第一章
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成人する前に一年間だけでいい
自由をください
初めて親にお願いした我が儘は予想よりも簡単に叶った、この尊い一年間をあたしは憧れていたガラルで使う事を決めすぐに行動に移す
初めての旅行
初めての自由が嬉しくて嬉しくて、居ても立っても居られなくて宿泊場所ではなく大自然に包まれたワイルドエリアへと走った
スーツケースも投げ捨て服が汚れる事も気にせず草むらを走り水溜りを飛び越え、小さな子供のように目を輝かせ疲れれば眠りに落ちる
どこまでも広い青空
草花の清々しい匂いと遠くで聞こえるポケモンの楽しげな声、圧迫感のある壁も鍵のついた扉もここにはない
全てから解放された気分になり久しぶりにゆっくりと眠った
暫くして誰かが頬を叩いたと思えば目の前には二人の男性が立っていて一瞬親があたしを呼び戻す為に雇った人達かと疑ったがどうやら違う
キバナさんとダンデさん
彼らはポケモンを持たないあたしの事を心配しナックルシティまで連れてってくれた
オレンジのバンダナが目立つ大きなキバナさんと紫の長い髪とマントを揺らし歩くダンデさん
二人ともとても格好よくて親切で、ガラル初日にしてラッキーだなと思ってしまう
「んで?ガラルに来た目的は?何処か見たい場所あるの?」
隣を歩くキバナさんが不意に話しかけてくれた
身長の高い彼に顔を向けようとすると首が痛くなる程上で困ってしまう
その事に気がついたのか彼は何も言わずに軽く背中を丸め視線を少し近づけてくれた
いい人だ!
『観光もありますが、もしできたらジムチャレンジをしてみたくて』
「君ジムチャレンジに興味があるのか!」
反対隣にいたダンデさんはジムチャレンジと聞くとすぐに反応し声を大きくあげた
勢い任せに声を出したんだろうけどあまりの大きな声についびっくりしてしまう
「うるせぇな〜バトルにばっか反応すんなよ」
片耳に指を差し込み耳栓をしたキバナさんは嫌そうにダンデさんを睨んだけど彼は全然気にしていないみたい
「いいだろ?でもジムチャレンジか…ならまずは相棒を見つけないとな」
あたしのスーツケースを持っていない方の手で彼は自分の顎を撫で小さく唸り声をあげた
「そうだな…明後日ハロンにいる弟にポケモンをあげるつもりなんだが、良かったら君も来るか?三匹用意するつもりだから一匹なら譲れるぜ?」
『本当ですか!是非!』
突然の提案にあたしは飛び跳ねたい程喜びダンデさんへと明るい顔を向けた
正直どうすればいいか分からなくて困っていたから助かる!感謝の気持ちを込めて笑顔を向ければダンデさんはキョトンと金色の瞳を大きくさせ次の瞬間すぐに顔を背けた
「勿論相棒がいるだけじゃ駄目だぜ?弟にも言ってるがバトルを見て納得できなければ俺は推薦状を渡すつもりはない」
『推薦状?』
「ジムチャレンジするには推薦状がいんの、特にチャンピオンが推薦状出すなんて今までなかったからレアだぜ?」
『え?ダンデさんって…チャンピオンなんですか?』
不意に二人の足が止まりあたしを驚いた顔で見下ろした、そんなに驚く事を言ったんだろうか?
