第二章
夢小説設定
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「もう!もう少し気をつけてよ!」
『あははっ…ごめんね?』
バッチ事件の後、ルリナに挑んだまではよかったのだが崖で痛めた体が限界を迎え動けなくなってしまった
病院へと運ばれ見てもらえば骨は無事だが暫くは安静にしろとの事だ
目に見えない場所も衝撃は受けているのだろう、遅れてきた痛みは彼女の動きを制限させ背中を丸めるだけで激痛が走った
不幸中の幸いか今回は被害者という事もあり警察が病院の個室を準備してくれた
流石にこの状況でテントで寝泊まりは酷だ、有り難く警察からの提案を受け入れ暫く入院する事にした
真っ白なベッドに寝かされたチハルは側を離れようとしないユウリに顔を向け申し訳無さそうに眉を下げた
『寝てれば大丈夫だからユウリは旅に戻って?あたしも元気になったら追いかけるから』
「………分かった、でも何かあったら遠慮なく連絡してね?約束だよ!」
『ん、分かった…約束』
ユウリは本当にいい子だ…とチハルはしみじみと感じながら彼女を見送り、一人になると深呼吸を一つし天井を見つめた
『(早く治さないと…メッソン達も心配してるし…あぁキテルグマとココガラにもお礼を言わないとな)』
柔らかい布団に疲れた体が癒やされる、考え事をしている筈が段々と瞼が重くなり気を抜くと視界を遮るように降りてくる
何度か瞬きを繰り返すが、チハルは眠気に勝てずそのまま眠りへと落ちていった
久々の静かな室内のせいだろうか
彼女は昔の夢を見た
頭を自分に向かって下げる両親とそれを青い顔で見つめる昔の自分
彼らの願いは断る事も最初から出来ず、その場から逃げようと走れば足元に泥でも纏わりついたように重くなる
それでも自由を欲し重い足を前へ前へと必死に動かした
逃げなければ自分は二度と自由を夢見ることができないと分かるのだ
後ろにいたはずの両親の代わりに後ろに迫る男の手
泣きながら拒み走って逃げようとする彼女はこれは昔の夢だと分かりながらも涙を流し必死に助けを求めた
『(いやだっ!ここはいやだっ!)』
何度も何もない暗闇に手を伸ばし助けを求め夢から覚めることを願った
『(助けてっ!……誰かっ)』
その時夢の中に誰かが彼女の手を握り締め強く腕を引き寄せた
突然軽くなる足元とコチラに手を伸ばせなくなった後ろの男の影
ほっとしつつ前を見れば見えたのは
青い瞳ー
『ん……ぁ…』
いつの間にか眠っていた事に驚きつつ意識をはっきりとさせていくと、自分の手に誰かの手が重なっている感覚を感じた
視線をゆっくりと向ければ褐色の大きな手が自分の手を握っている
この手は……
『……キバナさん?』
そこにいたのはキバナだった
彼はいつからそこにいたのかベッドの側にある椅子に腰掛けチハルの手を握っていた
「起きたか?……なんだか苦しそうだったけど…嫌な夢でも見てたのか?」
心配そうにコチラを見る彼にチハルは涙が滲む自分の目元に気がつき慌てて手の甲で拭った
『ちょっと…昔の夢を見て…でも夢ですから…平気です…へへっ』
力なく照れ笑いを浮かべるがキバナは納得はしておらず、握っていた彼女の手の甲を数回軽く叩いた
「あんま背負いすぎるなよ?何かあれば頼れって言ったろ?」
『……はい、あれ?ところでなんでキバナさんはここに?』
自分は連絡は入れていない
ならばどうして入院している事を彼は知ったのか
不思議そうに彼を見つめるとキバナは彼女の言いたい事を感じ取り疑問に答えてくれた
「ああ、ルリナが教えてくれたんだ…ダンデの推薦したルーキーが一人怪我をしたってな」
『そ…なんですか(じゃああたしじゃなくても見に来てくれたって事だよね?…なんだかちょっと残念…かな?)』
自分の為に来てくれたと少なからず期待していたのかもしれない
それが恥ずかしくて彼を上手く見る事も出来ずチハルは弱々しく物思いに沈んだ微笑みを浮かべ視線を反らした
「……ルリナから聞いた時さ、最初にオレさまの頭に浮かんだのはチハルちゃんの事だったんだ」
『………え?』
彼の手がまたチハルの手を強く握りしめた
熱く大きな手は彼女の手を優しく支え持ち上げると両手で包み込み、背中を丸めたキバナはそこへ顔を寄せた
「チハルちゃんじゃない事を祈って…もしオマエだったらどうしたらいいって悩みながら来てさ、ベッドで眠るオマエ見たら……胸が張り裂けそうだった」
包んだ彼女の手の甲にキバナは唇を落とし瞳を閉じた
黒く長いまつ毛をした彼をチハルはドキドキと胸を高鳴らせながら見つめ、触れた唇の感触に肌を敏感にさせる
