知力と糖分の関連性とは
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ナッティは頭が良い。
そう言えば大抵の人は怪訝そうな顔をする。まぁ確かに、オレだって何も知らなければ目の前でコンビニのドーナツを貪る少年が主席保持者だと見抜けはしないだろう。そもそも見た目だけでなく、身分からして秀才とは程遠い。何せ……ナッティも中等部三年生だが、本人の言うように実は二回目である。要するに原級留年。私立校とはいえ
「僕、才能に胡坐をかく天才って、どうかと思います」
「スニフそのドス黒いオーラをしまえ」
カチカチカチカチカチ、と妙な機械音が聞こえると思ったらスニフの手元でシャーペンの芯がひたすら伸ばされていた。やがて問題集に到達したか細い炭がバキリと折れる。何が怖いって、やってる本人が特に声も荒げず落ち着いた無表情なところである。真性にみえるから早急にやめて欲しい。
「納得いかないです!別に首席が欲しいわけじゃないです、自分より勉強してる人が居たって普通だと思いますでも授業中にゲームして将来の夢に『チョコレートと結婚する』って書くナッティに負けるのは納得いかないんです!!」
「その……将来の夢については良いのか?」
「そっとしといた方が良いと思う俺は」
「なァにー?」
慟哭するスニフを横目に、そっと隣へ尋ねていれば当事者が耳ざとく語尾を跳ね上げた。その手には数個目のドーナツと口に食べ滓。ナッティはそのあどけない顔を上げオレ達を見やり、傍らの眼鏡少年を見やり、そしてその手元で広げられた問題集と折り散らかされたシャープペンシルの可哀相な替え芯、当のスニッフルズの何とも言えない渋い顔を見て、邪気の無いまま快活に言う。
「すにふソレ解けないのー?ナッティがおしえてあげよッカ?」
ばきッ、と、とうとう筆記用具本体が折れた。
哀れなシャープペンシルは軸を真っ二つに、プラスチックの欠片が散る。怪我してないだろうな。
「いらないです!自分の勉強してください!」
「だってナッティ去年もやったんだもーんッ、ツマンナイッ」
「落第してるくせに!」
「ラクダイじゃないよッ留年だよーッ」
補足するがナッティは善意100%である。そしてスニフの握力は平均を割っている。火事場の馬鹿力というべきか、腹立ちまぎれの恐ろしさというか。「あれ、煽ってんじゃなくて素なのが凄いよな」と、隣でトゥーシーが囁くのだが、これは寧ろ、性質が悪いと評するべきだろう。
純真も無垢も裸足で逃げ出すあどけなさで、ナッティはこてんと首を傾げる。
「ナッティせっかくスニフとおんなじクラスになれたのに……なんで怒るの……?」
「うっ、ぐぅ……!」
一方の、その年下の友人は途端に苦虫を噛み砕いて挙句に磨り潰して嚥下したような顔で喉を鳴らす。
何だかんだで、仲良しなのである。
成績云々はともかくとして、ナッティの進級が叶わなかった時、スニッフルズがなんと声をかけるべきかと悩んでいたのを、同じ寮生のオレはよく知っている。……まぁ当の本人が異様なまでに気に留めていなかったのでその心配は丸っきり無用になったのだが。
天板にのった筆記用具だったものをトゥーシーが横からすいっと取り上げた。ゴミ箱代わりのレジ袋に放られるそれを少し冷静さを取り戻してきたスニフはぼうっと見ていたが、それが##RUBY#元#・##ドーナツ入りだったことに気付きはっと覚醒して叫ぶ。
「ていうかドーナツ食べ過ぎです何で誰も止めないんですか!!」
「だってスニフが止めると思ったから……、なぁイチ」
「ナッティまだむっつしか食べてナイもーんッ」
「「六つ!?」」
「…………まぁ、」
被告を除いた2人が声を揃えて悲鳴をあげるのを聞きながら。
確かに、結果オーライだったのかもな。と、オレは『同級生』に締め上げられながらどこか楽しそうな首席生を眺め、呟いた。
…………ところで、テスト勉強はしなくても良いのだろうか?
【続く、かもしれないし続かないかもしれない】
2/2ページ