第二章
夢小説設定
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旅をしていると楽しい事ばかりではない、バトルで悔しい思いをしたり野生ポケモンの怖さを知り怖気づく者も少なくない
期待していた結果を出せず溜まった鬱憤を晴らす為に人は時に非道になる事もある
ダンデと別れ旅を続けるチハルはメッソンと共に今日も特訓し、日々強くなる為の努力をしていた
『メッソン!水鉄砲!』
メッソンの攻撃が決まり野生ポケモンとのバトルはチハル達の勝利で無事に終わる
経験を増やしメッソンが進化するには十分であったが、彼本人がまだ今の姿を望んでいるのか姿が変わらなかった
『いい子だね、はいっご褒美の木の実だよ』
ご機嫌なメッソンが木の実に夢中になっている間に彼女はバトルをし終え弱ってしまったココガラに近寄った
その手には傷薬のスプレーを持ち警戒するココガラを怖がらせないように地面に膝をつけた
『ごめんね?今治すから…それにしても君凄いね!とっても強かったよ!』
ポケモン用の薬の効果は早く、スプレーを吹きかければ怪我は全て治りココガラは小さな羽を開き傷がない事を確認してはチハルを不思議そうに見上げた
今までのトレーナーは野生ポケモンを見つければ捕まえるかバトルの経験値を得る為にバトルを挑み、用がなくなればさっさといなくなる
ただバトルのみの相手をさせられる野生ポケモンは怪我を自分で治すのが当たり前になっていたが、彼女は違うようだ
『はい、全部治った!楽しいバトルをありがとうね?』
今までもバトルの相手をしてくれた野生ポケモン達の怪我を治してからその場を離れており、その優しさに惹かれボールがなくてもついてくる者まで出ていた
特に彼女が困っているのは今も木の陰からコチラを伺うキテルグマだ
襲ってくる気配はないが近寄る事もなくじっと見つめられ気になってしまう
『(前にあげたカレーが気に入ったのかな?せっかくだから仲良くなりたいけど逆に襲われたら大変だし…難しいなぁ)』
苦笑いしつつチハルは頭を左右に振ると
『よし!カレーでも作ろっか!』
メッソンに言ったつもりだが彼女の側にいたソーナンスやクスネ、ホシガリスまで反応し集まってくる
そして先程治療を終えたココガラもまた彼女の側へと近寄り当たり前のように肩にとまった
『ん〜皆も?じゃあ少し甘いカレーの方がいいかな?』
一緒に食べたいなら拒むつもりもない、チハルは荷物番をメッソンに任せると木の実を探しに林へと入っていった
茂みを右へ左へと避けながら木を眺める彼女はまだ肩に止まっていたココガラへと話しかけた
『甘い木の実があるとこ知ってる?』
ココガラは小さな翼を羽ばたかせ林へと入ると鳴き声をあげては振り返り道案内をしてくれた、彼の案内に沿って進むと木の実を沢山つけた木を見つけチハルは顔を明るくさせる
持てるだけ木の実を取りメッソン達の元へ戻ろうとすると
荷物番をしていたメッソンの側に誰かが立っているのが見えチハルは小首を傾げた
『こんにちは!』
「こんにちは、君のメッソン?」
挨拶をしてみれば相手の男性もちゃんと答えてくれたが、何処か雰囲気が変だ
口元は笑っているのに目が笑っていないとでも言うんだろうか
こちらを見るその目は冷たい印象を受けた
『はい、あたしのメッソンです』
「あ…じゃあ君がダンデさんに推薦してもらったルーキーだよね?確か他にも二人いてヒバニーとサルノリのパートナー」
『うん、ユウリとホップって言うの…貴方もジムチャレンジャーですか?』
「………ああ」
違和感を感じているのはチハルだけではなかった、肩に乗るココガラも身を丸くさせ蹲りメッソンもいそいそと彼女の足元へと戻ってきた
「バッチは何個集めたの?この辺りならルリナのジムが近いけどもう行った?」
『ううん、まだです!水ポケモンの対策してなくて…新しい子を入れるか迷ってたんです』
電気タイプのポケモンがいれば一番いいのだが、探そうとすると中々出会わないものだ
「ふーん?……ねぇ電気タイプのポケモン欲しい?」
『欲しい!あ…あはは…出来れば欲しいですね』
つい本音を言ってしまい苦笑いを浮かべると男性はニンマリと笑い
「じゃあ…カレーをご馳走してくれたら電気タイプのポケモンがいる穴場教えてあげるよ」
『本当ですか!やった!!すぐ作ります!』
嬉しさとワクワクといった期待を隠す事なく顔に出したチハルは急ぎカレーを作り男性や相棒だけでなく集まった野生ポケモン達にもご馳走した
「それは?」
