観音坂独歩
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今日はどしゃ降りだった。
なのに営業先で傘を忘れ、取りに戻ったら間違えて持って行かれた後だった。
それだけじゃない。
毎日毎日残業、それだけでも憂鬱なのに、追加してあのハゲ課長によるネチネチとした説教…
俺は今日も疲れてて帰宅した。
絶対そのうちヒプノシスマイクで復習してやる…
なんて思いながら、終電に揺られ、俺は自宅へと帰宅した。
「…はぁ、今日も疲れた…」
ネクタイを緩め、ベッドにダイブする。
眠気は来ないのに、体が怠くて動かない。
こんなとき眠れたらいいのだろうが、残念ながら目は冴えたままだった。
「はぁ、こんなに疲れてるのに眠れないなんてなんなんだ?なんの呪いだ?あのハゲ課長に呪いでもかけられてるのか?いっそ俺も呪いでもかけてやろうか…でも呪いなんてかけたことないし…でもヒプノシスマイクを使えば…いや、そう簡単にヒプノシスマイクを使えば捕まるだろ、これだから俺はダメなんだ。今日どしゃ降りなのも、傘を間違えられたのも、ハゲ課長に説教されたのも、弟の受験が失敗したのも、全部、俺のせい俺のせい俺のせい…」
ぶつぶつ一人で呟いていると、スマホが鳴った
「ん…なんだ…?」
ベットサイドテーブルに置いていたスマホを見ると、一二三からのメッセージが。
〈独歩くん、今少しいいかい?〉
「…なんだ?一二三が伺いをたててくるなんて珍しいな…」
なんて呟きながら、大丈夫だと返すと
〈実は、独歩くんに会わせたい人がいるんだ〉
「…は?え?は?…一二三が俺に会わせたい人だと…?」
一二三とは長い付き合いだが、そんなことを言われたことは一度もない。
まさか、彼女ができたという報告か?とも思ったが、昨日の一二三のいつもの様子から見て、その可能性は低いだろうな…
じゃあ誰なんだ…?
困惑しながら、
〈誰を紹介したいんだ?〉
と送ると、一二三から、
〈実はこの間、とある女性に助けられてね〉
「は?一二三が女性に助けられた…?ヒプノシスマイクはどうしたんだよ…」
思ったことをそのまま、一二三に送った
〈女性に助けられた?ヒプノシスマイクはどうしたんだよ〉
〈ホストクラブの近くで絡まれてね。簡単にヒプノシスマイクを起動できる状況ではなかったんだよ。そこへ、通りがかった女性がいて、その女性がとっさの対応をしてくれて、なんとか逃げおおせたんだよ〉
「とっさの対応ってなんだよ…」
色々不明な点はあるものの、一二三が世話になったとなれば、俺が挨拶をしないわけにはいかないと思い、俺はその女性に会うことを承諾した。
数日後、一二三と一緒に待ち合わせ場所でその女性を待っているときに、思いきってその女性について聞いてみることにした。
「…一二三、その女性ってどんな人なんだ?」
という俺の質問に対し、一二三は、営業スマイルで
「とっても素敵な女性だよ、独歩くん」
というので、
「…あぁ、ホストモードのお前に聞いても無駄だったな」
と思って聞くのをやめた
数分後
『…あ!伊弉冉さん!』
「ああ!江藤さん!」
「江藤さん…?」
聞きなれない名前に首をかしげながら、一二三の視線を追うと、そこにはあわててこちらに歩いてくる女性がいた
歳は20そこらだろうか…
綺麗というよりかはかわいい感じで、色素の薄いファッションは清楚さを醸し出している
…って、俺は何を考えているんだ…!
