第二章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『はぁぁ……』
無事に退院し旅に戻ったというのにチハルの足は重く前を歩くメッソンは振り返り立ち止まると小首を傾げた
『ねぇ…メッソン、お酒ってそんなに自分を見失うのかな?』
ダンデの行動が頭から離れない
男性からあんな風に求められたのは初めてだ
床に膝をつけた時は童話にでてくる王子のようであり、突如肌に触れれば王子は狼へと代わりダンデも一人の男なのだと分からせられる
『……ダンデさんて…色んな顔があるんだな』
驚いたが嫌ではなかった
もしあのまま邪魔がなければ…
あの硬い手に包まれ隅々まで愛されたのだろうか?
経験した事のない先を想像しチハルは頭から湯気を出しその場にしゃがみ込んだ
『あれは…お酒のせい…だって…香水の匂いもしたし、きっと誰かと間違ったんだよ…きっとそう』
期待しないように
自分に暗示をかけ呟く彼女を物陰からあの野生のキテルグマとココガラが心配そうに見つめている
『んあぁぁっ!もうっ!無し!次のジムだけ考えるっ!行くよメッソン!』
気持ちを入れ替え勢いよく立ち上がった彼女はまだ顔を真っ赤に染めていたが、無理矢理空元気を装い走り出す
バウタウンからエンジンシティへ走る少女の後ろをキテルグマ達も追いかけ旅を続けていた頃
シュートシティのローズタワーではこの男もまた頭を悩ませ執務室の机に額を押し付けていた
「(最低だ…自慰のオカズにするだけでも最低なのに…突然襲い掛かるなんて)」
ゴツンと額を強く打ち付け自分を責めるが痛みより罪悪感が強い
頭に浮かぶ涙を浮かべた少女の蕩けた顔を思い出してはダンデは口を強く結び頬を熱くさせた
その度に何度も額をぶつけ忘れようとしていると、彼の執務室の扉をノックする音が響いた
「はぁ〜い、ってダンデくんどうしたの?」
「……ソニアか」
入ってきたのはダンデの幼馴染みのソニア、彼女は暗いオーラを出す彼に首を傾げながら近寄った
「何々?なんかあった?」
子供の頃からなんでも話してきた相手、この手の話は男より彼女の方がいいかもしれない
ダンデはのっそりと顔を上げると赤い額もそのままに今困っている事を相談した
「…………実は」
最近出会った人が忘れられない
なんとか彼女に好かれたいがどうすればいいのか分からず気がつけば暴走し、彼女を困らせている気がする
襲った事や何処に触れたか…細かい部分は省略し伝えればソニアはダンデに呆れ口を引きつらせた
「うっわ…ダンデくんて方向音痴だけじゃなくて恋愛も音痴なんだね」
「……今は何も言い返せないぜ」
机の上に両腕の肘をつけ手を組み合わせるとそこへ額を項垂れ大きくため息を吐いた
ここまで落ち込む彼を見るのはソニアも初めてだ
口を開けばポケモン、バトル、ポケモンそんな恋のこの字も知らないような男が頭を悩ませているなんて
余程本気らしい恋に彼女も手伝ってやるかと考え出す
「んー取りあえず謝って、素直に気持ち伝えれば?好きだって」
ソニアは簡単に言うが
今のダンデには無理な話だ
「それが出来ればっ…苦労はしていない」
組み合わせた手に力が入り机を見つめる顔が歪む
「なんで?ダンデくんが好みじゃないとか?それとも相手彼氏いるの?」
「………彼女は…………未成年だ」
「……………………」
「……?…ソニア?」
静かになるソニアにどうしたのかと顔を上げ確認すると、彼女はまるで信じられないとばかり瞳を細め見下ろしていた
「頼むからそんなゴミを見るような目で俺を見るな!俺だってどうしたらいいか困ってるんだ!」
机を叩き半分泣きそうな声を出せばソニアも苦笑いを浮かべる
「あはは、ごめんっごめんっ!まさか相手が子供なんて思わなかったからさ」
ソニアの言う事は勿論分かっている
それでも惹かれてしまったのだから仕方ない
ダンデは熱いため息を一つし自分の顔を両手で覆った
「彼女だけなんだ…こんなにドキドキするのも、触りたくなるのも…でも彼女を前にすると上手くカッコいい俺でいられない」
「上手くできないって…普段通りでいいじゃない?」
「駄目だっ!それじゃ…駄目なんだ」
ゆっくりと赤い顔から両手を離し顔の前で手を合わせ、親指の付け根に唇をよせた彼は拝むように瞳を潤ませ眉を下げた
