第一章
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「……春だな」
穏やかな風が若い緑を優しく揺らし、花の香りを運んでくれる
心地よい陽気を感じながら呟いたダンデと同じように隣を歩くキバナは両手を頭の後ろで組み合わせ空を見上げた
「そーね、恋の季節ってやつだな」
ナックルシティの空は青く街並みには新緑をつけた木々が目立つ
木から空高く飛び立つ二羽のココガラがお互いを気にしながら飛ぶ姿はまるで恋人達を見ている気分だ
ポケモンでさえ春を喜び新しい恋に浮足立っているというのに自分達は何をしているのか…
現実を思い出したキバナは不満気な声を混ぜて大きなため息を吐く
「いくらジムチャレンジが近いからって休日まで会議する事ねぇんじゃねぇの?」
「まぁそう言うな、いざと言う時に備えておくのは必要だろ?その為の会議と思えばいい」
「分かってるけどよ、オレらまだ若いんだぜ?少しは自分の為に遊ぶ時間があってもいいじゃんか」
仕事は真面目にこなしたいしポケモンを愛している、それでもまだ二十代の彼らにだって他の若者みたいに過ごしたい時はある
「君は十分遊んでるじゃないか?この前もモデル達と夜通し飲んだんだろ?」
笑うでもなく思った事を無表情で口にするとキバナは慌ててダンデに食いかかった
「そういうのじゃなくてさ、もっとこう…ちゃんとした恋がしたいの!心から揺さぶられて相手の事ばかり考えてドキドキするようなさ」
「………意外にロマンチストだな」
「見た目で判断してくれるなよ、オレさま心はピュアなの」
大袈裟に両手を胸の前で握りタレ目をより垂らして微笑む彼はまだ見ぬ未来の恋人に想いをよせているようだ
陽キャでパーティー男
いつも女性に追いかけられ相手に不自由した事がない男の癖にピュアだと言い切る彼にダンデはジットリとした視線を向けてしまう
「俺は女性の相手よりポケモンを相手にしてる方が楽しいがな」
「そりゃまだ出会ってないからそう言えるんだよ、案外お前みたいなタイプこそ恋にハマりやすいんだぜ?」
キバナの言う事を顎髭を撫でながら考えてみるがいまいち理解できない
男として生まれてから一度も恋をしたことがない、そんな自分はいつかは相手ができるのか結婚はするのかと想像するが何も浮かばなかった
「ポケモンみたいに人間も繁殖目的なら簡単なのにな、種をつけて卵を産んでもらってまたそれぞれ元の関係に戻って…」
ポケモンは夫婦で添い遂げる者もいるが殆どが子孫を残せば離れていく
子供は子供、自分は自分とドライな部分がある
ダンデはそれこそ自分らしいのではと感じていた
「やっぱり俺には恋愛は必要ないな、そんな事より今から君とバトルする方が心が踊るぜ」
「うわっ、最低…これだから拗らせた童貞は面倒くさいよな!人間とポケモンの区別もつかねぇのかよ」
「ぐっ!煩い!」
隣の彼の脇腹を軽く殴り怒って先を歩きだすが、ダンデの向かう方向は目的地とは真逆の方向だった
「おいおいっ!オレさまのジムでバトルするんじゃなかったのかよ!何処行くんだよ!」
後ろではキバナが止まるように声を何度もかけたがダンデは言う事を聞かず無謀にも足を進め気がつけば街は背中側に遠くに見えワイルドエリアへと着いてしまった
「む?」
「はあっ、っ、む?じゃねぇよ!だから止まれって言っただろ!オレさまのジムでさえ分からなくなるなんて本当にどういう神経してんだオマエは!」
やっと追いついたが疲れたキバナと違いダンデはニカッと歯を出して笑う
「ハハっすまない!」
ダンデの方向音痴にも困ったものだ
いつもの事ではあるがヤレヤレと肩を落としていると、ふとキバナの目に小さな影が入り込んだ
「ん?あの子…どうしたんだ?」
「あの子?どこだ?」
「ほら、あの草むら」
キバナが指差した場所には二人から少し離れた草むらの中で仰向けに寝そべる少女がいた
ワイルドエリアは野生ポケモン達の世界
いくらトレーナーでも無防備に昼寝が出来る程の場所ではない
度々野生ポケモンに襲われ大怪我をしたというニュースもよく耳に入るくらいだ
二人は何も言わず自然と彼女が寝そべる方向へと足を進めていく
もし怪我をしていたら?
