第二章
夢小説設定
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エンジンシティのカブ
最初の関門としてルーキー達を数多くリタイアさせてきたジムリーダー
バトルには熱い男だが普段は優しく温厚である、そんな彼が今困っているのは目の前で膝を床につけ落ち込んでいる少女をどうしたら良いのかということだ
「チハルくん?そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないか?」
『……だって…こんな…こんな事になるなんて…』
四つん這いになったまま肩を震わせる彼女にカブはただオロオロと眉を下げる
チハルがここまで落ち込んでいるのは彼女がバトルで負けたからというわけではない
その理由は…
『メッソンが…メッソンがグレちゃったぁぁぁ!!!』
泣いている彼女の視線の先にいるのは相棒のメッソン…ではなく
メッソンより大きくなったジメレオンというポケモンだ
「グレたんじゃない、ジメレオンに進化したんだ…ふむ、だがこの子の強さを見ると随分前に進化しててもおかしくなかったように見えるね」
『あ…あたしがメッソンの事小さくて可愛いっていつも言ってたから…そのせいかも』
小さくて泣き虫なメッソン
うるうるとした大きな瞳が愛らしく短い手足で一生懸命側に来てくれる姿が大好きだった
そんなメッソンも今は二本足で立ち
少し目つきの悪くなった瞳で彼女を不安気に見つめていた
『メッソン?』
「君の反応が気になるんだろう、大抵のポケモンは強くなる事を喜ぶ、君も喜んでくれると思ったのに違ったから不安なんだ」
カブは優しくチハルの肩を抱き四つん這いから床に座らせると、涙で濡れた彼女の頬を撫でてくれた
「ちゃんと気持ちを伝えなさい、君のパートナーだろ?」
彼からジメレオンへと視線を変えるがやはり慣れない
ジメレオンもまたどうすればいいのか分からず自分の手を揉み合わせ俯いている
『すみません…進化してくれたのに…なんか複雑で、あたしって駄目なトレーナーかも』
ここまで頑張ってきた相棒に悲しい顔をさせてしまった
素直にすぐ喜んであげれなかった自分がいやでまた涙ぐむと、カブの手がチハルの肩を数回叩いた
「元の姿を愛しく思うのは悪い事じゃない、でもこの子は君の為に強くなろうとして進化する事を選んだんだ…その気持ちを大事にしてあげなさい」
『ん…はい…ごめんね…メッソ…ううん、ジメレオン!』
手の甲で乱暴に目元を拭った彼女は今度こそお祝いしようと両手をジメレオンへと向け
『カッコいいよ!ジメレオン!』
本当の笑顔で呼びかければジメレオンもまたホッとし嬉しそうに両手を広げ彼女の胸の中へと飛び込んだ
彼女達の騒動に気がついたのか腰に下げていたボールからエレズンまで飛び出し、進化した仲間を祝福してくれた
背中から肩へとよじ登るエレズンに嫉妬し怒るジメレオン
二匹をあやしながら笑う彼女の姿をカブは眩しい物でも見るように目を細め口角をあげていた
炎のバッチを手に入れたチハルは後半のワイルドエリアへと向う
その姿をエンジンシティに集まったルリナとヤローそしてカブが見送った
「どうでした?あの子」
ルリナは隣に立つカブへと声をかけると彼は満足気に頷いた
「あぁ、純粋ないい子だったよ…ポケモン達にもよく好かれてバトルの筋もいい」
「チハルさんならチャンピオンの元にいけるかもしれないんだな」
ヤローもまたルーキーの成長を喜びワイルドエリアに進む少女を見送った
彼ら三人に勝ちナックルシティへ向かうジムチャレンジャーは一握り程度だ
その為カブに勝った者を見送るのがいつの間にか三人の決まり事になっていた
願わくば自分達の見送るルーキーが最後までバッチを集めチャンピオンへ辿り着けるようにと願いを込めて
「そうね…ただ、ここからは後半の世界…ポケモンだけでなく人間にも気をつけないといけないわ」
顔を曇らせるルリナにヤローは気がつき小首を傾げた
「悪さをする人の心境はボクには分からないな、笑顔で応援しとればいいのに」
悪とは無縁のヤローには分からないだろうとルリナは鼻で笑い、寂しげにまつ毛を伏せた
