第三章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「リョウタさん、この書類って何処に保管すればいいですか?」
「ああ、それなら僕がついでに持っていきますので」
ナックルシティのジムトレーナーであるリョウタはキバナの右腕的な存在であり後輩達にも頼られている
自分のトレーナーとしての腕をあげる努力は勿論キバナの補佐として事務仕事もこなす彼は優秀だ
「ん…あれは」
そんな彼の目に入ったのはリーグ委員長であるローズと彼の秘書
そしてローズの向かい側で俯く一人の少女だった
「(あの女の子は確か…キバナ様が気にしていたルーキーでは?)」
雑談にしては様子がおかしい
リョウタは物陰に身を潜め暫く彼の様子を伺う事にした
「(何を話しているんだ?)」
あまり近寄ってはバレてしまう
そのせいで会話までは聞こえなかったが、ローズに肩を数回叩かれた彼女は顔を曇らせている
その後ローズは彼女の耳元へと何なら囁やき、体を元に戻すとニッコリと微笑みジムを出ていった
だが一人残っているチハルはまだ動かず顔を青くさせ自分の服を強く掴んでいた
リョウタはほっとけず彼女に声をかけようと近寄った
「失礼、大丈夫ですか?顔色が悪そうですが」
『えっ…あ…』
ビクッと体を揺らした彼女の顔は酷く怯えており普通じゃない
ローズに何を言われればこんなに怯えた顔になるのか
リョウタはお節介かもしれないと思いつつ口を開いた
「何か言われたんですか?僕自身には力はないが…相談くらいなら聞けますよ?」
『…いえ、ありがとうございます!なんでもないんです!本当に…ありがとう』
無理に笑っているのは見て分かる
痛々しい笑顔を向けるチハルはリュックを背負い直すと逃げるようにジムを出ていってしまい、リョウタはローズと彼女の様子の違和感に胸を騒がせた
*****************
その日の夕方ー
今夜はついに流星群のイベントの日だ、キバナは約束していた場所に向かう為に自宅で最後の準備をしていた
「えーと、キャンプ一式は置いてきたし…後は食材と……」
ふと寝室に目が止まるとベッドサイドにいるヌメラのぬいぐるみが気を引いた
「……ハハッ、オマエもハニーに会いたいよな?」
連れてけばチハルが喜ぶかもしれない、彼女の笑った顔を想像しながらヌメラを掴むとぬいぐるみの横に置かれた四角形の薄い包みに動きが止まる
「…い…いやぁ〜…使わねぇし?…でも…もしもそんな雰囲気になっちまったら…ねぇのは困るよな?」
誰に聞いてるのか
彼以外誰もいないと言うのにキバナは言い訳でもするように呟き
油の切れた機械のようにぎこちなく手を薄い包みへとじわりじわりと伸ばした
「万が一だ、うん!別に下心じゃねぇしっ!」
頬を赤めつつズボンのポケットにそれを勢いよくねじ込んだ彼は体を物にぶつけつつ寝室を後にし、荷物が入った鞄片手に家を出た
ナックルの街は既にお祭りのように人々で賑わい恋人や夫婦がいつもより目立つ
すれ違う彼らは皆幸せそうで
つないだ手からお互いを大切に思う気持ちが見えキバナは瞳を細めた