「嫌われたくないのに…上手くできない、俺は彼女より大人なのに余裕が全く無いんだ!これじゃ駄目な男と思われてしまうっ」
二十代も後半の筋肉だらけの男が乙女のように瞳を潤ませ片思いの少女を想う
これが普段炎に包まれ熱いバトルをしているガラルチャンピオンと誰が信じるだろう
ソニアはいじける幼馴染みに大きく肩を落とし、ダンデの背中を数回叩いた
「……はぁ拗らせてるわね、ダンデくんはずっとポケモンばっかり相手にしてたから知らないかもだけど恋ってそんなもんよ?」
「こんなにも…苦しいものなのか?よく皆できるな…俺には耐えられない」
こんなに苦しいなら知らなければよかった、鼻を啜りながらマイナスな考えを始める彼をなんとか励まそうとソニアは明るく振る舞った
「まあまあ!苦しいだけじゃないから!よしっ仕方ない!ソニアちゃんがいい案を教えてあげる!」
彼女はスマホロトムを呼び出し操作すると、とある記事を彼に見せた
「これは?」
「もうすぐ見れる流星群のイベントよ!これカップルの間で結構有名なんだよ?謝りついでにその子誘ってみたら?」
「……流星群」
「ムードたっぷりな夜空の下で告白すれば落ちない女の子はいないって!」
彼女の言葉でダンデはついその場面を想像してしまう
星空に包まれた薄暗い中、焚き火と一つだけ立てたテント
オレンジの焚き火に照らされながら手を繋ぎ告白する自分と嬉しそうに笑う彼女を…
「………ソニアっ」
いける気がする
感謝を伝えようと明るい顔を彼女に向けるとソニアはニッコリと微笑み
「お礼はシュートシティの新作のパイでいいわよ?」
シュートシティに住む者でさえ入手が困難な人気店のパイ
難易度の高い物を笑顔で頼む幼馴染みに文句を言いそうになるが、ぐっと耐え
「…………分かった、すぐに準備する」
「イェーイ!やったね!あっルリナにもあげたいから多めに買ってね」
喜びに飛び跳ねるソニアは少々憎らしいが彼女に助けられたのは確かだ
「(流星群か……これなら…きっと)」
友達で片思いの相手
こんな曖昧な関係はダンデには我慢できない
イベントがある夜に気持ちを伝えようと決めた彼はドキドキと煩い胸の苦しさを感じながら瞳を閉じた
無事に退院し旅に戻ったというのにチハルの足は重く前を歩くメッソンは振り返り立ち止まると小首を傾げた
『ねぇ…メッソン、お酒ってそんなに自分を見失うのかな?』
ダンデの行動が頭から離れない
男性からあんな風に求められたのは初めてだ
床に膝をつけた時は童話にでてくる王子のようであり、突如肌に触れれば王子は狼へと代わりダンデも一人の男なのだと分からせられる
『……ダンデさんて…色んな顔があるんだな』
驚いたが嫌ではなかった
もしあのまま邪魔がなければ…
あの硬い手に包まれ隅々まで愛されたのだろうか?
経験した事のない先を想像しチハルは頭から湯気を出しその場にしゃがみ込んだ
『あれは…お酒のせい…だって…香水の匂いもしたし、きっと誰かと間違ったんだよ…きっとそう』
期待しないように
自分に暗示をかけ呟く彼女を物陰からあの野生のキテルグマとココガラが心配そうに見つめている
『んあぁぁっ!もうっ!無し!次のジムだけ考えるっ!行くよメッソン!』
気持ちを入れ替え勢いよく立ち上がった彼女はまだ顔を真っ赤に染めていたが、無理矢理空元気を装い走り出す
バウタウンからエンジンシティへ走る少女の後ろをキテルグマ達も追いかけ旅を続けていた頃
シュートシティのローズタワーではこの男もまた頭を悩ませ執務室の机に額を押し付けていた
「(最低だ…自慰のオカズにするだけでも最低なのに…突然襲い掛かるなんて)」
ゴツンと額を強く打ち付け自分を責めるが痛みより罪悪感が強い
頭に浮かぶ涙を浮かべた少女の蕩けた顔を思い出してはダンデは口を強く結び頬を熱くさせた
その度に何度も額をぶつけ忘れようとしていると、彼の執務室の扉をノックする音が響いた
「はぁ〜い、ってダンデくんどうしたの?」
「……ソニアか」
入ってきたのはダンデの幼馴染みのソニア、彼女は暗いオーラを出す彼に首を傾げながら近寄った
「何々?なんかあった?」
子供の頃からなんでも話してきた相手、この手の話は男より彼女の方がいいかもしれない
ダンデはのっそりと顔を上げると赤い額もそのままに今困っている事を相談した