人間の顔より大きいな葉っぱに乗せたカレーを運ぶ彼女に男性が問いかけるとチハルは林の方を見つめた
『これは隠れんぼしてる子に…恥ずかしがり屋さんかもしれないので』
男性が振り返り林の方へ視線を向けるが何もいない、本当に隠れているようだが特に気にもしなかった
「(この辺りならソーナンスとかだな)」
男性は自分の分のカレーへと意識を戻し、その隙にチハルは林の入口へとカレーを置いた
『そこにいるかな?良かったら食べてね?』
声をかけても姿は現さず静かな林に風が木の葉を揺らす音だけが響いた
暫く待とうか悩んでいるとカレーを食べ終えたらしい男性がチハルの手を強く掴んだ
『っ、ぁ…びっくりした…もう食べたんですか?』
「ああ!だから約束通り穴場に案内してやるよ」
『待ってください、メッソンを』
「大丈夫、大丈夫!場所を教えるだけだしすぐ戻ってくればいいじゃないか」
『そう…かな?』
強引にも手を引かれチハルも抵抗できずカレーを輪になって食べているメッソン達から離れていく
深い森へと手を引っ張りながら進む男性を頼りに歩くが太陽の光さえ入らない森に不安が募っていった
『……まだですか?』
「まだまだ、大丈夫ちゃんと案内するから」
どのくらい歩いただろうか
さっきまでは遠くに見えていた町も見えず帰り道が分からない
見えるのは地面と高い木々
そして暗闇から聞こえるポケモンの小さな声
「ついた、あの茂みを超えた所に電気タイプのポケモンの巣がある!見てきてごらんよ」
手を離され彼が指差した方向を見ると森の終わりが僅かに見えた
やっと見えた陽の光にはホッとしたが違和感はどうしても感じる
「ほら、早くっ行って!」
背中を押され一歩、また一歩と前へ進む
『あのっ本当にこっちですか?ポケモンも持っていないのに…こんな奥に入って襲われたら』
不安げに進む彼女は顔だけを男性へと振り返らせ眉を下げるが
「………そう、怪我だけじゃすまないかもね?」
見えた男性の顔は優しく微笑んでおり、背中を押す手がやっと離れた
その瞬間
また一歩を踏み出そうとした時、彼女の体に突然の浮遊感が襲いかかり視界が逆さになった
『ッッ!!!』
声を出す暇もなく
彼女の体は茂みの向こう
いや…森の終わりに広がる崖の下へと消えていった
見届けた男性は口角を吊り上げ肩を震わせながら静かに笑い一人来た道を戻っていった
「嘘はついてないさ……穴場を案内してあげただろ?」
期待していた結果を出せず溜まった鬱憤を晴らす為に人は時に非道になる事もある
ダンデと別れ旅を続けるチハルはメッソンと共に今日も特訓し、日々強くなる為の努力をしていた
『メッソン!水鉄砲!』
メッソンの攻撃が決まり野生ポケモンとのバトルはチハル達の勝利で無事に終わる
経験を増やしメッソンが進化するには十分であったが、彼本人がまだ今の姿を望んでいるのか姿が変わらなかった
『いい子だね、はいっご褒美の木の実だよ』
ご機嫌なメッソンが木の実に夢中になっている間に彼女はバトルをし終え弱ってしまったココガラに近寄った
その手には傷薬のスプレーを持ち警戒するココガラを怖がらせないように地面に膝をつけた
『ごめんね?今治すから…それにしても君凄いね!とっても強かったよ!』
ポケモン用の薬の効果は早く、スプレーを吹きかければ怪我は全て治りココガラは小さな羽を開き傷がない事を確認してはチハルを不思議そうに見上げた
今までのトレーナーは野生ポケモンを見つければ捕まえるかバトルの経験値を得る為にバトルを挑み、用がなくなればさっさといなくなる
ただバトルのみの相手をさせられる野生ポケモンは怪我を自分で治すのが当たり前になっていたが、彼女は違うようだ
『はい、全部治った!楽しいバトルをありがとうね?』
今までもバトルの相手をしてくれた野生ポケモン達の怪我を治してからその場を離れており、その優しさに惹かれボールがなくてもついてくる者まで出ていた
特に彼女が困っているのは今も木の陰からコチラを伺うキテルグマだ
襲ってくる気配はないが近寄る事もなくじっと見つめられ気になってしまう
『(前にあげたカレーが気に入ったのかな?せっかくだから仲良くなりたいけど逆に襲われたら大変だし…難しいなぁ)』
苦笑いしつつチハルは頭を左右に振ると
『よし!カレーでも作ろっか!』
メッソンに言ったつもりだが彼女の側にいたソーナンスやクスネ、ホシガリスまで反応し集まってくる
そして先程治療を終えたココガラもまた彼女の側へと近寄り当たり前のように肩にとまった
『ん〜皆も?じゃあ少し甘いカレーの方がいいかな?』