「(オレも……オレ達も…なれっかな)」
未来の自分達の関係を期待し待ち合わせのワイルドエリアへの出入口へと着くと真っ白いTシャツに青色の短いスカート姿をしたチハルが一人立っていた
スマホをいじっておりまだキバナには気づいていないのだろう
風が吹く度に揺れる髪の毛が頬を撫で、それを擽ったそうに耳にかける
そんななんでもない仕草にキバナは見惚れ、わざと今着いたばかりといった雰囲気にする為軽く走る
「よおっ!待たせちまったか?」
『キバナさん!いいえ、そんなに待ってませんよ』
側に近寄れば小さな彼女はキバナを見上げじっと熱い視線を向ける
「ん?何?」
『いえ、いつもと違う服だな〜と思って』
今のキバナはいつものユニフォームではなく私服だ
黒いTシャツにズボンとラフな格好だが首元のチェーンアクセサリーがポイントとなっていて彼らしい
「せっかくのデートなのにユニフォーム姿じゃ味気ないだろ?」
『デ…デートじゃないですから』
口を尖らせそっぽを向いてしまう彼女にクスクスと小さく笑い、キバナは改めてチハルを見つめた
「可愛いじゃん、今日の服…オレ好きだわ」
『そうですか?へへ…あたしもこの服気に入ってます!特にスカートの色綺麗でしょ?キバナさんの瞳みたいな色で買っちゃいました』
服を褒められたのが嬉しくて頬を緩ませてしまう
それはキバナも同じであり内心胸をキュンとさせていた
「(オレさまの瞳の色みたいって…それ無意識?可愛いんだけど)」
「んじゃ〜どうしよっか、街に出店も出てるけど少し見てからテント行く?」
これ以上は顔がニヤけてしまう
キバナは視線を逸らし街へと顔を向けるが、チハルは言いづらそうに彼の服の裾を掴んだ
『あの、それが…』
「ん?なぁ〜に?行きたいとこある?なんでも言って?」
何か欲しい物があるなら買ってやりたい、行きたい場所があるなら可能な限り付き合いたい
彼女に何かしてやりたくて堪らないキバナは小首を傾けチハルを見下ろした
『実は…キバナさんに言わないといけない事があって』
彼の服を握る手に力が入りチハルは眉を下げつつキバナを見上げる
「(え?まさか…)」
「(告は…)」
「チハルっ!遅れてすまない!」
淡い期待にキバナが手を伸ばそうとした瞬間、耳に響く大きな声
顔を見なくても分かる声にキバナはげんなりと顔を歪ませ相手へと視線を向けた
「ダ〜ン〜デっ!てめぇ…どんだけ空気読めねぇんだよっ!!」
コチラへと走ってきたダンデは白いTシャツに青いズボンと爽やかな格好で頭にはいつもの帽子を被っていた
彼はチハルしか目に入っていなかったのか、キバナに気がつくとギョッと目を見開き顔を歪めた
「キバナ…なんで君がチハルといるんだ」
ギロリと睨む金色が気に食わなくて青い瞳も吊り上がる
「そりゃこっちの台詞だ!なんでオマエはこう何度もオレとチハルちゃんの邪魔するわけ?」
「何を言っているんだ?今日は君が邪魔してるんじゃないか」
「は?オレさまはチハルちゃんと約束して流星群を…」
「俺だって彼女と流星群を……ん?」
どういう事だ?