「…………実は」
最近出会った人が忘れられない
なんとか彼女に好かれたいがどうすればいいのか分からず気がつけば暴走し、彼女を困らせている気がする
襲った事や何処に触れたか…細かい部分は省略し伝えればソニアはダンデに呆れ口を引きつらせた
「うっわ…ダンデくんて方向音痴だけじゃなくて恋愛も音痴なんだね」
「……今は何も言い返せないぜ」
机の上に両腕の肘をつけ手を組み合わせるとそこへ額を項垂れ大きくため息を吐いた
ここまで落ち込む彼を見るのはソニアも初めてだ
口を開けばポケモン、バトル、ポケモンそんな恋のこの字も知らないような男が頭を悩ませているなんて
余程本気らしい恋に彼女も手伝ってやるかと考え出す
「んー取りあえず謝って、素直に気持ち伝えれば?好きだって」
ソニアは簡単に言うが
今のダンデには無理な話だ
「それが出来ればっ…苦労はしていない」
組み合わせた手に力が入り机を見つめる顔が歪む
「なんで?ダンデくんが好みじゃないとか?それとも相手彼氏いるの?」
「………彼女は…………未成年だ」
「……………………」
「……?…ソニア?」
静かになるソニアにどうしたのかと顔を上げ確認すると、彼女はまるで信じられないとばかり瞳を細め見下ろしていた
「頼むからそんなゴミを見るような目で俺を見るな!俺だってどうしたらいいか困ってるんだ!」
机を叩き半分泣きそうな声を出せばソニアも苦笑いを浮かべる
「あはは、ごめんっごめんっ!まさか相手が子供なんて思わなかったからさ」
ソニアの言う事は勿論分かっている
それでも惹かれてしまったのだから仕方ない
ダンデは熱いため息を一つし自分の顔を両手で覆った
「彼女だけなんだ…こんなにドキドキするのも、触りたくなるのも…でも彼女を前にすると上手くカッコいい俺でいられない」
「上手くできないって…普段通りでいいじゃない?」
「駄目だっ!それじゃ…駄目なんだ」
ゆっくりと赤い顔から両手を離し顔の前で手を合わせ、親指の付け根に唇をよせた彼は拝むように瞳を潤ませ眉を下げた
「嫌われたくないのに…上手くできない、俺は彼女より大人なのに余裕が全く無いんだ!これじゃ駄目な男と思われてしまうっ」
二十代も後半の筋肉だらけの男が乙女のように瞳を潤ませ片思いの少女を想う
これが普段炎に包まれ熱いバトルをしているガラルチャンピオンと誰が信じるだろう
ソニアはいじける幼馴染みに大きく肩を落とし、ダンデの背中を数回叩いた
「……はぁ拗らせてるわね、ダンデくんはずっとポケモンばっかり相手にしてたから知らないかもだけど恋ってそんなもんよ?」
「こんなにも…苦しいものなのか?よく皆できるな…俺には耐えられない」
こんなに苦しいなら知らなければよかった、鼻を啜りながらマイナスな考えを始める彼をなんとか励まそうとソニアは明るく振る舞った
「まあまあ!苦しいだけじゃないから!よしっ仕方ない!ソニアちゃんがいい案を教えてあげる!」
彼女はスマホロトムを呼び出し操作すると、とある記事を彼に見せた
「これは?」
「もうすぐ見れる流星群のイベントよ!これカップルの間で結構有名なんだよ?謝りついでにその子誘ってみたら?」
「……流星群」
「ムードたっぷりな夜空の下で告白すれば落ちない女の子はいないって!」
彼女の言葉でダンデはついその場面を想像してしまう
星空に包まれた薄暗い中、焚き火と一つだけ立てたテント
オレンジの焚き火に照らされながら手を繋ぎ告白する自分と嬉しそうに笑う彼女を…
「………ソニアっ」
いける気がする
感謝を伝えようと明るい顔を彼女に向けるとソニアはニッコリと微笑み
「お礼はシュートシティの新作のパイでいいわよ?」
シュートシティに住む者でさえ入手が困難な人気店のパイ
難易度の高い物を笑顔で頼む幼馴染みに文句を言いそうになるが、ぐっと耐え
「…………分かった、すぐに準備する」
「イェーイ!やったね!あっルリナにもあげたいから多めに買ってね」
喜びに飛び跳ねるソニアは少々憎らしいが彼女に助けられたのは確かだ
「(流星群か……これなら…きっと)」
友達で片思いの相手
こんな曖昧な関係はダンデには我慢できない
イベントがある夜に気持ちを伝えようと決めた彼はドキドキと煩い胸の苦しさを感じながら瞳を閉じた