「悪い気持ちってね、突然湧き上がるものなのよ…どうでもよかった小石が酷く邪魔に感じるように人の心は変わりやすい」
ジムリーダーだけでなくモデルもこなす彼女だからこそ知っている
人の嫉妬程怖い物はないと
いつ隣に立つ友人が手のひらを返し敵になるかも分からない
地味に心を攻撃してくる言葉や人の目にチハルは耐えられるだろうか
自分の体験を重ね心配しているとカブがルリナへと振り返り口を開いた
「……僕らはただ願うだけだ」
「……カブさん」
「前を見る若者が真っ直ぐに夢に向かって歩けるように信じよう!それが茨の道でも胸に燃やした熱い想いがあればきっと乗り越えられる!君のように……ね?」
ルリナに向かって微笑むと彼女はほんのりと頬を赤め嬉しそうに口元を緩め、ヤローもカブの意見に賛成した
***************
そんな三人の想いを背負い進むチハル
ロトロト〜
ワイルドエリアを進んでいる彼女のポケットから飛び出したロトムがメールの着信を告げた
『ん?メール?……二件…ん?んん?』
二件来たメールの差出人はキバナ
そしてダンデだった
二人のメールに目を通した彼女は足を止め、ひんやりとした物を背筋に感じた
『な…、なんでダンデさんまで流星群に誘ってくるの!!』
メールは二人共同じように流星群イベントへのお誘いの内容だった
【チハルちゃんへ、約束覚えてっか?明後日の夜はオレさまがエスコートしてやるから楽しみにしてろよ?最高の夜にしような!】
【チハルへ、この前の事を謝りたい…良ければ明後日の夜時間をくれないか?ちょうど流星群がよく見れる場所を知っているんだ…是非君と行きたい】
『え…ええ?ど…どうしたらいいのっ?』
キバナとは確かに流星群を見ようと話はしていた、だがダンデとはしていない
断るにも謝りたいと言っている相手の誘いを簡単に断っていいのか悩んでしまう
『取りあえずダンデさんにはメールで…あぁ、でもなんて言えば』
他の先約がある?
気にしてないからもういい?
どちらにしてもなんだか冷たい物に感じ上手くメールが打てない
ダラダラと冷や汗が流れ時間ばかり過ぎてしまい返事を送れず
暫くその場で固まっていたらしい
最初の関門としてルーキー達を数多くリタイアさせてきたジムリーダー
バトルには熱い男だが普段は優しく温厚である、そんな彼が今困っているのは目の前で膝を床につけ落ち込んでいる少女をどうしたら良いのかということだ
「チハルくん?そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないか?」
『……だって…こんな…こんな事になるなんて…』
四つん這いになったまま肩を震わせる彼女にカブはただオロオロと眉を下げる
チハルがここまで落ち込んでいるのは彼女がバトルで負けたからというわけではない
その理由は…
『メッソンが…メッソンがグレちゃったぁぁぁ!!!』
泣いている彼女の視線の先にいるのは相棒のメッソン…ではなく
メッソンより大きくなったジメレオンというポケモンだ
「グレたんじゃない、ジメレオンに進化したんだ…ふむ、だがこの子の強さを見ると随分前に進化しててもおかしくなかったように見えるね」
『あ…あたしがメッソンの事小さくて可愛いっていつも言ってたから…そのせいかも』
小さくて泣き虫なメッソン
うるうるとした大きな瞳が愛らしく短い手足で一生懸命側に来てくれる姿が大好きだった
そんなメッソンも今は二本足で立ち
少し目つきの悪くなった瞳で彼女を不安気に見つめていた
『メッソン?』
「君の反応が気になるんだろう、大抵のポケモンは強くなる事を喜ぶ、君も喜んでくれると思ったのに違ったから不安なんだ」
カブは優しくチハルの肩を抱き四つん這いから床に座らせると、涙で濡れた彼女の頬を撫でてくれた
「ちゃんと気持ちを伝えなさい、君のパートナーだろ?」
彼からジメレオンへと視線を変えるがやはり慣れない
ジメレオンもまたどうすればいいのか分からず自分の手を揉み合わせ俯いている
『すみません…進化してくれたのに…なんか複雑で、あたしって駄目なトレーナーかも』
ここまで頑張ってきた相棒に悲しい顔をさせてしまった