お互いに話が噛み合わない事に気がつき二人は同時にチハルへと視線を向けた
視線の先にいた彼女は困り顔のままキバナとダンデを見比べ居心地悪そうに自分の手を弄った
『えっと…その、お二人とも同じ流星群を誘ってくれたから…せっかくだし皆で行ければと思って』
彼女なりの解決策だった
キバナとの約束を破るつもりもないがダンデの事も断れず今に至る
事前にちゃんと言えば良かっただろうかと恐る恐る見つめると、二人はそれぞれショックを受けていた
「えぇぇ?…二人っきりじゃないの?なんで?オレチハルちゃんと二人の方がいい」
「俺だってそうだぜ!君と二人でしか話せない事もあるし…」
ほんのり頬を赤め眉を下げるダンデの反応にいち早く気がついたキバナは瞳を鋭くさせる
「は?何?何話すつもり?」
ギクリと体を大きく鳴らしたダンデは帽子で顔を隠すがキバナは諦めず問い詰める
「てめっ何隠してやがる!」
「キバナには関係ないだろ!俺とチハルだけの話だっ」
ギャンギャン怒る彼らをなんとかなだめながら結局この三人でキャンプする事になった
「ああ、それなら僕がついでに持っていきますので」
ナックルシティのジムトレーナーであるリョウタはキバナの右腕的な存在であり後輩達にも頼られている
自分のトレーナーとしての腕をあげる努力は勿論キバナの補佐として事務仕事もこなす彼は優秀だ
「ん…あれは」
そんな彼の目に入ったのはリーグ委員長であるローズと彼の秘書
そしてローズの向かい側で俯く一人の少女だった
「(あの女の子は確か…キバナ様が気にしていたルーキーでは?)」
雑談にしては様子がおかしい
リョウタは物陰に身を潜め暫く彼の様子を伺う事にした
「(何を話しているんだ?)」
あまり近寄ってはバレてしまう
そのせいで会話までは聞こえなかったが、ローズに肩を数回叩かれた彼女は顔を曇らせている
その後ローズは彼女の耳元へと何なら囁やき、体を元に戻すとニッコリと微笑みジムを出ていった
だが一人残っているチハルはまだ動かず顔を青くさせ自分の服を強く掴んでいた
リョウタはほっとけず彼女に声をかけようと近寄った
「失礼、大丈夫ですか?顔色が悪そうですが」
『えっ…あ…』
ビクッと体を揺らした彼女の顔は酷く怯えており普通じゃない
ローズに何を言われればこんなに怯えた顔になるのか
リョウタはお節介かもしれないと思いつつ口を開いた
「何か言われたんですか?僕自身には力はないが…相談くらいなら聞けますよ?」
『…いえ、ありがとうございます!なんでもないんです!本当に…ありがとう』
無理に笑っているのは見て分かる
痛々しい笑顔を向けるチハルはリュックを背負い直すと逃げるようにジムを出ていってしまい、リョウタはローズと彼女の様子の違和感に胸を騒がせた
*****************
その日の夕方ー
今夜はついに流星群のイベントの日だ、キバナは約束していた場所に向かう為に自宅で最後の準備をしていた
「えーと、キャンプ一式は置いてきたし…後は食材と……」
ふと寝室に目が止まるとベッドサイドにいるヌメラのぬいぐるみが気を引いた
「……ハハッ、オマエもハニーに会いたいよな?」
連れてけばチハルが喜ぶかもしれない、彼女の笑った顔を想像しながらヌメラを掴むとぬいぐるみの横に置かれた四角形の薄い包みに動きが止まる
「…い…いやぁ〜…使わねぇし?…でも…もしもそんな雰囲気になっちまったら…ねぇのは困るよな?」
誰に聞いてるのか
彼以外誰もいないと言うのにキバナは言い訳でもするように呟き
油の切れた機械のようにぎこちなく手を薄い包みへとじわりじわりと伸ばした
「万が一だ、うん!別に下心じゃねぇしっ!」
頬を赤めつつズボンのポケットにそれを勢いよくねじ込んだ彼は体を物にぶつけつつ寝室を後にし、荷物が入った鞄片手に家を出た
ナックルの街は既にお祭りのように人々で賑わい恋人や夫婦がいつもより目立つ
すれ違う彼らは皆幸せそうで
つないだ手からお互いを大切に思う気持ちが見えキバナは瞳を細めた
「(オレも……オレ達も…なれっかな)」