「なぁ…頼むから、もっとオレを頼って?」
唇を手の甲から離した彼は青い瞳を彼女へと向け椅子から腰をゆっくりと浮かせた
ベッドで仰向けに寝る彼女の側へと近寄った
キシっと小さくスプリングを軋ませ枕元に両手をつくと上から見下ろし彼の青い瞳に映る情けない顔をした自分をチハルは見つめた
「オマエが何か隠しているのは知ってる…言えないのも分かってるけどさ、少しは甘えれるヤツがいてもいいだろ?」
『甘える?』
「そ……オレに甘えなよ」
キバナは優しく瞳を細めると顔を彼女へと落としていき二人の距離が縮まる
彼の唇がチハルの唇を求め触れようとするが
『っ!』
頬を赤め目を強く瞑った彼女にキバナは小さく微笑み、唇ではなく頬へと小さなリップ音を鳴らし顔を離した
『……?……キバナさん?』
てっきりキスされるかと思った
瞳を開けコチラを見る熱い視線を感じながらキバナは彼女の上から体を退かし背を向けてベッドに座り直した
「そういやぁさっき看護師が目が覚めたら薬を飲ませたいって言ってたわ、取ってくるからちょっと待ってな」
コチラを見ずに独り言のように呟いた彼はそのまま部屋を出て言ってしまい
チハルはまだドキドキと煩い自分の胸を抑え熱いため息を大きく吐いた
『(キスされるかと思った…馬鹿だなぁそんなのありえないのに!恥ずかしいっ…と言うか甘えていいって……どういう意味かな?)』
まだ頬に残る唇の感触にソワソワとしつつ天井を見つめるチハル
そして廊下を歩くキバナもまた自分の口元を片手で隠し頬を熱くさせていた
「(……危なかった…こんなにドキドキしたの初めてかも)」
フラフラと熱る体に翻弄されながら廊下の壁に体を寄せた彼は冷たい壁に頬を擦付け瞳を熱くさせた
壁の冷たさがとても心地良い
それほど自分の頬は熱かったのだろう
「(頼って欲しい…甘えて欲しい…いつの間にかオレこんなにもチハルちゃんに必要とされたかったんだな)」
ふと思い出すのは出会って間もない時に二人で出掛けた事
ダンデと三人でお茶した時の彼女の笑った顔や沈んだ顔
そして、先程見た戸惑いつつ自分のキスを受け入れようとした真っ赤な顔
「……はぁぁぁぁ」
コツンと壁にこめかみをぶつけ口をへの字にさせる
そうしないと口元が勝手にニヤけてしまうのだ
「(……やばいかも……オレ、本気になっちゃったかも)」
『あははっ…ごめんね?』
バッチ事件の後、ルリナに挑んだまではよかったのだが崖で痛めた体が限界を迎え動けなくなってしまった
病院へと運ばれ見てもらえば骨は無事だが暫くは安静にしろとの事だ
目に見えない場所も衝撃は受けているのだろう、遅れてきた痛みは彼女の動きを制限させ背中を丸めるだけで激痛が走った
不幸中の幸いか今回は被害者という事もあり警察が病院の個室を準備してくれた
流石にこの状況でテントで寝泊まりは酷だ、有り難く警察からの提案を受け入れ暫く入院する事にした
真っ白なベッドに寝かされたチハルは側を離れようとしないユウリに顔を向け申し訳無さそうに眉を下げた
『寝てれば大丈夫だからユウリは旅に戻って?あたしも元気になったら追いかけるから』
「………分かった、でも何かあったら遠慮なく連絡してね?約束だよ!」
『ん、分かった…約束』
ユウリは本当にいい子だ…とチハルはしみじみと感じながら彼女を見送り、一人になると深呼吸を一つし天井を見つめた
『(早く治さないと…メッソン達も心配してるし…あぁキテルグマとココガラにもお礼を言わないとな)』
柔らかい布団に疲れた体が癒やされる、考え事をしている筈が段々と瞼が重くなり気を抜くと視界を遮るように降りてくる
何度か瞬きを繰り返すが、チハルは眠気に勝てずそのまま眠りへと落ちていった
久々の静かな室内のせいだろうか
彼女は昔の夢を見た
頭を自分に向かって下げる両親とそれを青い顔で見つめる昔の自分
彼らの願いは断る事も最初から出来ず、その場から逃げようと走れば足元に泥でも纏わりついたように重くなる
それでも自由を欲し重い足を前へ前へと必死に動かした
逃げなければ自分は二度と自由を夢見ることができないと分かるのだ
後ろにいたはずの両親の代わりに後ろに迫る男の手
泣きながら拒み走って逃げようとする彼女はこれは昔の夢だと分かりながらも涙を流し必死に助けを求めた
『(いやだっ!ここはいやだっ!)』
何度も何もない暗闇に手を伸ばし助けを求め夢から覚めることを願った
『(助けてっ!……誰かっ)』
その時夢の中に誰かが彼女の手を握り締め強く腕を引き寄せた