素直にすぐ喜んであげれなかった自分がいやでまた涙ぐむと、カブの手がチハルの肩を数回叩いた
「元の姿を愛しく思うのは悪い事じゃない、でもこの子は君の為に強くなろうとして進化する事を選んだんだ…その気持ちを大事にしてあげなさい」
『ん…はい…ごめんね…メッソ…ううん、ジメレオン!』
手の甲で乱暴に目元を拭った彼女は今度こそお祝いしようと両手をジメレオンへと向け
『カッコいいよ!ジメレオン!』
本当の笑顔で呼びかければジメレオンもまたホッとし嬉しそうに両手を広げ彼女の胸の中へと飛び込んだ
彼女達の騒動に気がついたのか腰に下げていたボールからエレズンまで飛び出し、進化した仲間を祝福してくれた
背中から肩へとよじ登るエレズンに嫉妬し怒るジメレオン
二匹をあやしながら笑う彼女の姿をカブは眩しい物でも見るように目を細め口角をあげていた
炎のバッチを手に入れたチハルは後半のワイルドエリアへと向う
その姿をエンジンシティに集まったルリナとヤローそしてカブが見送った
「どうでした?あの子」
ルリナは隣に立つカブへと声をかけると彼は満足気に頷いた
「あぁ、純粋ないい子だったよ…ポケモン達にもよく好かれてバトルの筋もいい」
「チハルさんならチャンピオンの元にいけるかもしれないんだな」
ヤローもまたルーキーの成長を喜びワイルドエリアに進む少女を見送った
彼ら三人に勝ちナックルシティへ向かうジムチャレンジャーは一握り程度だ
その為カブに勝った者を見送るのがいつの間にか三人の決まり事になっていた
願わくば自分達の見送るルーキーが最後までバッチを集めチャンピオンへ辿り着けるようにと願いを込めて
「そうね…ただ、ここからは後半の世界…ポケモンだけでなく人間にも気をつけないといけないわ」
顔を曇らせるルリナにヤローは気がつき小首を傾げた
「悪さをする人の心境はボクには分からないな、笑顔で応援しとればいいのに」
悪とは無縁のヤローには分からないだろうとルリナは鼻で笑い、寂しげにまつ毛を伏せた
「悪い気持ちってね、突然湧き上がるものなのよ…どうでもよかった小石が酷く邪魔に感じるように人の心は変わりやすい」
ジムリーダーだけでなくモデルもこなす彼女だからこそ知っている
人の嫉妬程怖い物はないと
いつ隣に立つ友人が手のひらを返し敵になるかも分からない
地味に心を攻撃してくる言葉や人の目にチハルは耐えられるだろうか
自分の体験を重ね心配しているとカブがルリナへと振り返り口を開いた
「……僕らはただ願うだけだ」
「……カブさん」
「前を見る若者が真っ直ぐに夢に向かって歩けるように信じよう!それが茨の道でも胸に燃やした熱い想いがあればきっと乗り越えられる!君のように……ね?」
ルリナに向かって微笑むと彼女はほんのりと頬を赤め嬉しそうに口元を緩め、ヤローもカブの意見に賛成した
***************
そんな三人の想いを背負い進むチハル
ロトロト〜
ワイルドエリアを進んでいる彼女のポケットから飛び出したロトムがメールの着信を告げた
『ん?メール?……二件…ん?んん?』
二件来たメールの差出人はキバナ
そしてダンデだった
二人のメールに目を通した彼女は足を止め、ひんやりとした物を背筋に感じた
『な…、なんでダンデさんまで流星群に誘ってくるの!!』
メールは二人共同じように流星群イベントへのお誘いの内容だった
【チハルちゃんへ、約束覚えてっか?明後日の夜はオレさまがエスコートしてやるから楽しみにしてろよ?最高の夜にしような!】
【チハルへ、この前の事を謝りたい…良ければ明後日の夜時間をくれないか?ちょうど流星群がよく見れる場所を知っているんだ…是非君と行きたい】
『え…ええ?ど…どうしたらいいのっ?』
キバナとは確かに流星群を見ようと話はしていた、だがダンデとはしていない
断るにも謝りたいと言っている相手の誘いを簡単に断っていいのか悩んでしまう
『取りあえずダンデさんにはメールで…あぁ、でもなんて言えば』
他の先約がある?
気にしてないからもういい?
どちらにしてもなんだか冷たい物に感じ上手くメールが打てない
ダラダラと冷や汗が流れ時間ばかり過ぎてしまい返事を送れず
暫くその場で固まっていたらしい