賢者の石
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ハグリッド、大丈夫?」
トロッコに酔ってしまったのか、ハグリッドの顔が白い。
元々は薄汚れている事もあって色黒なほうなハグリッドだが、蒼白な顔が大丈夫な訳がない事を物語っていた。
「おまえら、ちょっとすまんが、先買い物しちょいてくれ。オレはちょっと、漏れ鍋で元気爆発薬ひっかけてくる。」
元気爆発薬がとても気になるが、今のハグリッドに質問なんかできる訳なく、ハリーとエマは「うん、分かった」としか言えなかった。
とは言ったものの、魔法界の商店街なんて初めてで、何をどうしたらいいか分からない2人は「制服を用意せにゃ」と言っていたハグリッドの言葉を思い出し、ショーウィンドウにローブを着た動くマネキンがいる店に入っていった。
【マダム•マルキンの店】
「いらっしゃい!坊ちゃん達はホグワーツかしら?」
「はい、そうです。」
恰幅のいいおばさんがにこやか、軽やかに話しかけてきた。
「全部ここで揃うわ、ちょうど今もう1人の坊ちゃんの丈を合わせているところなの」
もう1人の坊ちゃんは店の奥にいた。プラチナブロンドの髪をガッチリ後ろにオールバックしており、白い肌に薄青い目。
その目は何故か人を見下しているかのように伏せている。無駄に気取った坊ちゃんの歳の頃はハリー達と同じくらいだ。
「さぁ、1人なら今から採寸できるわ、どちらからしようかしら?」
「エマ、いいよ。僕別の店で先に他のものを揃えてるから。」
「ありがとう」
ハリーはそういうと、マダムの店を後にした。
「さぁ、お嬢ちゃん、ここに立って」
エマはプラチナブロンドの男の子の横に立って、ローブの採寸をはじめると、男の子がちらりとエマの方を見た。
「やぁ、君もホグワーツ?」
「あ、うん。そう、ホグワーツ」
「僕も今年から入学なんだけど、父上と母上は別のところで買い物してるよ」
「ふーん。」
「……君、変わった格好してるな。もしかしてマグル出身か?」
男の子はエマが来ているダドリーのお古を見ながら訝しげな顔をした。
「…多分、違うと思う」
「多分?」
「知らないの。魔法界で産まれたらしいけど、両親が死んで、その後はマージョリーおばさんの所で育ったの。貴方達のいうマグルの人達のところで」
「…へぇ、マグルのね…」
話の筋が微妙に通らない事は自分が1番よく分かってる。
エマが知っている自分の経歴なんて、この坊ちゃんと何ら変わらない。両親はどうやって死んでいったのか。何で魔法界でなく、あんなマージョリーおばさんのような人に預けたのか…
「………………。」
「…君は、クィディッチはするの?」
「クィディッチ?」
坊ちゃんは眉毛を思いっきり歪めて惜しげもなく「そんな事も知らないのか」という表情をした。
こんな自分と歳が変わらないような子がマージョリーやバーノンがわざと顔を顰めた時にするような表情をするなんて、
「気の毒に、クィディッチも魔法の『ま』も知らずにやってきたクチか」
なんて失礼な物言いをする坊ちゃんだ。
「君の無知具合はまさにマグル育ちだな。気の毒に。
ハッフルパフみたいな間抜けな寮に組分けされないといいけど。」
「はぁ。………はぁ?」
ハッフルパフが何かが分からないが、失礼な事を言われてるのだけは分かる。
初めましての赤の他人にこんな短時間で高飛車な態度を取られたのはダーズリー家以外では初めてだ。
唖然としてエマの口は開きっぱなしだった。
呆けた顔をしてたんだろう。坊ちゃんはエマの顔を見ると、フン!とせせら笑った。
マダムは坊ちゃんの左膝下の採寸が終わった所で、シュル!っとメジャーをしまう。
「そんな顔するな、マグルで育ったんだ。無知で当然さ。僕が魔法界の良し悪しを教えてあげよう」
「あー……。うん」
エマは歯切れ悪く答えた。
この坊ちゃんに教えてもらって大丈夫だろうか。
「名前は?」
坊ちゃんの言葉に被せるように店のドアが大きく開いた。