不安にオロオロとキバナさんとダンデさんの顔を見つめる
「あれ?今更?」
「……俺を知らないなんて、なんだか新鮮だな」
怒ってはいないようだけど、やっぱり申し訳ない気分だ
『すみません、あたし疎くて』
ガラルの土地やポケモンばかり気にしていたせいかな?後で調べようかなと考えていると急にキバナさんが片眉を吊り上げ瞳を細めた
「ちょっと待って!まさかオレさまの事も知らない…とか?」
『はい』
「えぇぇぇー!!嘘っ!ガラルの外でも結構オレさま人気ある方なのにっ!キバナさまを知らないなんて許せぇねぇ!」
『え?ええ?すみませんっ』
キバナさんもガラルでは知ってて当たり前の人物なんだろうか
寧ろなんでそんな有名人さんが二人もあたしの隣で…
しかも一人はあたしの荷物を当たり前のように持ってくれてるし、一体どうなってるんだろう
困惑しているとキバナさんが自分の眉間のシワを指で摘み顔を歪ませた
「駄目っ!許せない!ちょっとスマホ出して!オレのSNS教えるから絶対見ろよ!」
迫力に負けてスマホを取り出せば彼は素早い指の動きであたしのスマホを操作し始め返された画面にはキバナさんのブログ画面が映っていた
『うわわっ…なんか凄いフォロワーさんの数、有名人さんなんですね?』
素直に驚けばキバナさんはやっと機嫌を直し、尖った八重歯を覗かせて笑った
「まあな!こいつもオレさま程じゃねぇけど凄えぞ?」
「俺のは別に自分でやってるわけじゃない、周りが勝手に出してるだけだ」
興味無さげに前を向いて歩き始める彼がこのガラルのトップだなんて、こんなに直ぐ側にいるのに多くのトレーナーから見て遠い人だなんて不思議だ
『(二人とも凄い人なんだ)』
ダンデさんに置いてかれないように歩きキバナさんも一緒に並んで進むと、やっとホテルが見えてきた
『あれ?』
ここが宿泊先のはずなんだけど…ダンデさんはスーツケースを持ちながら足を止めずホテルの入口を通り過ぎていってしまった
「おいおいっダンデ!ここだって!本当に方向音痴なオマエって」
「む?あぁっ、すまないっ…そうかこっちか」
慌てて戻ってきた彼は苦笑いを浮かべており、どうやら極度の方向音痴さんみたい
チャンピオンという凄い有名人かと思えばこんなお茶目な一面があってなんだか可愛いなぁと失礼ながらも感じてしまう
「じゃあ俺達はここで、明後日迎えに来るから一緒にハロンに行こう」
『はい!えっと……大丈夫…ですか?』
また迷うんじゃ?と恐る恐る見上げるとキバナさんが口元を抑え笑うのを堪えていた
だってホテルでさえ迷う人だし…あたしもガラルに詳しいわけじゃない
道が分からない者同士でつけるのか不安で聞けばダンデさんは頬を赤めつつ眉を寄せた
「だ…大丈夫だ!リザードンにいつも連れてって貰ってるから、ここもリザードンが覚えてるが…そうだな一応連絡先を交換できるか?」
『え?』
「ダンデくん大胆〜!もう連絡先聞き出すの?」
ニヤニヤするキバナさんにダンデさんは何やら怒り、もう一度あたしを見下ろすと目を泳がせポケットからスマホを取り出した
「あっ…いや、念の為だ!明後日必ず来るが行き違いになったりしたら困るだろ?」
『そうですね、じゃあお願いします』
断る理由もないからあたしもスマホを取り出しロトムに連絡先を交換してもらうともう一台の別のロトムが突然現れあたしのスマホに近寄った
「んじゃキバナさまとも交換しようぜ!これも何かの縁だし、明後日までの間に時間取れたら観光案内してやるよ」
『わぁ!いいんですか!楽しみにしちゃいますよ!』
観光もしたかったからとっても嬉しい!