無傷でも一人で寝そべるべき場所ではない事を注意しようと近づくが段々と見えてきた光景に二人は目を見開き驚いた
遠目には丈の長い草むらでよく見えなかったが良く見れば彼女の側には沢山のポケモンが同じように眠っていた
白いシャツにスカート姿の少女は呑気にも規則正しい寝息を繰り返し、彼女の腹の上や生足を枕代わりに眠るポケモン達
ロゼリアやチョロネコ等様々な種類の彼らは気持ちよさそうに眠っていたがキバナ達の気配に気がつくと飛び起き慌てて他の草むらへと逃げてしまった
やはり手持ちではなく野生のポケモン達だったようだ
「野生ポケモンにここまで好かれるなんて珍しいな」
「襲われないだけよかったけど…女の子がこんな無防備に寝てちゃだめだろ」
キバナはまだ眠る彼女の側にしゃがみ込み手の甲で柔らかい頬を数回叩いてみた
「お嬢さーん?起きな?こんなとこで寝ちゃ悪い男に食われるぞ?」
「それは君の事か?」
「マジでうるせぇなオマエ」
ペチペチと痛くない程度に数回叩けば少女は小さく唸りぼんやりと瞳を開けた
『ぅ……ん…?』
「お?起きた?」
まだぼやけた瞳で数回瞬きをし視界をクリアにさせれば自分を見下ろす褐色の男と、立ったまま見下ろす紫の髪の男にやっと気がつく
『…………おはよう…ございます?』
「はい、おはよーさんってまだ寝ぼけてんのか?」
クスクス笑うキバナに驚きつつ彼女は髪に枯れた草を何本かつけたまま起き上がり、二人を見比べた
起き上がった事により分かったが、白いシャツのボタンが弾けそうな程彼女の胸は立派でつい自然とキバナとダンデはそこに目が行きそうになる
「(デカっ!つーか体ちっせぇから余計そう見えんのか?)」
「ゴボッン!あー…君は何故こんなところで寝てたんだ?」
気を紛らわせようと咳払いをしたダンデ
彼女の周りを見回すがテントはなく小さめのスーツケースが草むらに倒されているくらいだ
『あ〜それが、ガラルに来たのが嬉しくてついワイルドエリアではしゃいだら眠くなって…そのまま…へへ』
ふにゃりと照れくさそうに笑う彼女はボサボサになった自分の頭の後ろを撫で、キバナもスーツケースへとチラリと視線を向けた
「なんだ旅行者か?だからってここでは寝るなよ?すぐそこにナックルシティがあるからホテルに行きなよ」
先に立ち上がりまだ地べたに座り込む彼女へと手を差し伸ばせば少女は驚きつつもキバナの手をとり立ち上がった
『ありがとうございますっ』
大きな手とは対象的な小さな手、その手を軽く引っ張り立たせるがあまりに軽くてキバナの方がバランスを崩しそうになった
「(……小せぇ)」
スカートについた草を払いながら身なりを整えようとする少女はやはり小さくキバナの胸まであるかないかだ
「親は?まさか迷子じゃないよな?」
『いえガラルには一人で来ました、それにそこまであたし子供じゃないですよ?』
まだ頭に草をつけている彼女はムッと口元を結び二人の男を睨むが生憎怖くもなんともない
ダンデから見れば目の前の小さな少女は弟のホップくらいにしか見えず歳が気になった
「失礼だが……君はいくつなんだ?」
『この前十七歳になりました!』
「「十七!!」」
えっへんとふんぞり返る彼女とは違いキバナとダンデは信じられないとばかりに少女を見下しまじまじと観察した
胸は確かに大人だが平均より体が小さめな彼女
十七歳といえば後一年で成人の仲間入りであり二人は見た目と歳のアンバランスな少女に驚くばかりだ
『あ!申し遅れました!あたしチハルと言います』
改めて自己紹介をしてくれたチハルにキバナとダンデも我に帰り片手をだしながら笑顔を向けた
「オレはキバナ!よろしくねチハルちゃん」
「ダンデだ、失礼な質問をしてすまなかった」
順番に握手をしダンデも彼女に初めて触れたが小さく柔らかい手の感触に驚き体を強張らせた
握手は今まで数えられない程チャレンジャーと交わしてきた、それも男女年齢関係なく
なのに何故だろうか
「(……チハル……か)」
彼女の手は誰よりも温かくて気持ちよかった気がした、これが若い緑の匂いに包まれながらダンデの心にも小さな芽が生まれた瞬間だった
