IRREGULAR
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「どうしても……」
もういい、どうにも不気味だ殺すか。
そう思って手を腰に伸ばし始めた瞬間、聞こえてきた『ずるい』以外の言葉に、
「全部を敵にまわしても、……世界中で誰より大切な人に嫌われたとしても、それでも、どうしても……守りたいとおもったから…………」
指先が止まった。
それは俺が。
なんで、この子供が、それを言う。
「覚悟はとっくに決めてたのに!」
突然、そいつは叫んだ。矛先は明らかに俺だ。
「嫌われてもいいよ蔑んでもいいよ恨んでもいいよって、だって、そんなのたいしたことじゃない!一番大切な人が守れるなら、どんなに汚れたってかまわない!!」
喉が、渇く。
今更のように気付く。この馬鹿みたいに子供じみた矮躯は
嫌われたってアイツが無事なら俺は。吐露したのはそう、あの二人にだけ。──かちゃり、と胸元に下がる金属片が俺を嘲笑うように鳴る。
「そう思ってたのに!なんで!!」
さっきまで死んでたはずの目には憎しみが篭っている。俺への。フリッピーじゃない、俺への。
フリッピーに向けた敵意なら、この身体に向けられた殺意なら、いくらでも退けるためにこの手は動く。
ナイフが、抜けない。
「なんでアンタばっかり許されるの!ずるい!ずるいっ!!」
思い出すのは、罵倒されていた過去。
──もう殺すなって言ってるだろ!!
そして現在。
──ねえ、起きてる?寝てるの?
「アンタと何が違うっていうの!?」
「殺して殺して殺して勝手に殺して!なんで許されるの!?愛されたままでいられるの!?」
「自分でしたことの結果を確かめることすらできない、なのに、……」
「アンタだけ、アンタばっかり!!」
何の話かは分からない。こいつが俺を憎んでいるということしか、理解が出来ない。なんだ、コレは。
そのうちにもそいつは俺に怒鳴り続けている。
いつの間にか肩に置かれた手。普段なら触れられたことに気付かないなんてありえねぇのに。まして俺なら。
黒い頭は鼻に激突しそうなほど近くで。
そして──
「なんで
──『私』?
「お前、誰だ」
思わず問うとソイツは初めてにやりと、笑った。
たとえ今から世界が終わると聞かされても同じ表情をしてるんだろう、と思った。それくらい執着のねぇ、顔。普段の仏頂面よりも遥かに、あらゆる感情を手放して、湿った眼には何も映らない。この世の一切合財なにも写さずにただ真黒に、
その目は何よりよく知っている……自分を見ているようで、吐き気がする。
ようやく、俺の手はナイフに届いた。
■
「……め、ずらしいね。こっちのフリッピーがオレの家に来るなんて」
相変わらず抑揚のねぇつまんねえ声だが、微かに目を見開いている。
何もかもが昨日と同じ。
だが、違った。
「……帰る」
「えっ?」
見上げる目玉に
──あれは、
昨日のあれは、一体『何』だ?
【end】
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