IRREGULAR
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「なんだてめ、え……?」
例えばの話。
考えたくも無い話、もしソコに居るのがくそったれヒーローだった場合、俺は目潰しを仕掛けたと思う。あいつにナイフは効かねぇからな。つまり逆に言うならそれ以外なら腰に吊るしたナイフを抜いただろうし、万が一あの赤いチビだったら精々笑って怖がらせたかもしれない。双子のコソ泥ならいつものように殺すまでだった。
「クソガキ、何してる」
俯いたまま動かない、その黒い髪は俺の鼻先を擽っている。どういう状況だ。フリッピーは何を──、と、俺は気づいた。
ガキの手にあるものに。手首を握るとあっけなく力が抜け、それは床に落ちた。
俺はつい目で追ってしまう。鼻につく火薬の匂い、そして青い柄のついた、クラッカーを。
「鳴らしたのか?」
昔ならともかく、フリッピーはクラッカーぐらいでは気絶しない。皮肉にも俺の事を受け入れてから、フリッピーはむやみやたらと意識を手放すのを止めた。なのに今、俺はここに居る。それはつまり、鳴ったのがクラッカーだということに、フリッピーは気付く余裕すらなかったって事だ。……フリッピーがこれ に妙な懐柔のされ方をしているのは知って居る。
「どういうつもりだ、ガキ。こいつに何した」
勿論、どういうつもりだろうと殺す。当然だ。理由を聞いたのは、引っかかったからだ。
こいつは前にも無理やり俺を起こした事がある。その時、これは謝った。
『人のトラウマを抉るのは怒られて当然のことだと思うから』
そこまでフリッピーに俺が居る意味を分かっていて、しかも理解しているやつは、意外と居ない。
正体も目的も問うてもはっきりしやがらん子供は、自分が死ぬと解っていてもそれを無視して選りにも寄って俺の方に付き纏う。だがその一方で、──初めのその謝罪以来、どんな事があっても、こいつが原因で俺が起きたことはない。
少し引っかかった。それだけだった。
なのにそれだけの事が、アイツに喋らせる時間を与えてしまった事になり、俺は後悔することになる。
「……い」
「ぁあ?」
ぼそっと呟いた。聞こえない。
掴んだ手首を締め上げれば骨の軋む歪んだ音が鳴る。
やがてガキは頭を上げた。死体みてぇなどろっとした目がとても近い。唇が動くのが妙に遅く見えて、急にその声がはっきり聞こえた。
「ずるい」
ずるい。
それからはもう、
「ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい…………」
壊れたラジオさながらだった。
銃弾の方がまだマシだ。
→
「なんだてめ、え……?」
例えばの話。
考えたくも無い話、もしソコに居るのがくそったれヒーローだった場合、俺は目潰しを仕掛けたと思う。あいつにナイフは効かねぇからな。つまり逆に言うならそれ以外なら腰に吊るしたナイフを抜いただろうし、万が一あの赤いチビだったら精々笑って怖がらせたかもしれない。双子のコソ泥ならいつものように殺すまでだった。
「クソガキ、何してる」
俯いたまま動かない、その黒い髪は俺の鼻先を擽っている。どういう状況だ。フリッピーは何を──、と、俺は気づいた。
ガキの手にあるものに。手首を握るとあっけなく力が抜け、それは床に落ちた。
俺はつい目で追ってしまう。鼻につく火薬の匂い、そして青い柄のついた、クラッカーを。
「鳴らしたのか?」
昔ならともかく、フリッピーはクラッカーぐらいでは気絶しない。皮肉にも俺の事を受け入れてから、フリッピーはむやみやたらと意識を手放すのを止めた。なのに今、俺はここに居る。それはつまり、鳴ったのがクラッカーだということに、フリッピーは気付く余裕すらなかったって事だ。……フリッピーが
「どういうつもりだ、ガキ。こいつに何した」
勿論、どういうつもりだろうと殺す。当然だ。理由を聞いたのは、引っかかったからだ。
こいつは前にも無理やり俺を起こした事がある。その時、これは謝った。
『人のトラウマを抉るのは怒られて当然のことだと思うから』
そこまでフリッピーに俺が居る意味を分かっていて、しかも理解しているやつは、意外と居ない。
正体も目的も問うてもはっきりしやがらん子供は、自分が死ぬと解っていてもそれを無視して選りにも寄って俺の方に付き纏う。だがその一方で、──初めのその謝罪以来、どんな事があっても、こいつが原因で俺が起きたことはない。
少し引っかかった。それだけだった。
なのにそれだけの事が、アイツに喋らせる時間を与えてしまった事になり、俺は後悔することになる。
「……い」
「ぁあ?」
ぼそっと呟いた。聞こえない。
掴んだ手首を締め上げれば骨の軋む歪んだ音が鳴る。
やがてガキは頭を上げた。死体みてぇなどろっとした目がとても近い。唇が動くのが妙に遅く見えて、急にその声がはっきり聞こえた。
「ずるい」
ずるい。
それからはもう、
「ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい…………」
壊れたラジオさながらだった。
銃弾の方がまだマシだ。
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