ダンデさんとキバナさんの連絡先が入ったスマホを手元に戻すとあたしは胸に抱きしめ頬を緩ませ、そんなあたしを二人はじっと見下し口元を緩ませていたらしい
*******************
チハルがホテル内へと消えるのを見届けた二人は約束していたバトルをする為にナックルジムへと向かったが、それぞれお互いに話すわけでもなくぼんやりと先程出会った少女について考えていた
「(ちっちゃくて可愛かったなぁ、おっぱいもデカイしなんか素直そうで……いい子かも)」
ふわふわとした気分は春のせいか
キバナは気持ちのいい余韻を感じつつ明日の仕事の時間に空きがないか考え出し
ダンデもまた自分の事をチャンピオンではなく一人の男として接してくれた彼女を思い出しては眉を下げ、ぼんやりと遠くを見つめていた
「(連絡先…女性と交換したのは初めてだな、いやこれは明後日の為であって別に下心はない…ない……筈だぜ)」
結局バトルにも身が入らずこの日は二人とも散々な試合になった
自由をください
初めて親にお願いした我が儘は予想よりも簡単に叶った、この尊い一年間をあたしは憧れていたガラルで使う事を決めすぐに行動に移す
初めての旅行
初めての自由が嬉しくて嬉しくて、居ても立っても居られなくて宿泊場所ではなく大自然に包まれたワイルドエリアへと走った
スーツケースも投げ捨て服が汚れる事も気にせず草むらを走り水溜りを飛び越え、小さな子供のように目を輝かせ疲れれば眠りに落ちる
どこまでも広い青空
草花の清々しい匂いと遠くで聞こえるポケモンの楽しげな声、圧迫感のある壁も鍵のついた扉もここにはない
全てから解放された気分になり久しぶりにゆっくりと眠った
暫くして誰かが頬を叩いたと思えば目の前には二人の男性が立っていて一瞬親があたしを呼び戻す為に雇った人達かと疑ったがどうやら違う
キバナさんとダンデさん
彼らはポケモンを持たないあたしの事を心配しナックルシティまで連れてってくれた
オレンジのバンダナが目立つ大きなキバナさんと紫の長い髪とマントを揺らし歩くダンデさん
二人ともとても格好よくて親切で、ガラル初日にしてラッキーだなと思ってしまう
「んで?ガラルに来た目的は?何処か見たい場所あるの?」
隣を歩くキバナさんが不意に話しかけてくれた
身長の高い彼に顔を向けようとすると首が痛くなる程上で困ってしまう
その事に気がついたのか彼は何も言わずに軽く背中を丸め視線を少し近づけてくれた
いい人だ!
『観光もありますが、もしできたらジムチャレンジをしてみたくて』
「君ジムチャレンジに興味があるのか!」
反対隣にいたダンデさんはジムチャレンジと聞くとすぐに反応し声を大きくあげた
勢い任せに声を出したんだろうけどあまりの大きな声についびっくりしてしまう
「うるせぇな〜バトルにばっか反応すんなよ」
片耳に指を差し込み耳栓をしたキバナさんは嫌そうにダンデさんを睨んだけど彼は全然気にしていないみたい
「いいだろ?でもジムチャレンジか…ならまずは相棒を見つけないとな」
あたしのスーツケースを持っていない方の手で彼は自分の顎を撫で小さく唸り声をあげた
「そうだな…明後日ハロンにいる弟にポケモンをあげるつもりなんだが、良かったら君も来るか?三匹用意するつもりだから一匹なら譲れるぜ?」
『本当ですか!是非!』
突然の提案にあたしは飛び跳ねたい程喜びダンデさんへと明るい顔を向けた
正直どうすればいいか分からなくて困っていたから助かる!感謝の気持ちを込めて笑顔を向ければダンデさんはキョトンと金色の瞳を大きくさせ次の瞬間すぐに顔を背けた
「勿論相棒がいるだけじゃ駄目だぜ?弟にも言ってるがバトルを見て納得できなければ俺は推薦状を渡すつもりはない」
『推薦状?』
「ジムチャレンジするには推薦状がいんの、特にチャンピオンが推薦状出すなんて今までなかったからレアだぜ?」
『え?ダンデさんって…チャンピオンなんですか?』
不意に二人の足が止まりあたしを驚いた顔で見下ろした、そんなに驚く事を言ったんだろうか?
