心中
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「何やってんだ……?」
「ラッセルか。あんたも付き合うか?」
道の向こうからやってきて、思わずといったように立ち止まるラッセルに、ハンディは口調だけは軽い調子で問いかける。
「今日はもう仕事は止めなんだ。で、どっか行こうと思ってんだけど」
「あ?ああそうなのか?いや、つーかそうじゃなくてお前さん、」
拗ねたような顔で淡々と話すハンディに、当惑した様子のラッセル。
正確には、この描写はただの想像なのだけど。位置的に、オレは二人の顔が見えていない。というか──
「なんだってそんなもん担いでんだ?それ、イチ、か?」
──地面しか見えていないのだけれど。
「オレだよ」
「ぅお、びっくりした!何やってんだよお前さんら。兄妹喧嘩か?」
「別に兄妹でも喧嘩でもない」
相変わらず、ぶすっと答えるハンディ。
「これから遊びに行くんだよ。遊園地とか動物園とかそういうとこに」
「遊びに行くテンションか、それ」
違うと思う。少なくともオレは。
そもそもそんなこと考えてたなんて初めて聞いた。
……しにたいきぶんだ。
そう言い捨てた後、思わず俯くと途端にがしゃんと嫌な音がした。驚いて顔を上げればハンディが怒ったよう泣きそうなような変な顔で工具箱を肩から放ったところだった。
普段なら物を粗末に扱ったりしない主に、投げ捨てられた仕事道具に目をやっていると、突然ハンディはオレの脇にしゃがみこみ、──そして担ぎ上げられた。さっきまで工具箱が載っていた肩に。それこそ荷物さながらに。
それで今に至る。正直、何が起こっているのか理解しがたい。
「あー、あっと、とりあえずその担ぎ方は頭に血ぃ上っちまうから危ねーぞ」
場の空気にさらに困惑しながらもラッセルが言うと、ハンディは──見えないが恐らく渋々と頷いた。
そもそも、なんで担がれていたのだろう。逃げるとでも思われたのか。それともそんなにオレの歩き方は危うかったのだろうか。
「あの、ハンディ、」
諸々を合わせて訊ねようと口を開いた。
すると今度はいきなり屈まれてがくん、とずり落ちそうになる。慌ててヘルメットにしがみつくと、その下からぼそりと声がした。
「死にたいんだろ」
搾り出すように発せられたのは、ハンディの声。
恐らくは、同じくオレの事情を知っているのだろうラッセルが、ぎくりと身じろいだのが気配で分かった。
「俺の知る限り、この街の娯楽施設から生きて帰ってきた奴はいないぞ」
ラッセルは何も言わない。オレは黄色いヘルメットを見つめながらじっと、ハンディのその拗ねたような声を聞いていた。
「何を抱え込んでんのか知らないし、そりゃお前にしか出来ないこともあるだろうけどな。……なんでもかんでも独りでやらなくていいだろバカ」
俺の仕事を勝手に手伝ったのはお前だろ。
続いたその言葉に、どうしてだかもっと苦しくなって胸が苦しくなって、吐き出したい何かをオレは必死で喉の奥に飲み込んだ。
→
「何やってんだ……?」
「ラッセルか。あんたも付き合うか?」
道の向こうからやってきて、思わずといったように立ち止まるラッセルに、ハンディは口調だけは軽い調子で問いかける。
「今日はもう仕事は止めなんだ。で、どっか行こうと思ってんだけど」
「あ?ああそうなのか?いや、つーかそうじゃなくてお前さん、」
拗ねたような顔で淡々と話すハンディに、当惑した様子のラッセル。
正確には、この描写はただの想像なのだけど。位置的に、オレは二人の顔が見えていない。というか──
「なんだってそんなもん担いでんだ?それ、イチ、か?」
──地面しか見えていないのだけれど。
「オレだよ」
「ぅお、びっくりした!何やってんだよお前さんら。兄妹喧嘩か?」
「別に兄妹でも喧嘩でもない」
相変わらず、ぶすっと答えるハンディ。
「これから遊びに行くんだよ。遊園地とか動物園とかそういうとこに」
「遊びに行くテンションか、それ」
違うと思う。少なくともオレは。
そもそもそんなこと考えてたなんて初めて聞いた。
……しにたいきぶんだ。
そう言い捨てた後、思わず俯くと途端にがしゃんと嫌な音がした。驚いて顔を上げればハンディが怒ったよう泣きそうなような変な顔で工具箱を肩から放ったところだった。
普段なら物を粗末に扱ったりしない主に、投げ捨てられた仕事道具に目をやっていると、突然ハンディはオレの脇にしゃがみこみ、──そして担ぎ上げられた。さっきまで工具箱が載っていた肩に。それこそ荷物さながらに。
それで今に至る。正直、何が起こっているのか理解しがたい。
「あー、あっと、とりあえずその担ぎ方は頭に血ぃ上っちまうから危ねーぞ」
場の空気にさらに困惑しながらもラッセルが言うと、ハンディは──見えないが恐らく渋々と頷いた。
そもそも、なんで担がれていたのだろう。逃げるとでも思われたのか。それともそんなにオレの歩き方は危うかったのだろうか。
「あの、ハンディ、」
諸々を合わせて訊ねようと口を開いた。
すると今度はいきなり屈まれてがくん、とずり落ちそうになる。慌ててヘルメットにしがみつくと、その下からぼそりと声がした。
「死にたいんだろ」
搾り出すように発せられたのは、ハンディの声。
恐らくは、同じくオレの事情を知っているのだろうラッセルが、ぎくりと身じろいだのが気配で分かった。
「俺の知る限り、この街の娯楽施設から生きて帰ってきた奴はいないぞ」
ラッセルは何も言わない。オレは黄色いヘルメットを見つめながらじっと、ハンディのその拗ねたような声を聞いていた。
「何を抱え込んでんのか知らないし、そりゃお前にしか出来ないこともあるだろうけどな。……なんでもかんでも独りでやらなくていいだろバカ」
俺の仕事を勝手に手伝ったのはお前だろ。
続いたその言葉に、どうしてだかもっと苦しくなって胸が苦しくなって、吐き出したい何かをオレは必死で喉の奥に飲み込んだ。
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