坊ちゃんと瓜二つのプラチナブロンドを肩まで垂らし、高級そうな黒いローブを着た男の人が入ってきた。
「ドラコ、終わったのか」
「はい父上、終わりました。
それじゃ、ホグワーツで」
2人は気品と性悪さを撒き散らしながらマダム•マルキンの店を後にした。
エマがマダムの店を出る時、マダムがエマを引き留めた。
「もう我慢できないわっ。こんな服を女の子が着てるなんて!お願い、後もう一着作らせて!」
と、一着ローブの下に着る私服用の可愛いワンピースを素早く仕立ててくれた。
薄い紫色のスカートはローブに合わせて長く、両横にプリーツが入っていた。
胸元にはウエストから上にかけて小さいボタンが上まで付いていて、ボタン横に控えめなレースがあしらってある。
エマはお金を払おうとしたが「おばちゃんからの入学祝い」とウィンクして、お金を受け取ってもらえなかった。
エマは今着るのが勿体無くて、ホグワーツに行く時に着ていこうと決めた。
その後、ハリーを探したが沢山の人混みの中から探すのを早々に諦めて、ずっと気になっていた魔法の杖を買いに行く事にした。
カランカラン…
エマは【オリバンダーの店】にやってきた。
天井までそびえ立つ古い箱の山、かろうじて入る外からの光に照らされて埃がキラキラと舞っている。
オズオズと店内を進む。
シャー!と脚立がスライディングする音がし、背の高い棚と棚の間からモジャモジャ頭のおじいさん、オリバンダーが顔を出した。
「こんにちは。杖を買いにきました。」
オリバンダーは挨拶に返事をせず、眉間に皺を寄せてエマを見つめていた。
「あ、あの…」
「驚いた。君はエイヴァ•ファースの子供かね?」
「エイヴァ?」
「懐かしや、エイヴァに子供がいたとは、いやはや」
「ファースは私のファミリーネームです。エイヴァって、私の両親の名前でしょうか?」
エマの発言にオリバンダーは目を見開き驚いていた。
「私は売った杖も、客の顔もよく覚えている。
1970年にエイヴァはこの店で杖を購入した。
君はエイヴァの生き写しだが、、、エイヴァを知らないのだな」
「……知りません、私の両親は私が赤ん坊の時に魔法界の紛争に巻き込まれて死んだと。その後は魔法界の事は知らずに暮らしてたんです…」
オリバンダーは驚き、そして悲しそうな顔をした。
「…そうだったか…
あの大混乱の時代に命を落とした者、行方不明な者、心の傷が癒えず未だ渦中の幻覚に苦しんでる者が多々いる。エイヴァのように強く優しい人間が沢山死んだ。」
オリバンダーは背の高い棚の沢山ある箱の中からそっと一つの箱を抜き取り、その箱をエマの前まで持ってきてゆっくりと上の箱を開けエマに見せた。
「ハナミズキの木、ユニコーンの立て髪、23センチ、
良くしなる」
オリバンダーの金色の目が優しく、持ってみなさいと語った。
杖を握ると全身に電気が走り、身体が一気に暖かくなった。ふわりとエマのカラダ周辺に風をまとい、髪の毛が舞い上がった
「うむ、エイヴァを選んだユニコーンの子供の立て髪じゃ。それは君を選んだ」
オリバンダーは優しく、そして満足そうに笑った。
「今日は不思議な事がよく起こる日じゃ、ハリーポッターが選んだ杖も実に不思議じゃった。」
「ハリーはここにきたんですか?」
「うむ、君はハリーポッターの友人かな?」
「幼馴染なんです。私達、何もわからないし、知らないままここにきたんです。」
エマは沢山オリバンダーさんと話をした。
今まで自分がいた場所の事やマージョリーやバーノン達の事、手紙が来て古小屋にいたらハグリッドが自分達をここへ連れ出してきてくれた事。
話の中で、エイヴァはホグワーツの生徒で、グリフィンドールという寮にいた事、父親はオリバンダーさんも知らないと教えてくれた
エマは自分が何だか舞い上がっていて話しすぎている事に気づいていた。
勝手に口がペラペラと喋る。
オリバンダーさんが優しい眼差しで、両親の事を聞かせてくれた事が凄くうれしかったのだ。
コンコンコンコン!