不安にオロオロとキバナさんとダンデさんの顔を見つめる
「あれ?今更?」
「……俺を知らないなんて、なんだか新鮮だな」
怒ってはいないようだけど、やっぱり申し訳ない気分だ
『すみません、あたし疎くて』
ガラルの土地やポケモンばかり気にしていたせいかな?後で調べようかなと考えていると急にキバナさんが片眉を吊り上げ瞳を細めた
「ちょっと待って!まさかオレさまの事も知らない…とか?」
『はい』
「えぇぇぇー!!嘘っ!ガラルの外でも結構オレさま人気ある方なのにっ!キバナさまを知らないなんて許せぇねぇ!」
『え?ええ?すみませんっ』
キバナさんもガラルでは知ってて当たり前の人物なんだろうか
寧ろなんでそんな有名人さんが二人もあたしの隣で…
しかも一人はあたしの荷物を当たり前のように持ってくれてるし、一体どうなってるんだろう
困惑しているとキバナさんが自分の眉間のシワを指で摘み顔を歪ませた
「駄目っ!許せない!ちょっとスマホ出して!オレのSNS教えるから絶対見ろよ!」
迫力に負けてスマホを取り出せば彼は素早い指の動きであたしのスマホを操作し始め返された画面にはキバナさんのブログ画面が映っていた
『うわわっ…なんか凄いフォロワーさんの数、有名人さんなんですね?』
素直に驚けばキバナさんはやっと機嫌を直し、尖った八重歯を覗かせて笑った
「まあな!こいつもオレさま程じゃねぇけど凄えぞ?」
「俺のは別に自分でやってるわけじゃない、周りが勝手に出してるだけだ」
興味無さげに前を向いて歩き始める彼がこのガラルのトップだなんて、こんなに直ぐ側にいるのに多くのトレーナーから見て遠い人だなんて不思議だ
『(二人とも凄い人なんだ)』
ダンデさんに置いてかれないように歩きキバナさんも一緒に並んで進むと、やっとホテルが見えてきた
『あれ?』
ここが宿泊先のはずなんだけど…ダンデさんはスーツケースを持ちながら足を止めずホテルの入口を通り過ぎていってしまった
「おいおいっダンデ!ここだって!本当に方向音痴なオマエって」
「む?あぁっ、すまないっ…そうかこっちか」
慌てて戻ってきた彼は苦笑いを浮かべており、どうやら極度の方向音痴さんみたい
チャンピオンという凄い有名人かと思えばこんなお茶目な一面があってなんだか可愛いなぁと失礼ながらも感じてしまう
「じゃあ俺達はここで、明後日迎えに来るから一緒にハロンに行こう」
『はい!えっと……大丈夫…ですか?』
また迷うんじゃ?と恐る恐る見上げるとキバナさんが口元を抑え笑うのを堪えていた
だってホテルでさえ迷う人だし…あたしもガラルに詳しいわけじゃない
道が分からない者同士でつけるのか不安で聞けばダンデさんは頬を赤めつつ眉を寄せた
「だ…大丈夫だ!リザードンにいつも連れてって貰ってるから、ここもリザードンが覚えてるが…そうだな一応連絡先を交換できるか?」
『え?』
「ダンデくん大胆〜!もう連絡先聞き出すの?」
ニヤニヤするキバナさんにダンデさんは何やら怒り、もう一度あたしを見下ろすと目を泳がせポケットからスマホを取り出した
「あっ…いや、念の為だ!明後日必ず来るが行き違いになったりしたら困るだろ?」
『そうですね、じゃあお願いします』
断る理由もないからあたしもスマホを取り出しロトムに連絡先を交換してもらうともう一台の別のロトムが突然現れあたしのスマホに近寄った
「んじゃキバナさまとも交換しようぜ!これも何かの縁だし、明後日までの間に時間取れたら観光案内してやるよ」
『わぁ!いいんですか!楽しみにしちゃいますよ!』
観光もしたかったからとっても嬉しい!
ダンデさんとキバナさんの連絡先が入ったスマホを手元に戻すとあたしは胸に抱きしめ頬を緩ませ、そんなあたしを二人はじっと見下し口元を緩ませていたらしい
*******************
チハルがホテル内へと消えるのを見届けた二人は約束していたバトルをする為にナックルジムへと向かったが、それぞれお互いに話すわけでもなくぼんやりと先程出会った少女について考えていた
「(ちっちゃくて可愛かったなぁ、おっぱいもデカイしなんか素直そうで……いい子かも)」
ふわふわとした気分は春のせいか
キバナは気持ちのいい余韻を感じつつ明日の仕事の時間に空きがないか考え出し
ダンデもまた自分の事をチャンピオンではなく一人の男として接してくれた彼女を思い出しては眉を下げ、ぼんやりと遠くを見つめていた
「(連絡先…女性と交換したのは初めてだな、いやこれは明後日の為であって別に下心はない…ない……筈だぜ)」
結局バトルにも身が入らずこの日は二人とも散々な試合になった