穏やかな風が若い緑を優しく揺らし、花の香りを運んでくれる
心地よい陽気を感じながら呟いたダンデと同じように隣を歩くキバナは両手を頭の後ろで組み合わせ空を見上げた
「そーね、恋の季節ってやつだな」
ナックルシティの空は青く街並みには新緑をつけた木々が目立つ
木から空高く飛び立つ二羽のココガラがお互いを気にしながら飛ぶ姿はまるで恋人達を見ている気分だ
ポケモンでさえ春を喜び新しい恋に浮足立っているというのに自分達は何をしているのか…
現実を思い出したキバナは不満気な声を混ぜて大きなため息を吐く
「いくらジムチャレンジが近いからって休日まで会議する事ねぇんじゃねぇの?」
「まぁそう言うな、いざと言う時に備えておくのは必要だろ?その為の会議と思えばいい」
「分かってるけどよ、オレらまだ若いんだぜ?少しは自分の為に遊ぶ時間があってもいいじゃんか」
仕事は真面目にこなしたいしポケモンを愛している、それでもまだ二十代の彼らにだって他の若者みたいに過ごしたい時はある
「君は十分遊んでるじゃないか?この前もモデル達と夜通し飲んだんだろ?」
笑うでもなく思った事を無表情で口にするとキバナは慌ててダンデに食いかかった
「そういうのじゃなくてさ、もっとこう…ちゃんとした恋がしたいの!心から揺さぶられて相手の事ばかり考えてドキドキするようなさ」
「………意外にロマンチストだな」
「見た目で判断してくれるなよ、オレさま心はピュアなの」
大袈裟に両手を胸の前で握りタレ目をより垂らして微笑む彼はまだ見ぬ未来の恋人に想いをよせているようだ
陽キャでパーティー男
いつも女性に追いかけられ相手に不自由した事がない男の癖にピュアだと言い切る彼にダンデはジットリとした視線を向けてしまう
「俺は女性の相手よりポケモンを相手にしてる方が楽しいがな」
「そりゃまだ出会ってないからそう言えるんだよ、案外お前みたいなタイプこそ恋にハマりやすいんだぜ?」
キバナの言う事を顎髭を撫でながら考えてみるがいまいち理解できない
男として生まれてから一度も恋をしたことがない、そんな自分はいつかは相手ができるのか結婚はするのかと想像するが何も浮かばなかった
「ポケモンみたいに人間も繁殖目的なら簡単なのにな、種をつけて卵を産んでもらってまたそれぞれ元の関係に戻って…」
ポケモンは夫婦で添い遂げる者もいるが殆どが子孫を残せば離れていく
子供は子供、自分は自分とドライな部分がある
ダンデはそれこそ自分らしいのではと感じていた
「やっぱり俺には恋愛は必要ないな、そんな事より今から君とバトルする方が心が踊るぜ」
「うわっ、最低…これだから拗らせた童貞は面倒くさいよな!人間とポケモンの区別もつかねぇのかよ」
「ぐっ!煩い!」
隣の彼の脇腹を軽く殴り怒って先を歩きだすが、ダンデの向かう方向は目的地とは真逆の方向だった
「おいおいっ!オレさまのジムでバトルするんじゃなかったのかよ!何処行くんだよ!」
後ろではキバナが止まるように声を何度もかけたがダンデは言う事を聞かず無謀にも足を進め気がつけば街は背中側に遠くに見えワイルドエリアへと着いてしまった
「む?」
「はあっ、っ、む?じゃねぇよ!だから止まれって言っただろ!オレさまのジムでさえ分からなくなるなんて本当にどういう神経してんだオマエは!」
やっと追いついたが疲れたキバナと違いダンデはニカッと歯を出して笑う
「ハハっすまない!」
ダンデの方向音痴にも困ったものだ
いつもの事ではあるがヤレヤレと肩を落としていると、ふとキバナの目に小さな影が入り込んだ
「ん?あの子…どうしたんだ?」
「あの子?どこだ?」
「ほら、あの草むら」
キバナが指差した場所には二人から少し離れた草むらの中で仰向けに寝そべる少女がいた
ワイルドエリアは野生ポケモン達の世界
いくらトレーナーでも無防備に昼寝が出来る程の場所ではない
度々野生ポケモンに襲われ大怪我をしたというニュースもよく耳に入るくらいだ
二人は何も言わず自然と彼女が寝そべる方向へと足を進めていく
もし怪我をしていたら?
