十人一色 〜トランスジェンダーを抱えたふたり〜
ある朝教室に入ると、和香の机にゴミが散乱していた。
丸めた紙くずだとかジュースの紙パックだとか。
物陰から和香の方を見て忍び笑いしている男子生徒が数名。
素行が良くないので有名なグループだ。
声には出さず内心で深くため息を吐いて、全部ゴミ箱に放り込む。
机にも濃い鉛筆でバカアホクソと無数に書き込まれている。
(バカはお前らだ)
消しゴムで全部消して、消しカスもゴミ箱に捨てた。
そんな和香を指差して、男子たちは終始嫌な笑い声を立てていた。
こんなことをして何が楽しいのかわからない。
わからないが、男子たちにとっては至極楽しいことなんだろう。
コイバナする女子の気持ちがわからないし、嫌がらせする男子の思考回路もわからない。
自分は男にも女にも属さない、宙ぶらりんな生き物なんじゃないかと思えた。



丸めた紙くずだとかジュースの紙パックだとか。
物陰から和香の方を見て忍び笑いしている男子生徒が数名。
素行が良くないので有名なグループだ。
声には出さず内心で深くため息を吐いて、全部ゴミ箱に放り込む。
机にも濃い鉛筆でバカアホクソと無数に書き込まれている。
(バカはお前らだ)
消しゴムで全部消して、消しカスもゴミ箱に捨てた。
そんな和香を指差して、男子たちは終始嫌な笑い声を立てていた。
こんなことをして何が楽しいのかわからない。
わからないが、男子たちにとっては至極楽しいことなんだろう。
コイバナする女子の気持ちがわからないし、嫌がらせする男子の思考回路もわからない。
自分は男にも女にも属さない、宙ぶらりんな生き物なんじゃないかと思えた。