INTERVAL
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緑の髪に金の双眸を光らせた青年。
髪も目も鴉の濡羽の如く漆黒の少女。
対峙する二人から等分に距離を取るように、スプレンディドは再びふわりと浮遊する。そしてそれがきっかけだったかのように、フリッピーは口を開いた。
「何だ」
不自然に静かなその口調に、警戒は滲んでいても歩み寄りの響きはない。
しかし少女はその冷淡な言葉にも全く動じず、公園の入り口でじっと立っている。
「別に。歩いてたらたまたまここに着いただけ。自惚れないでくれる」
「てめぇこそ無傷で帰れるなんつった楽観してねぇだろうなあ」
声こそ荒げずに行われる挑発的な応酬に、場の雰囲気は強制的に尖っていく。それぞれの手に凶器を握ったまま、それ以外の見た目は何一つ共有しない二人。軍用ブーツが地面を踏む音と共に、その距離は少しずつ近づいていく。
体力でも腕力でも、武器でさえ全てにおいて劣っている筈の少女は、それでも動かずにただその濁ったままの黒い瞳でもって世界を睨む。
「一度、」
手を伸ばせば、互いに届く。
それだけの距離を挟んで、フリッピーは不意に歩みを止めた。
「家に来たのはてめぇか?」
何故そんな事をわざわざ尋ねたのか、フリッピーには分らなかった。合理的でない問いは碌な結果を呼ばない事など身に染みて知っている癖に。ただいつでも理解不能なあの子供を、その一端を暴いてみたくなったのかもしれない。それは備わった当然の警戒で、そしてらしくもない興味。
そんな問いに、少女は一瞬、僅かに怪訝な顔をする。何事か考えるように思案し、そしてふっと納得したように眉間に皴をつくった。
「あれは私じゃない」
曖昧な質問に対して明確な響きで返ってくる答え。
何の話をしているのか、この二人にだけは分かっている。
夜中にノックもなしに訪れた衝撃。床に落ちたクラッカー。そして意味の通らない糾弾──
「なら、あれはなんだ」
「薬のせいで表面が剥がれて漏れ出した、ただの『感情』の塊?私が喋ってたわけじゃない」
「感情ってのはあのガキのか」
眉根を寄せ、ナイフを玩び言うフリッピーに、少女はクス、と笑う。もう一つの同じ顔なら決して出来ない表情で、いっそ愉悦に浸るように嗤う。
「まさか。そんなわけないでしょ、
「ぁあ?」
つい、と。
前触れもなく侮蔑の言葉を吐いた喉を責めるようにナイフが辿る。
尖って光る切っ先は、皮膚にぎりぎり触れないままに頚動脈へと移動する。
行為の主体たるフリッピーは奇妙にも激昂することなく、ただ静かにその銀色の凶器を見つめている。
「なにが言いたい」
少女は突きつけられた刃を見もしない。まるでそんなものは初めから無いかのように恐れない。ナイフに落とされたままの金色を嘲笑うかのように、殺人鬼に視線を突き立て声を紡ぐ。
「アレには人格なんてないんだから、感情なんてあるわけない」
不自然なまでに頑なな声で少女が言い募る。握りしめた包丁の血糊はとっくに渇き、依然とし て
「なに言ってんのかわかんねぇ」
「なんで?あんたが一番知ってるんじゃないの?」
「なにを」
どこか誤魔化すように濁ってはいるけれど、確かにいつか見た瞳とは違う目。それはつまり、排除するに何の躊躇いも理由もない。
「──そんなに気になるの?」
その筈なのに、続いた言葉があまりにも素直な心からの問いに見え、シリアルキラーは一瞬止まる。
「辞めたんじゃなかったの、関わるの。危険だと思ったんでしょ?怖かったんでしょう?鼻が効くよね」
「……舐めてんのか、誰が、んなガキが怖ェ訳ねぇだろぉが」
それでも一瞬は所詮一瞬に過ぎず、纏う空気はすぐに怒りと殺意に染まり直した。
その手に力が入ったためか、ナイフは僅かに動き、ギラリと凶悪な刃が光る。少女は構わず金の瞳を睨み上げながら包丁を強く握った。
「なら、教えてあげる」
ゆっくりと、焦らすように見せ付けるように小さな唇が動き言葉を形作った──
「私はあんたが死ぬほど嫌いなの」
フリッピーが、零を見た。
少女と青年の視線が交錯する。
次の瞬間、フリッピーはナイフを零は包丁をそれぞれ高く振り上げ──
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