店のウィンドウを叩く音がして振り返ると、ハリーとハグリッドがいた。
ハリーはオリバンダーさんに軽く会釈をしている。
「さぁ、行きなさい。」
「ありがとう…オリバンダーさん。私、エマ•ファースと言います」
「エマ•ファース、いい名だ。」
エマはオリバンダーさんに微笑んで店を後にした。
オリバンダーはハリーとエマの後ろ姿が見えなくなるまで2人を見つめていた。
※※※
ハグリッドはハリーにフクロウ、エマに猫をくれた。
ハリーのフクロウは体に白い斑点がある白フクロウだ。賢そうな金色の目をしている。
エマの猫はグレーの毛並みのロシアンブルーで、ゲージの中で毛繕いをしている。
2人はキラキラした瞳でハグリッドを見上げた。
「2匹とも賢いぞ。2人にピッタリ合う奴らを選んだんだ。学校でもええ相棒になってくれる。」
「ありがとうハグリッドッ本当に嬉しいわ!!」
「大切にするよ。ありがとうハグリッド、本当に…」
ハグリッドと出会ってまだ2日と経っていないのに、こんなにも良くしてくれる事に2人は感動していた。
たまらず、ハグリッドに抱きつき、ハグリッドは少し動揺したようだがすぐにまたグスグスの涙を流し、3人は暫く漏れ鍋の入り口で抱き合っていた。
「さあ、もう帰らねーとな。」
ハグリッドは涙を拭う。
3人は大荷物を抱えて、漏れ鍋を出て駅に向かう。
魔法学校に必要な荷物は、バディントン駅では偉く風変わりだった。
すれ違う人々はハリー達がマジックかサーカスをしているのかなという視線を向けたが、2人は特に気にする事もなくダーズリー家に帰る電車に乗り込んだ。
「おっと忘れるところだった。ほら、コレを大事に持っとけ。ホグワーツ行きの切符だ。必要な事は全部書いとる」
2人は封筒を受け取った。
プルルルルルルルルルル
電車のドアが閉まる。ハグリッドは手を挙げて2人に笑いかけていた。
トロッコに酔ってしまったのか、ハグリッドの顔が白い。
元々は薄汚れている事もあって色黒なほうなハグリッドだが、蒼白な顔が大丈夫な訳がない事を物語っていた。
「おまえら、ちょっとすまんが、先買い物しちょいてくれ。オレはちょっと、漏れ鍋で元気爆発薬ひっかけてくる。」
元気爆発薬がとても気になるが、今のハグリッドに質問なんかできる訳なく、ハリーとエマは「うん、分かった」としか言えなかった。
とは言ったものの、魔法界の商店街なんて初めてで、何をどうしたらいいか分からない2人は「制服を用意せにゃ」と言っていたハグリッドの言葉を思い出し、ショーウィンドウにローブを着た動くマネキンがいる店に入っていった。
【マダム•マルキンの店】
「いらっしゃい!坊ちゃん達はホグワーツかしら?」
「はい、そうです。」
恰幅のいいおばさんがにこやか、軽やかに話しかけてきた。
「全部ここで揃うわ、ちょうど今もう1人の坊ちゃんの丈を合わせているところなの」
もう1人の坊ちゃんは店の奥にいた。プラチナブロンドの髪をガッチリ後ろにオールバックしており、白い肌に薄青い目。
その目は何故か人を見下しているかのように伏せている。無駄に気取った坊ちゃんの歳の頃はハリー達と同じくらいだ。
「さぁ、1人なら今から採寸できるわ、どちらからしようかしら?」
「エマ、いいよ。僕別の店で先に他のものを揃えてるから。」
「ありがとう」
ハリーはそういうと、マダムの店を後にした。
「さぁ、お嬢ちゃん、ここに立って」
エマはプラチナブロンドの男の子の横に立って、ローブの採寸をはじめると、男の子がちらりとエマの方を見た。
「やぁ、君もホグワーツ?」
「あ、うん。そう、ホグワーツ」
「僕も今年から入学なんだけど、父上と母上は別のところで買い物してるよ」
「ふーん。」
「……君、変わった格好してるな。もしかしてマグル出身か?」
男の子はエマが来ているダドリーのお古を見ながら訝しげな顔をした。