慌てて頭を振る
『すみません!遅れました…!』
「いいんだよ、子猫ちゃん。…独歩くん、こちら、この間僕を助けてくれた、江藤みのりさん。子猫ちゃん、こちら、僕の幼馴染みで親友の、観音坂独歩くんだ」
「ど、どうも、私、こういうものです…」
いつもの癖で名刺を差し出すと、彼女は慌てて
『あ!す、すみません!ご丁寧にどうも…!すみません、私は名刺を持っておらず…』
困り顔で言う江藤さんに、女性にはこんな人もいるのか、と、不思議な気持ちになった
「というか一二三、お前…」
女性恐怖症だろ、ということを、目で訴えると、一二三はにっこりと笑って
「どうしても独歩くんと子猫ちゃんを会わせたかったんだ」
と言った
「は…?」
困惑する俺に、江藤さんは、少し顔を赤くしていたのを、俺は気付かなかった
「すみません、一二三のやつが…」
と言うと、江藤さんは、笑顔で
『いいえ、とんでもありません。観音坂さんは、とても優しい方なんですね』
と笑った
「は…?」
『あ、いえ、いきなりすみません…』
「あ、いえ…」
二人揃って謝っていると、彼女は困り顔で
『なんだか親近感沸いちゃいます』
と言った
「親近感…?」
ときょとんとした俺をよそに、一二三は
「おっと、後は若い二人でやってくれ」
「は!?ちょ、一二三!?」
「すまない独歩くん、僕ももうそろそろ…」
「…っ、わかった、お前は帰れ」
「すまない、後は楽しんでくれ!」
というと、一二三は星を飛ばして去って行った
「…はぁ」
『お、お疲れ様です…』
「え?あ、ありがとうございます…」
はじめて言われた言葉に驚いた
『…でも、伊弉冉さんと話しているときの観音坂さん、とっても素敵ですよ』
と笑う彼女に、俺はあっけにとられた
は?素敵?
こんな三十路手前のおっさんがか?
「…あ、あぁ、お世辞か」
『お世辞じゃないですよ』
と笑う彼女
『きっと、伊弉冉さんといるときの観音坂さんが素なんでしょうね』
「…まぁ、小学校からの付き合いなので…」
『ふふ、そういうの羨ましいです』
「…江藤さんには、いないんてすか?そういう人」
『…いない、です』
彼女の表情が固くなった
しまった、と思ったときには遅く、彼女はこちらをみて困ったように笑った
『…大切にしてくださいね』
何を、とは、いうまでもない
一二三のことだ
でもなんだか、悲しそうだった
「…あの、このあと、お時間ありますか」
『え…?』
きょとんとする彼女
「その…一二三のことを助けてくださったお礼、させて、ください」
俺が緊張しながら言うと、彼女は花が咲くように笑った
『…!はい!』
色付く
(君と出会うことで、色付き始める)
なのに営業先で傘を忘れ、取りに戻ったら間違えて持って行かれた後だった。
それだけじゃない。
毎日毎日残業、それだけでも憂鬱なのに、追加してあのハゲ課長によるネチネチとした説教…
俺は今日も疲れてて帰宅した。
絶対そのうちヒプノシスマイクで復習してやる…
なんて思いながら、終電に揺られ、俺は自宅へと帰宅した。
「…はぁ、今日も疲れた…」
ネクタイを緩め、ベッドにダイブする。
眠気は来ないのに、体が怠くて動かない。
こんなとき眠れたらいいのだろうが、残念ながら目は冴えたままだった。
「はぁ、こんなに疲れてるのに眠れないなんてなんなんだ?なんの呪いだ?あのハゲ課長に呪いでもかけられてるのか?いっそ俺も呪いでもかけてやろうか…でも呪いなんてかけたことないし…でもヒプノシスマイクを使えば…いや、そう簡単にヒプノシスマイクを使えば捕まるだろ、これだから俺はダメなんだ。今日どしゃ降りなのも、傘を間違えられたのも、ハゲ課長に説教されたのも、弟の受験が失敗したのも、全部、俺のせい俺のせい俺のせい…」
ぶつぶつ一人で呟いていると、スマホが鳴った
「ん…なんだ…?」
ベットサイドテーブルに置いていたスマホを見ると、一二三からのメッセージが。
〈独歩くん、今少しいいかい?〉
「…なんだ?一二三が伺いをたててくるなんて珍しいな…」
なんて呟きながら、大丈夫だと返すと
〈実は、独歩くんに会わせたい人がいるんだ〉
「…は?え?は?…一二三が俺に会わせたい人だと…?」
一二三とは長い付き合いだが、そんなことを言われたことは一度もない。
まさか、彼女ができたという報告か?とも思ったが、昨日の一二三のいつもの様子から見て、その可能性は低いだろうな…
じゃあ誰なんだ…?
