決意
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次に来るときは朝飯を持って来い、と二度寝した双子の家を出て、あてもなく辺りをぶらつく。
街外れなだけに誰もいない。
だらだらと、それでも昨日とは少し変化した心持ちで歩いていれば、ふと目の前に影が落ちた。
そして次の瞬間、空が落ちてきたのかと錯覚する。それくらい頭上の晴天に似た青の髪を揺らしながら、スプレンディドが舞い降りてきた。
「……英雄?」
「うん、イチくん──だね!」
自称ヒーローはいきなりやって来たかと思えば人の顔を眺めてそんなことを言う。
「何か用?」
「そういうわけでもないのだけれど、偶然上から君の姿が見えたものだからね!」
ならもっと木陰でも歩けばよかった。
「今日はフリッピーのこと見てなくていいの?フリッピーに頼まれてるんでしょ?」
「…………さすがの僕でも一瞬何のことか分からなかったよ」
……ああ、呼び方の事か。そういえば本人からもクレームが来ているのだった。でも仕方ないじゃないか、金目のフリッピーは自分の名前がフリッピーだと教えてくれたし、オレが緑目のフリッピーを隊長と呼ぶわけにはいかないし。
説明するべきかと顔を上げるが、スプレンディドは相変わらずの独壇場で、勝手に話を進めている。
「昨日と違って二人一緒に居るみたいだからね!僕は本来の役目に甘んじているところだよ!」
「へぇ……」
つまりはいつものように街を見守っている(つもり)らしい。
フリッピー……そういえばオレは結局、彼らが何で口を利くいてくれなかったのかを知らない。二人に分かれてからは、緑の目のフリッピーとは普通に会話したのだけど。
今のオレは零のことしか考えられないけど、また前のように話してくれるようになるだろうか。
そんなことを考えていれば、いつの間にかスプレンディドがこちらを注視していた。
さっきといい、今といい、今日はよく人の顔を見てくる。……もしかして頬っぺたがまだ赤いのか。
手を宛がおうとしていると、独り言のような呟きが降った。
「フリッピーくん達を見てもそう思うけど──やはり似ていないね」
その声を聞いて、
「──零に会ったの!?」
その意味を一瞬で理解する。
英雄に会ったって、それは零が悲鳴をあげるような事があったということか?それとも……いやそうでなくてもスプレンディドと行き会えば死亡率が上がるのに。
しかも零は、人を殺してる。
その正義感の当たり判定は未だによく分からないが、もしも英雄がそれを咎めたとしたら……、
さぁあと自分の血の気が引くのが分かった。
「英雄、まさか零に何か……っ」
思わず駆け寄って、その青い服を掴んだ。
「お、落ち着いてイチくんっ!」
叫び声にはっと手を離す。すると今度はその手が英雄に掴まれた。
「どうかしたのかい?らしくないね、大丈夫だよ」
その言葉に不覚にも肩の力が抜けた。
「覚醒くんと公園で遊んでいたときに、偶然一緒になってね!しばらく話しただけなのだけれど」
覚醒くんと遊ぶという、恐らくはフリッピー側とは異なる主張は置いといて、どうやら零はなんともないらしい。
そう結論付けると本格的に安堵してしまい、むしろ力加減の効いてない手が痛い。
声を荒げたオレが衝撃だったのか、英雄にしては珍しくバツが悪そうに一拍黙った。そして、
「そんなに取り乱すなんて、イチくんにとってあの子はよっぽど大切な存在なんだね」
オレにとって、零が、大切な存在。
オレの中では自明だったそれを他人の口から聞くのは初めてで、その言葉は妙にすとんと心に落ちた。
「じゃあ僕は失礼するよ!ヒーローは忙しいからね!」
さっと痛みが引いたかと思えばオレの両手は自由になっていた。
慌てて顔を上げれば、そこには赤いマントを翻し空へ向かおうとする姿があった。その背中はまるで本物の、映画に出てきたヒーローのようで、オレは戸惑う。
「す、」
そして戸惑いながらも口を開いた。
思えば初対面のときに聞いていながら、面と向かって呼ぶのはこれが初めてかもしれない。
声が届かないところに行ってしまう前に。
オレは手を伸ばすようにその名前を呼んだ。
「スプレンディド!」