「…多分、違うと思う」
「多分?」
「知らないの。魔法界で産まれたらしいけど、両親が死んで、その後はマージョリーおばさんの所で育ったの。貴方達のいうマグルの人達のところで」
「…へぇ、マグルのね…」
話の筋が微妙に通らない事は自分が1番よく分かってる。
エマが知っている自分の経歴なんて、この坊ちゃんと何ら変わらない。両親はどうやって死んでいったのか。何で魔法界でなく、あんなマージョリーおばさんのような人に預けたのか…
「………………。」
「…君は、クィディッチはするの?」
「クィディッチ?」
坊ちゃんは眉毛を思いっきり歪めて惜しげもなく「そんな事も知らないのか」という表情をした。
こんな自分と歳が変わらないような子がマージョリーやバーノンがわざと顔を顰めた時にするような表情をするなんて、
「気の毒に、クィディッチも魔法の『ま』も知らずにやってきたクチか」
なんて失礼な物言いをする坊ちゃんだ。
「君の無知具合はまさにマグル育ちだな。気の毒に。
ハッフルパフみたいな間抜けな寮に組分けされないといいけど。」
「はぁ。………はぁ?」
ハッフルパフが何かが分からないが、失礼な事を言われてるのだけは分かる。
初めましての赤の他人にこんな短時間で高飛車な態度を取られたのはダーズリー家以外では初めてだ。
唖然としてエマの口は開きっぱなしだった。
呆けた顔をしてたんだろう。坊ちゃんはエマの顔を見ると、フン!とせせら笑った。
マダムは坊ちゃんの左膝下の採寸が終わった所で、シュル!っとメジャーをしまう。
「そんな顔するな、マグルで育ったんだ。無知で当然さ。僕が魔法界の良し悪しを教えてあげよう」
「あー……。うん」
エマは歯切れ悪く答えた。
この坊ちゃんに教えてもらって大丈夫だろうか。
「名前は?」
坊ちゃんの言葉に被せるように店のドアが大きく開いた。
坊ちゃんと瓜二つのプラチナブロンドを肩まで垂らし、高級そうな黒いローブを着た男の人が入ってきた。
「ドラコ、終わったのか」
「はい父上、終わりました。
それじゃ、ホグワーツで」
2人は気品と性悪さを撒き散らしながらマダム•マルキンの店を後にした。
エマがマダムの店を出る時、マダムがエマを引き留めた。
「もう我慢できないわっ。こんな服を女の子が着てるなんて!お願い、後もう一着作らせて!」
と、一着ローブの下に着る私服用の可愛いワンピースを素早く仕立ててくれた。
薄い紫色のスカートはローブに合わせて長く、両横にプリーツが入っていた。
胸元にはウエストから上にかけて小さいボタンが上まで付いていて、ボタン横に控えめなレースがあしらってある。
エマはお金を払おうとしたが「おばちゃんからの入学祝い」とウィンクして、お金を受け取ってもらえなかった。
エマは今着るのが勿体無くて、ホグワーツに行く時に着ていこうと決めた。
その後、ハリーを探したが沢山の人混みの中から探すのを早々に諦めて、ずっと気になっていた魔法の杖を買いに行く事にした。
カランカラン…
エマは【オリバンダーの店】にやってきた。
天井までそびえ立つ古い箱の山、かろうじて入る外からの光に照らされて埃がキラキラと舞っている。
オズオズと店内を進む。
シャー!と脚立がスライディングする音がし、背の高い棚と棚の間からモジャモジャ頭のおじいさん、オリバンダーが顔を出した。
「こんにちは。杖を買いにきました。」
オリバンダーは挨拶に返事をせず、眉間に皺を寄せてエマを見つめていた。
「あ、あの…」
「驚いた。君はエイヴァ•ファースの子供かね?」
「エイヴァ?」
「懐かしや、エイヴァに子供がいたとは、いやはや」
「ファースは私のファミリーネームです。エイヴァって、私の両親の名前でしょうか?」
エマの発言にオリバンダーは目を見開き驚いていた。
「私は売った杖も、客の顔もよく覚えている。
1970年にエイヴァはこの店で杖を購入した。
