにメッソンあげたんだろ?」
彼女の話題を出せばダンデの顔は急に強張りぎこちなくキバナへと振り向いた
「……なんで知ってるんだ?」
知られて不味い事でもないのに、こちらを睨む金色は早く理由を言えと言っているように見える
「先週だったか?ワイルドエリアで偶然会ってよ、随分特訓してたしルーキーの中でも一番強くなってると思うぜ」
「そ…そうか、頑張ってるんだな」
「……なんで顔赤くしてんの?キモっ」
「別に赤くなんてしてないっ!」
先週…ダンデの頭の中ではその頃自分が犯してしまった行為が思い出され罪悪感と羞恥心に顔が赤くなってしまう
彼女は日々ダンデとの約束を叶えようと頑張っているというのに、自分はそんな純粋な少女を想像の中で穢してしまった
それも一度ではない
「(あの日以来毎晩のように夢に彼女が出てきて…正直今も会いたいのか会いたくないのか分からないぜ)」
なんとか誤魔化そうと帽子を深く被り直し話題を変えようと考え始めるとキバナの方から運良く話題を変えてくれた
「てかさ…オマエはチハルちゃんと深く話した事ある?」
「え?」
「いや……悪いやっぱ何でもねぇわ、ちょっと気になる事があっただけ」
歩く速さを早め前を先に歩き出すキバナは両手をパーカーへと入れ瞳を曇らせた
聞きたいと思うのに逆にダンデが自分の知らない情報を知っていたらと思うと面白くなかった
我儘な自分に呆れつつ彼はダンデに違和感を持たせたまま会場へと消えていく
会場には既にローズが演説を始めており彼の呼びかけによりジムリーダーが入場した
広いコートの芝生を踏み鳴らし地響きのような歓声を肌に受けながら歩くキバナは緊張する事もなくファンに手を振り、自撮りするほど余裕を見せる
「(やっぱ今年もネズは来なかったか)」
開会式なのにジムリーダーが全員揃わないのもいつもの事だ、この場にいないネズはローズを特に良く思っておらず参加した事がない
やれやれと小さく笑いながら指定の場所で足を止めるとローズが彼らの後ろへと片手を向け大きな声を出した
「さあチャレンジャー達の入場です!」
自然とキバナも後ろを振り返り白いユニフォームに身を包んだルーキー達を眺める
動作がぎこちない者やビクビクと辺りを見回す者、年齢関係なく緊張した面持ちの彼らを眺め目的の少女を探す
「(おっ、いたいた)」
最後の方で現れたチハルは少々緊張に顔を強張らせているものの、表情は明るくワクワクといった喜びを浮かべていた
じっと見つめすぎ視線でも感じたのか
キバナと目が合ったチハルは一瞬キョトンと目を見開くと遠慮がちに骨盤辺りで低く手を振ってくれた
「ぷっ、くくっ…(可愛いっなんでそんな小さく手振ってんだよ)」
笑いつつもキバナは片手をひらつかせ、もっと見ていたいところだがローズの話が始まり仕方なく視線を元に戻した
「知り合いかい?」
隣に並ぶメロンから小声で声をかけられキバナも同じように周りに聞こえない小さな声で答える
「えぇ…今年の期待のルーキーっすね」
「ふーん?珍しいね、あんたがルーキーに期待するなんて」
「そうっすか?」
そんなに珍しいだろうかと小首を傾げるがメロンはニッコリと笑い
「あんたは毎年何処かルーキーを見下してたからね、自分の元に来るはずないとかダンデの相手は自分以外無理だろうって顔に出てんだよ」
「………すんません」
図星だ
ジムチャレンジをしていると後半のジムでリタイアする選手が多くナックルジムに挑む者も数人いるかどうかだ
ましてやキバナに勝てる者は殆どいなかった
その為ジムチャレンジの華を飾る試合は決まってダンデ対キバナという事が多かった
これが当たり前
いつの間にかルーキーに何も期待してなかった事を知りキバナは気まずそうに視線を彷徨わせた
ローズの演説は確かに聞こえているのに耳の中を通り過ぎていき何も頭に入ってこない
「(なんでだろうな……チハルちゃんならオレの元に辿り着ける気がする)」
ちらりと横へ視線を向け並んだチャレンジャーの奥に見えた彼女を見つめ、キバナは静かに微笑んだ