未来の自分達の関係を期待し待ち合わせのワイルドエリアへの出入口へと着くと真っ白いTシャツに青色の短いスカート姿をしたチハルが一人立っていた
スマホをいじっておりまだキバナには気づいていないのだろう
風が吹く度に揺れる髪の毛が頬を撫で、それを擽ったそうに耳にかける
そんななんでもない仕草にキバナは見惚れ、わざと今着いたばかりといった雰囲気にする為軽く走る
「よおっ!待たせちまったか?」
『キバナさん!いいえ、そんなに待ってませんよ』
側に近寄れば小さな彼女はキバナを見上げじっと熱い視線を向ける
「ん?何?」
『いえ、いつもと違う服だな〜と思って』
今のキバナはいつものユニフォームではなく私服だ
黒いTシャツにズボンとラフな格好だが首元のチェーンアクセサリーがポイントとなっていて彼らしい
「せっかくのデートなのにユニフォーム姿じゃ味気ないだろ?」
『デ…デートじゃないですから』
口を尖らせそっぽを向いてしまう彼女にクスクスと小さく笑い、キバナは改めてチハルを見つめた
「可愛いじゃん、今日の服…オレ好きだわ」
『そうですか?へへ…あたしもこの服気に入ってます!特にスカートの色綺麗でしょ?キバナさんの瞳みたいな色で買っちゃいました』
服を褒められたのが嬉しくて頬を緩ませてしまう
それはキバナも同じであり内心胸をキュンとさせていた
「(オレさまの瞳の色みたいって…それ無意識?可愛いんだけど)」
「んじゃ〜どうしよっか、街に出店も出てるけど少し見てからテント行く?」
これ以上は顔がニヤけてしまう
キバナは視線を逸らし街へと顔を向けるが、チハルは言いづらそうに彼の服の裾を掴んだ
『あの、それが…』
「ん?なぁ〜に?行きたいとこある?なんでも言って?」
何か欲しい物があるなら買ってやりたい、行きたい場所があるなら可能な限り付き合いたい
彼女に何かしてやりたくて堪らないキバナは小首を傾けチハルを見下ろした
『実は…キバナさんに言わないといけない事があって』
彼の服を握る手に力が入りチハルは眉を下げつつキバナを見上げる
「(え?まさか…)」
「(告は…)」
「チハルっ!遅れてすまない!」
淡い期待にキバナが手を伸ばそうとした瞬間、耳に響く大きな声
顔を見なくても分かる声にキバナはげんなりと顔を歪ませ相手へと視線を向けた
「ダ〜ン〜デっ!てめぇ…どんだけ空気読めねぇんだよっ!!」
コチラへと走ってきたダンデは白いTシャツに青いズボンと爽やかな格好で頭にはいつもの帽子を被っていた
彼はチハルしか目に入っていなかったのか、キバナに気がつくとギョッと目を見開き顔を歪めた
「キバナ…なんで君がチハルといるんだ」
ギロリと睨む金色が気に食わなくて青い瞳も吊り上がる
「そりゃこっちの台詞だ!なんでオマエはこう何度もオレとチハルちゃんの邪魔するわけ?」
「何を言っているんだ?今日は君が邪魔してるんじゃないか」
「は?オレさまはチハルちゃんと約束して流星群を…」
「俺だって彼女と流星群を……ん?」
どういう事だ?
お互いに話が噛み合わない事に気がつき二人は同時にチハルへと視線を向けた
視線の先にいた彼女は困り顔のままキバナとダンデを見比べ居心地悪そうに自分の手を弄った
『えっと…その、お二人とも同じ流星群を誘ってくれたから…せっかくだし皆で行ければと思って』
彼女なりの解決策だった
キバナとの約束を破るつもりもないがダンデの事も断れず今に至る
事前にちゃんと言えば良かっただろうかと恐る恐る見つめると、二人はそれぞれショックを受けていた
「えぇぇ?…二人っきりじゃないの?なんで?オレチハルちゃんと二人の方がいい」
「俺だってそうだぜ!君と二人でしか話せない事もあるし…」
ほんのり頬を赤め眉を下げるダンデの反応にいち早く気がついたキバナは瞳を鋭くさせる
「は?何?何話すつもり?」
ギクリと体を大きく鳴らしたダンデは帽子で顔を隠すがキバナは諦めず問い詰める
「てめっ何隠してやがる!」
「キバナには関係ないだろ!俺とチハルだけの話だっ」
ギャンギャン怒る彼らをなんとかなだめながら結局この三人でキャンプする事になった