無傷でも一人で寝そべるべき場所ではない事を注意しようと近づくが段々と見えてきた光景に二人は目を見開き驚いた
遠目には丈の長い草むらでよく見えなかったが良く見れば彼女の側には沢山のポケモンが同じように眠っていた
白いシャツにスカート姿の少女は呑気にも規則正しい寝息を繰り返し、彼女の腹の上や生足を枕代わりに眠るポケモン達
ロゼリアやチョロネコ等様々な種類の彼らは気持ちよさそうに眠っていたがキバナ達の気配に気がつくと飛び起き慌てて他の草むらへと逃げてしまった
やはり手持ちではなく野生のポケモン達だったようだ
「野生ポケモンにここまで好かれるなんて珍しいな」
「襲われないだけよかったけど…女の子がこんな無防備に寝てちゃだめだろ」
キバナはまだ眠る彼女の側にしゃがみ込み手の甲で柔らかい頬を数回叩いてみた
「お嬢さーん?起きな?こんなとこで寝ちゃ悪い男に食われるぞ?」
「それは君の事か?」
「マジでうるせぇなオマエ」
ペチペチと痛くない程度に数回叩けば少女は小さく唸りぼんやりと瞳を開けた
『ぅ……ん…?』
「お?起きた?」
まだぼやけた瞳で数回瞬きをし視界をクリアにさせれば自分を見下ろす褐色の男と、立ったまま見下ろす紫の髪の男にやっと気がつく
『…………おはよう…ございます?』
「はい、おはよーさんってまだ寝ぼけてんのか?」
クスクス笑うキバナに驚きつつ彼女は髪に枯れた草を何本かつけたまま起き上がり、二人を見比べた
起き上がった事により分かったが、白いシャツのボタンが弾けそうな程彼女の胸は立派でつい自然とキバナとダンデはそこに目が行きそうになる
「(デカっ!つーか体ちっせぇから余計そう見えんのか?)」
「ゴボッン!あー…君は何故こんなところで寝てたんだ?」
気を紛らわせようと咳払いをしたダンデ
彼女の周りを見回すがテントはなく小さめのスーツケースが草むらに倒されているくらいだ
『あ〜それが、ガラルに来たのが嬉しくてついワイルドエリアではしゃいだら眠くなって…そのまま…へへ』
ふにゃりと照れくさそうに笑う彼女はボサボサになった自分の頭の後ろを撫で、キバナもスーツケースへとチラリと視線を向けた
「なんだ旅行者か?だからってここでは寝るなよ?すぐそこにナックルシティがあるからホテルに行きなよ」
先に立ち上がりまだ地べたに座り込む彼女へと手を差し伸ばせば少女は驚きつつもキバナの手をとり立ち上がった
『ありがとうございますっ』
大きな手とは対象的な小さな手、その手を軽く引っ張り立たせるがあまりに軽くてキバナの方がバランスを崩しそうになった
「(……小せぇ)」
スカートについた草を払いながら身なりを整えようとする少女はやはり小さくキバナの胸まであるかないかだ
「親は?まさか迷子じゃないよな?」
『いえガラルには一人で来ました、それにそこまであたし子供じゃないですよ?』
まだ頭に草をつけている彼女はムッと口元を結び二人の男を睨むが生憎怖くもなんともない
ダンデから見れば目の前の小さな少女は弟のホップくらいにしか見えず歳が気になった
「失礼だが……君はいくつなんだ?」
『この前十七歳になりました!』
「「十七!!」」
えっへんとふんぞり返る彼女とは違いキバナとダンデは信じられないとばかりに少女を見下しまじまじと観察した
胸は確かに大人だが平均より体が小さめな彼女
十七歳といえば後一年で成人の仲間入りであり二人は見た目と歳のアンバランスな少女に驚くばかりだ
『あ!申し遅れました!あたしチハルと言います』
改めて自己紹介をしてくれたチハルにキバナとダンデも我に帰り片手をだしながら笑顔を向けた
「オレはキバナ!よろしくねチハルちゃん」
「ダンデだ、失礼な質問をしてすまなかった」
順番に握手をしダンデも彼女に初めて触れたが小さく柔らかい手の感触に驚き体を強張らせた
握手は今まで数えられない程チャレンジャーと交わしてきた、それも男女年齢関係なく
なのに何故だろうか
「(……チハル……か)」
彼女の手は誰よりも温かくて気持ちよかった気がした、これが若い緑の匂いに包まれながらダンデの心にも小さな芽が生まれた瞬間だった