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次に来るときは朝飯を持って来い、と二度寝した双子の家を出て、あてもなく辺りをぶらつく。
街外れなだけに誰もいない。
だらだらと、それでも昨日とは少し変化した心持ちで歩いていれば、ふと目の前に影が落ちた。
そして次の瞬間、空が落ちてきたのかと錯覚する。それくらい頭上の晴天に似た青の髪を揺らしながら、スプレンディドが舞い降りてきた。
「……英雄?」
「うん、イチくん──だね!」
自称ヒーローはいきなりやって来たかと思えば人の顔を眺めてそんなことを言う。
「何か用?」
「そういうわけでもないのだけれど、偶然上から君の姿が見えたものだからね!」
ならもっと木陰でも歩けばよかった。
「今日はフリッピーのこと見てなくていいの?フリッピーに頼まれてるんでしょ?」
「…………さすがの僕でも一瞬何のことか分からなかったよ」
……ああ、呼び方の事か。そういえば本人からもクレームが来ているのだった。でも仕方ないじゃないか、金目のフリッピーは自分の名前がフリッピーだと教えてくれたし、オレが緑目のフリッピーを隊長と呼ぶわけにはいかないし。
説明するべきかと顔を上げるが、スプレンディドは相変わらずの独壇場で、勝手に話を進めている。
「昨日と違って二人一緒に居るみたいだからね!僕は本来の役目に甘んじているところだよ!」
「へぇ……」
つまりはいつものように街を見守っている(つもり)らしい。
フリッピー……そういえばオレは結局、彼らが何で口を利くいてくれなかったのかを知らない。二人に分かれてからは、緑の目のフリッピーとは普通に会話したのだけど。
今のオレは零のことしか考えられないけど、また前のように話してくれるようになるだろうか。
そんなことを考えていれば、いつの間にかスプレンディドがこちらを注視していた。
さっきといい、今といい、今日はよく人の顔を見てくる。……もしかして頬っぺたがまだ赤いのか。
手を宛がおうとしていると、独り言のような呟きが降った。
「フリッピーくん達を見てもそう思うけど──やはり似ていないね」
その声を聞いて、
「──零に会ったの!?」
その意味を一瞬で理解する。
英雄に会ったって、それは零が悲鳴をあげるような事があったということか?それとも……いやそうでなくてもスプレンディドと行き会えば死亡率が上がるのに。
しかも零は、人を殺してる。
その正義感の当たり判定は未だによく分からないが、もしも英雄がそれを咎めたとしたら……、
さぁあと自分の血の気が引くのが分かった。
「英雄、まさか零に何か……っ」
思わず駆け寄って、その青い服を掴んだ。
「お、落ち着いてイチくんっ!」
叫び声にはっと手を離す。すると今度はその手が英雄に掴まれた。
「どうかしたのかい?らしくないね、大丈夫だよ」
その言葉に不覚にも肩の力が抜けた。
「覚醒くんと公園で遊んでいたときに、偶然一緒になってね!しばらく話しただけなのだけれど」
覚醒くんと遊ぶという、恐らくはフリッピー側とは異なる主張は置いといて、どうやら零はなんともないらしい。
そう結論付けると本格的に安堵してしまい、むしろ力加減の効いてない手が痛い。
声を荒げたオレが衝撃だったのか、英雄にしては珍しくバツが悪そうに一拍黙った。そして、
「そんなに取り乱すなんて、イチくんにとってあの子はよっぽど大切な存在なんだね」
オレにとって、零が、大切な存在。
オレの中では自明だったそれを他人の口から聞くのは初めてで、その言葉は妙にすとんと心に落ちた。
「じゃあ僕は失礼するよ!ヒーローは忙しいからね!」
さっと痛みが引いたかと思えばオレの両手は自由になっていた。
慌てて顔を上げれば、そこには赤いマントを翻し空へ向かおうとする姿があった。その背中はまるで本物の、映画に出てきたヒーローのようで、オレは戸惑う。
「す、」
そして戸惑いながらも口を開いた。
思えば初対面のときに聞いていながら、面と向かって呼ぶのはこれが初めてかもしれない。
声が届かないところに行ってしまう前に。
オレは手を伸ばすようにその名前を呼んだ。
「スプレンディド!」
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