一緒に食べたいなら拒むつもりもない、チハルは荷物番をメッソンに任せると木の実を探しに林へと入っていった
茂みを右へ左へと避けながら木を眺める彼女はまだ肩に止まっていたココガラへと話しかけた
『甘い木の実があるとこ知ってる?』
ココガラは小さな翼を羽ばたかせ林へと入ると鳴き声をあげては振り返り道案内をしてくれた、彼の案内に沿って進むと木の実を沢山つけた木を見つけチハルは顔を明るくさせる
持てるだけ木の実を取りメッソン達の元へ戻ろうとすると
荷物番をしていたメッソンの側に誰かが立っているのが見えチハルは小首を傾げた
『こんにちは!』
「こんにちは、君のメッソン?」
挨拶をしてみれば相手の男性もちゃんと答えてくれたが、何処か雰囲気が変だ
口元は笑っているのに目が笑っていないとでも言うんだろうか
こちらを見るその目は冷たい印象を受けた
『はい、あたしのメッソンです』
「あ…じゃあ君がダンデさんに推薦してもらったルーキーだよね?確か他にも二人いてヒバニーとサルノリのパートナー」
『うん、ユウリとホップって言うの…貴方もジムチャレンジャーですか?』
「………ああ」
違和感を感じているのはチハルだけではなかった、肩に乗るココガラも身を丸くさせ蹲りメッソンもいそいそと彼女の足元へと戻ってきた
「バッチは何個集めたの?この辺りならルリナのジムが近いけどもう行った?」
『ううん、まだです!水ポケモンの対策してなくて…新しい子を入れるか迷ってたんです』
電気タイプのポケモンがいれば一番いいのだが、探そうとすると中々出会わないものだ
「ふーん?……ねぇ電気タイプのポケモン欲しい?」
『欲しい!あ…あはは…出来れば欲しいですね』
つい本音を言ってしまい苦笑いを浮かべると男性はニンマリと笑い
「じゃあ…カレーをご馳走してくれたら電気タイプのポケモンがいる穴場教えてあげるよ」
『本当ですか!やった!!すぐ作ります!』
嬉しさとワクワクといった期待を隠す事なく顔に出したチハルは急ぎカレーを作り男性や相棒だけでなく集まった野生ポケモン達にもご馳走した
「それは?」
人間の顔より大きいな葉っぱに乗せたカレーを運ぶ彼女に男性が問いかけるとチハルは林の方を見つめた
『これは隠れんぼしてる子に…恥ずかしがり屋さんかもしれないので』
男性が振り返り林の方へ視線を向けるが何もいない、本当に隠れているようだが特に気にもしなかった
「(この辺りならソーナンスとかだな)」
男性は自分の分のカレーへと意識を戻し、その隙にチハルは林の入口へとカレーを置いた
『そこにいるかな?良かったら食べてね?』
声をかけても姿は現さず静かな林に風が木の葉を揺らす音だけが響いた
暫く待とうか悩んでいるとカレーを食べ終えたらしい男性がチハルの手を強く掴んだ
『っ、ぁ…びっくりした…もう食べたんですか?』
「ああ!だから約束通り穴場に案内してやるよ」
『待ってください、メッソンを』
「大丈夫、大丈夫!場所を教えるだけだしすぐ戻ってくればいいじゃないか」
『そう…かな?』
強引にも手を引かれチハルも抵抗できずカレーを輪になって食べているメッソン達から離れていく
深い森へと手を引っ張りながら進む男性を頼りに歩くが太陽の光さえ入らない森に不安が募っていった
『……まだですか?』
「まだまだ、大丈夫ちゃんと案内するから」
どのくらい歩いただろうか
さっきまでは遠くに見えていた町も見えず帰り道が分からない
見えるのは地面と高い木々
そして暗闇から聞こえるポケモンの小さな声
「ついた、あの茂みを超えた所に電気タイプのポケモンの巣がある!見てきてごらんよ」
手を離され彼が指差した方向を見ると森の終わりが僅かに見えた
やっと見えた陽の光にはホッとしたが違和感はどうしても感じる
「ほら、早くっ行って!」
背中を押され一歩、また一歩と前へ進む
『あのっ本当にこっちですか?ポケモンも持っていないのに…こんな奥に入って襲われたら』
不安げに進む彼女は顔だけを男性へと振り返らせ眉を下げるが
「………そう、怪我だけじゃすまないかもね?」
見えた男性の顔は優しく微笑んでおり、背中を押す手がやっと離れた
その瞬間
また一歩を踏み出そうとした時、彼女の体に突然の浮遊感が襲いかかり視界が逆さになった
『ッッ!!!』
声を出す暇もなく
彼女の体は茂みの向こう
いや…森の終わりに広がる崖の下へと消えていった
見届けた男性は口角を吊り上げ肩を震わせながら静かに笑い一人来た道を戻っていった
「嘘はついてないさ……穴場を案内してあげただろ?」