突然軽くなる足元とコチラに手を伸ばせなくなった後ろの男の影
ほっとしつつ前を見れば見えたのは
青い瞳ー
『ん……ぁ…』
いつの間にか眠っていた事に驚きつつ意識をはっきりとさせていくと、自分の手に誰かの手が重なっている感覚を感じた
視線をゆっくりと向ければ褐色の大きな手が自分の手を握っている
この手は……
『……キバナさん?』
そこにいたのはキバナだった
彼はいつからそこにいたのかベッドの側にある椅子に腰掛けチハルの手を握っていた
「起きたか?……なんだか苦しそうだったけど…嫌な夢でも見てたのか?」
心配そうにコチラを見る彼にチハルは涙が滲む自分の目元に気がつき慌てて手の甲で拭った
『ちょっと…昔の夢を見て…でも夢ですから…平気です…へへっ』
力なく照れ笑いを浮かべるがキバナは納得はしておらず、握っていた彼女の手の甲を数回軽く叩いた
「あんま背負いすぎるなよ?何かあれば頼れって言ったろ?」
『……はい、あれ?ところでなんでキバナさんはここに?』
自分は連絡は入れていない
ならばどうして入院している事を彼は知ったのか
不思議そうに彼を見つめるとキバナは彼女の言いたい事を感じ取り疑問に答えてくれた
「ああ、ルリナが教えてくれたんだ…ダンデの推薦したルーキーが一人怪我をしたってな」
『そ…なんですか(じゃああたしじゃなくても見に来てくれたって事だよね?…なんだかちょっと残念…かな?)』
自分の為に来てくれたと少なからず期待していたのかもしれない
それが恥ずかしくて彼を上手く見る事も出来ずチハルは弱々しく物思いに沈んだ微笑みを浮かべ視線を反らした
「……ルリナから聞いた時さ、最初にオレさまの頭に浮かんだのはチハルちゃんの事だったんだ」
『………え?』
彼の手がまたチハルの手を強く握りしめた
熱く大きな手は彼女の手を優しく支え持ち上げると両手で包み込み、背中を丸めたキバナはそこへ顔を寄せた
「チハルちゃんじゃない事を祈って…もしオマエだったらどうしたらいいって悩みながら来てさ、ベッドで眠るオマエ見たら……胸が張り裂けそうだった」
包んだ彼女の手の甲にキバナは唇を落とし瞳を閉じた
黒く長いまつ毛をした彼をチハルはドキドキと胸を高鳴らせながら見つめ、触れた唇の感触に肌を敏感にさせる
「なぁ…頼むから、もっとオレを頼って?」
唇を手の甲から離した彼は青い瞳を彼女へと向け椅子から腰をゆっくりと浮かせた
ベッドで仰向けに寝る彼女の側へと近寄った
キシっと小さくスプリングを軋ませ枕元に両手をつくと上から見下ろし彼の青い瞳に映る情けない顔をした自分をチハルは見つめた
「オマエが何か隠しているのは知ってる…言えないのも分かってるけどさ、少しは甘えれるヤツがいてもいいだろ?」
『甘える?』
「そ……オレに甘えなよ」
キバナは優しく瞳を細めると顔を彼女へと落としていき二人の距離が縮まる
彼の唇がチハルの唇を求め触れようとするが
『っ!』
頬を赤め目を強く瞑った彼女にキバナは小さく微笑み、唇ではなく頬へと小さなリップ音を鳴らし顔を離した
『……?……キバナさん?』
てっきりキスされるかと思った
瞳を開けコチラを見る熱い視線を感じながらキバナは彼女の上から体を退かし背を向けてベッドに座り直した
「そういやぁさっき看護師が目が覚めたら薬を飲ませたいって言ってたわ、取ってくるからちょっと待ってな」
コチラを見ずに独り言のように呟いた彼はそのまま部屋を出て言ってしまい
チハルはまだドキドキと煩い自分の胸を抑え熱いため息を大きく吐いた
『(キスされるかと思った…馬鹿だなぁそんなのありえないのに!恥ずかしいっ…と言うか甘えていいって……どういう意味かな?)』
まだ頬に残る唇の感触にソワソワとしつつ天井を見つめるチハル
そして廊下を歩くキバナもまた自分の口元を片手で隠し頬を熱くさせていた
「(……危なかった…こんなにドキドキしたの初めてかも)」
フラフラと熱る体に翻弄されながら廊下の壁に体を寄せた彼は冷たい壁に頬を擦付け瞳を熱くさせた
壁の冷たさがとても心地良い
それほど自分の頬は熱かったのだろう
「(頼って欲しい…甘えて欲しい…いつの間にかオレこんなにもチハルちゃんに必要とされたかったんだな)」
ふと思い出すのは出会って間もない時に二人で出掛けた事
ダンデと三人でお茶した時の彼女の笑った顔や沈んだ顔
そして、先程見た戸惑いつつ自分のキスを受け入れようとした真っ赤な顔
「……はぁぁぁぁ」
コツンと壁にこめかみをぶつけ口をへの字にさせる
そうしないと口元が勝手にニヤけてしまうのだ
「(……やばいかも……オレ、本気になっちゃったかも)」