ポッキーゲームとは(元拍手十一月)
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【PM 4:35】
放課後、生徒会の仕事の一環として校内を見回っていたフリッピーは、とある教室を覗くなり後輩たちの姿を見とめ、そして呆然と立ち竦んだ。
「…………えっと、何してるの?」
「「ポッキーゲーム」」
相変わらずどっちがどっちなのか判別のつかない双子がユニゾンで答えたのは良いとして、彼らの目の前にあるのは、コンビニのレジ袋いっぱいに詰められた件の菓子の空き箱。そして、
「ぽ、ポッキーゲームって、こんなのだっけ?」
机の上に高々と櫓の様に積み上がった棒状のチョコ菓子。
細いものから恐らくはイチゴチョコでコーティングされたピンク色のもの、時には最後までチョコたっぷりのあれまで入り混じって最早芸術的にも見えるその塔は、終業時間からすぐさま作り始めたのかかなりの高さを誇っていた。
具体的に述べるならばそう、今現在タワーを増築中の人物が、小柄とは言え椅子に登って腕を伸ばしてやっと天辺に資材を置けるくらいの。
「リフティ、ちょっと、揺れてる」
「まっ、マジかよ!耐えろ!」「お前が揺らすのやめろ馬鹿弟!」
「い、イチちゃんまで……」
御丁寧にも上履きを脱ぎ、椅子に乗っているのは双子と同じくらいフリッピーと親しい後輩。あるいは彼女はもう一人の人格とも……『本人』は認めないだろうが懇意にしているらしいのでシフティ達よりも気安いかもしれない。
後輩、イチはよほど真剣にタワー建造に取り組んでいるのか、その時初めて気付いたように、「あれ、フリッピー」と声をあげた。
「ねえ、僕ポッキーゲームって、あの、……生徒会長がやりたがってたゲームみたいなののことだと思ってたんだけど」
「……英雄が何をしたがってたのかは置いといて、まぁ確かに世間一般的にはこうじゃないと思う」
女の子が、制服とは言えスカートで高台に上るのはどうなんだろう、とこの局面で天然な疑問をぼんやりと浮かび上がらせながらフリッピーは返答を待つ。
尤も、この後輩の場合、女子高生にしては長すぎるくらいのスカートの下に、年中黒タイツを、下手をすればジャージを履いたりしているので色めいた心配とはそもそも無縁なのだが。因みに本日はタイツの方。
やがて、少女は『ポッキーゲーム』に向き直り、不必要なまでにきりりとした顔つきで言い放つ。
「でもオレは今最近で一番集中してる」
その手つきは慎重そのもので。
いつもどこかぼんやりとした伏目がちの黒い瞳は精悍にチョコ菓子を見つめていた。
……何が彼女をこうさせたのか。
一瞬、遠い目をしかけたフリッピーだったが、この後輩はそういえばこの前は携帯アプリのテトリスに妙な固執をしていた気がする。成る程一度嵌るととことん極めるタイプなのだろうか。
「つーか、バ会長まじウケんだけど!」
「ぼっちにその遊びはできねぇっつーの!」
彼女の足元で椅子を支えながら、そして淡々とポッキーを手渡しながら。
双子が今更のように爆笑するのを聞きつつ、
「怪我だけはしないようにね」、とだけ言い置いて、人手の足りない生徒会を支える庶務は、悄然と教室を後にするのだった。
(※ポッキーはこの後スタッフ(イチ)が責任を持って間配りました。)
【end】
『ポッキーゲーム』=シフティが思いついてリフティが用意してイチがド嵌りした結果
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