決意
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「えっと、あの、な」
通してもらった、というか、引きずり込まれたリビングは、予想に反して割りとすっきりしたものだった。人の家に物がないモノがないといつも不足を漏らすものだからてっきり雑多な家なのだとばかり思っていたのに。
まあ、それにしたってソファやらなんやら、我が家よりはリビングらしいことに違いはないのだが。
リフティに叫びながら家の中へ連れ込まれた後、同じく寝ていたらしいシフティも起きてきた。リフティのパジャマの皴はやっぱりシフティの仕業らしい。というか一緒に寝てるのか?
オレは二人が揃うのを待ってから頭を下げた。
「ごめん。……ごめんなさい」
そういえば前にこれと似たようなことされたなあ、と思い出す。
「昨日、シフティとリフティが、死んだの……オレのせい、みたいなものだから」
直接関わったわけでなくとも、オレの身の振り方で二人が死ぬのを防げたはずなのだ。
死ぬことなんて茶飯事のこの街で、それがどうしたと言われそうな事ではあるが、双子にまた来て欲しいといったのはオレだ。二人を殺したのは、零だ。結局、零のやった事をオレは否定なんて出来ないのだ。なのに、それなのにいつの間にか我儘になっていたオレは一方で
……それに、零とオレは同じ容姿なのだから、双子からすれば益々オレに殺されたようなものだろう。
返事は返ってこないかもしれないと思っていた。
あっそ、と流されるか、もしくは笑われるか、そんなものだろうと。
でもその予想はあっさり外れる。
「おっまえさぁ!」
と、いきなり双子の片割れが叫ぶ声と共に、別の方向から手が伸びた。
「え、──ぶっ?」
それなりの衝撃と共に、オレの顔に押し付けられたのは、いつも片方が被っている帽子。ずり落ちてくるそれを受け止め、怪訝に思って見つめていれば、不意に両側から頬を抓ままれる。
「いひゃい」
「よぉイチ」
「今お前の右頬抓ってんのはどっちかわかるか?」
「左つねってんのは?」
左右ステレオで問いかけられて、確かに今双子は全く同じパジャマで、帽子なんて勿論被ってないし、見た目の違いは殆どない、けど、
「みぎがしふてぃでひだりがりふてぃ」
オレは即答する。
口が動かしにくいせいで発音がかなり危ういが。
すると正解だったのか頬を挟んだ四本の指が離れていく。
何事だったのかと顔をさすりながら見上げれば、リフティが何故か拗ねた様に喚いた。
「俺ら殺したのお前じゃなかったじゃんか!」
同じくシフティが追従した。
「お前が謝ってんじゃねーよ馬鹿」
ったく朝からナニゴトだっつーの!ウケねえわ!順にそう言うが何事というか大事に違いないだろう。
「いやでもオレが、」
「「うっせ!!」」
なけなしの反論は相変わらず息ぴったりのユニゾンで遮られた。
「お前いつも言ってんだろーが、見た目一緒でも違いくらいわかるって」
リフティが言う。
「俺にだって違いくらいわかるっつーの!」
「ハッ、俺じゃなくて俺らだ馬鹿弟」
「だっからバカって言うなクソ兄貴!」
そしてシフティが言う。
「謝る必要ねーのに頭なんか下げてんじゃねーよ踏むぞ」
寸分違わない見た目でオレを見る二人。
でも表情とか、ちょっとした仕草とか、そんなのはバラバラなのに。その違いは、他の人には分からないらしい。
──そう考えると少しだけ愉快な気分になる。
オレが黙ったのが気になったのか、怪訝そうにする双子を見返し、込み上げてきそうな何かの代わりにそっと呟いた。
「……踏まれるのは、いやだな」
それを聞いてシフティとリフティは今日初めて、いつものようににやりと笑うのだった。
「「マジうける!」」
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