君はエイヴァの生き写しだが、、、エイヴァを知らないのだな」
「……知りません、私の両親は私が赤ん坊の時に魔法界の紛争に巻き込まれて死んだと。その後は魔法界の事は知らずに暮らしてたんです…」
オリバンダーは驚き、そして悲しそうな顔をした。
「…そうだったか…
あの大混乱の時代に命を落とした者、行方不明な者、心の傷が癒えず未だ渦中の幻覚に苦しんでる者が多々いる。エイヴァのように強く優しい人間が沢山死んだ。」
オリバンダーは背の高い棚の沢山ある箱の中からそっと一つの箱を抜き取り、その箱をエマの前まで持ってきてゆっくりと上の箱を開けエマに見せた。
「ハナミズキの木、ユニコーンの立て髪、23センチ、
良くしなる」
オリバンダーの金色の目が優しく、持ってみなさいと語った。
杖を握ると全身に電気が走り、身体が一気に暖かくなった。ふわりとエマのカラダ周辺に風をまとい、髪の毛が舞い上がった
「うむ、エイヴァを選んだユニコーンの子供の立て髪じゃ。それは君を選んだ」
オリバンダーは優しく、そして満足そうに笑った。
「今日は不思議な事がよく起こる日じゃ、ハリーポッターが選んだ杖も実に不思議じゃった。」
「ハリーはここにきたんですか?」
「うむ、君はハリーポッターの友人かな?」
「幼馴染なんです。私達、何もわからないし、知らないままここにきたんです。」
エマは沢山オリバンダーさんと話をした。
今まで自分がいた場所の事やマージョリーやバーノン達の事、手紙が来て古小屋にいたらハグリッドが自分達をここへ連れ出してきてくれた事。
話の中で、エイヴァはホグワーツの生徒で、グリフィンドールという寮にいた事、父親はオリバンダーさんも知らないと教えてくれた
エマは自分が何だか舞い上がっていて話しすぎている事に気づいていた。
勝手に口がペラペラと喋る。
オリバンダーさんが優しい眼差しで、両親の事を聞かせてくれた事が凄くうれしかったのだ。
コンコンコンコン!
店のウィンドウを叩く音がして振り返ると、ハリーとハグリッドがいた。
ハリーはオリバンダーさんに軽く会釈をしている。
「さぁ、行きなさい。」
「ありがとう…オリバンダーさん。私、エマ•ファースと言います」
「エマ•ファース、いい名だ。」
エマはオリバンダーさんに微笑んで店を後にした。
オリバンダーはハリーとエマの後ろ姿が見えなくなるまで2人を見つめていた。
※※※
ハグリッドはハリーにフクロウ、エマに猫をくれた。
ハリーのフクロウは体に白い斑点がある白フクロウだ。賢そうな金色の目をしている。
エマの猫はグレーの毛並みのロシアンブルーで、ゲージの中で毛繕いをしている。
2人はキラキラした瞳でハグリッドを見上げた。
「2匹とも賢いぞ。2人にピッタリ合う奴らを選んだんだ。学校でもええ相棒になってくれる。」
「ありがとうハグリッドッ本当に嬉しいわ!!」
「大切にするよ。ありがとうハグリッド、本当に…」
ハグリッドと出会ってまだ2日と経っていないのに、こんなにも良くしてくれる事に2人は感動していた。
たまらず、ハグリッドに抱きつき、ハグリッドは少し動揺したようだがすぐにまたグスグスの涙を流し、3人は暫く漏れ鍋の入り口で抱き合っていた。
「さあ、もう帰らねーとな。」
ハグリッドは涙を拭う。
3人は大荷物を抱えて、漏れ鍋を出て駅に向かう。
魔法学校に必要な荷物は、バディントン駅では偉く風変わりだった。
すれ違う人々はハリー達がマジックかサーカスをしているのかなという視線を向けたが、2人は特に気にする事もなくダーズリー家に帰る電車に乗り込んだ。
「おっと忘れるところだった。ほら、コレを大事に持っとけ。ホグワーツ行きの切符だ。必要な事は全部書いとる」
2人は封筒を受け取った。
プルルルルルルルルルル
電車のドアが閉まる。ハグリッドは手を挙げて2人に笑いかけていた。