困惑しながら、
〈誰を紹介したいんだ?〉
と送ると、一二三から、
〈実はこの間、とある女性に助けられてね〉
「は?一二三が女性に助けられた…?ヒプノシスマイクはどうしたんだよ…」
思ったことをそのまま、一二三に送った
〈女性に助けられた?ヒプノシスマイクはどうしたんだよ〉
〈ホストクラブの近くで絡まれてね。簡単にヒプノシスマイクを起動できる状況ではなかったんだよ。そこへ、通りがかった女性がいて、その女性がとっさの対応をしてくれて、なんとか逃げおおせたんだよ〉
「とっさの対応ってなんだよ…」
色々不明な点はあるものの、一二三が世話になったとなれば、俺が挨拶をしないわけにはいかないと思い、俺はその女性に会うことを承諾した。
数日後、一二三と一緒に待ち合わせ場所でその女性を待っているときに、思いきってその女性について聞いてみることにした。
「…一二三、その女性ってどんな人なんだ?」
という俺の質問に対し、一二三は、営業スマイルで
「とっても素敵な女性だよ、独歩くん」
というので、
「…あぁ、ホストモードのお前に聞いても無駄だったな」
と思って聞くのをやめた
数分後
『…あ!伊弉冉さん!』
「ああ!江藤さん!」
「江藤さん…?」
聞きなれない名前に首をかしげながら、一二三の視線を追うと、そこにはあわててこちらに歩いてくる女性がいた
歳は20そこらだろうか…
綺麗というよりかはかわいい感じで、色素の薄いファッションは清楚さを醸し出している
…って、俺は何を考えているんだ…!
慌てて頭を振る
『すみません!遅れました…!』
「いいんだよ、子猫ちゃん。…独歩くん、こちら、この間僕を助けてくれた、江藤みのりさん。子猫ちゃん、こちら、僕の幼馴染みで親友の、観音坂独歩くんだ」
「ど、どうも、私、こういうものです…」
いつもの癖で名刺を差し出すと、彼女は慌てて
『あ!す、すみません!ご丁寧にどうも…!すみません、私は名刺を持っておらず…』
困り顔で言う江藤さんに、女性にはこんな人もいるのか、と、不思議な気持ちになった
「というか一二三、お前…」
女性恐怖症だろ、ということを、目で訴えると、一二三はにっこりと笑って
「どうしても独歩くんと子猫ちゃんを会わせたかったんだ」
と言った
「は…?」
困惑する俺に、江藤さんは、少し顔を赤くしていたのを、俺は気付かなかった
「すみません、一二三のやつが…」
と言うと、江藤さんは、笑顔で
『いいえ、とんでもありません。観音坂さんは、とても優しい方なんですね』
と笑った
「は…?」
『あ、いえ、いきなりすみません…』
「あ、いえ…」
二人揃って謝っていると、彼女は困り顔で
『なんだか親近感沸いちゃいます』
と言った
「親近感…?」
ときょとんとした俺をよそに、一二三は
「おっと、後は若い二人でやってくれ」
「は!?ちょ、一二三!?」
「すまない独歩くん、僕ももうそろそろ…」
「…っ、わかった、お前は帰れ」
「すまない、後は楽しんでくれ!」
というと、一二三は星を飛ばして去って行った
「…はぁ」
『お、お疲れ様です…』
「え?あ、ありがとうございます…」
はじめて言われた言葉に驚いた
『…でも、伊弉冉さんと話しているときの観音坂さん、とっても素敵ですよ』
と笑う彼女に、俺はあっけにとられた
は?素敵?
こんな三十路手前のおっさんがか?
「…あ、あぁ、お世辞か」
『お世辞じゃないですよ』
と笑う彼女
『きっと、伊弉冉さんといるときの観音坂さんが素なんでしょうね』
「…まぁ、小学校からの付き合いなので…」
『ふふ、そういうの羨ましいです』
「…江藤さんには、いないんてすか?そういう人」
『…いない、です』
彼女の表情が固くなった
しまった、と思ったときには遅く、彼女はこちらをみて困ったように笑った
『…大切にしてくださいね』
何を、とは、いうまでもない
一二三のことだ
でもなんだか、悲しそうだった
「…あの、このあと、お時間ありますか」
『え…?』
きょとんとする彼女
「その…一二三のことを助けてくださったお礼、させて、ください」
俺が緊張しながら言うと、彼女は花が咲くように笑った
『…!はい!』
色付く
(君と出会うことで、色付き始める)
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