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「すごく運が悪いと思う」
「俺のじゃねぇぞ、てめぇの運がねぇんだ」
「……どっちでも大して変わらないよ」
今は恐らく昼間の三時頃。
なのに辺りはさっきよりずっと暗かった。正確に言うと、オレたちの周りは薄暗かった。
──轟音の正体は、トラックだった。
今、オレたちがいるのは精々二メートルもない狭い路地だが、その入り口のすぐ脇に立っている電柱に、巨大なトラックが突っ込んだらしい。誰が運転していたのかは見ていない。
そして巨大なトラックらしい巨大なコンテナは特攻の衝撃で形が歪み、縦に二倍ほどに伸びていて、それはちょうど路地の入り口に沿うような形でぴたっとくっついており、……要するにこの狭い空間を完璧に塞いでいた。
路地の上側は、さっき確かめたように屋根と屋根が手を取り合って蓋をされている状態だ。奥にはまた別の建物があり、行き止まり。
……やっぱりすごく運が悪いと思う。
勿論、脱出は試みた。
まず隙間から出られないかやってみたのだが、トラックのタイヤが外れて地面との間がぴっちり塞がれている。最悪だ。
次にフリッピーが、手榴弾を取り出したのだが、ふと考え込んで、結局やめた。どうして爆破しないのか聞いてみると、
「ここでトラックの運転してるヤツってぇと、まず間違いなくウスノロ野郎かコソ泥の双子だ。荷台に何が詰まってるかなンざ考えたくもねぇ。ヘタすると街一つぶっ飛ぶだけじゃすまねぇぞ」
とても説得力のある話だ。ありがたくないことに。
あんまり辺りが暗いので、その上路地も良い加減狭いので。もう少し側に寄ろうと動けば牽制する様にニ本目のナイフが抜かれた。
その場から少しでも動こうとすれば、ざり、と地面を擦る音がするので恐らくこれ以上は近寄ってはいけないのだろう。先に地面に座り込んで、腿まで地べたに着けて力を抜けば、暫くの様子を伺うような気配の後フリッピーも雑な動作でコンクリートに腰掛ける。
「どうしよう」
「知るか」
「まぁでも何とかして出ないと駄目だよな」
「知るか」
「……フリッピー、どうしてフリッピーの振りしてるの?」
「知るか」
「コンタクトレンズって初めて見たな」
「知るか」
「ついでに名前も教えてよ」
「知るか」
果たして話を聞いているのかは定かではないが案外律儀に返事を寄越す。フリッピーがどうしているのかは分からない。どうも太陽までもが隠れたらしく、先程よりも遥かに視界が利かない。
「今日はやっぱり人を殺したら駄目な日なのか?──ほしくないけど」
尋ねて、ついでに先んじて否定すれば「知るか」と定例の返事がかえる。まぁ恐らく、駄目な日なのだろう。そうでも無ければここに来てオレが無傷な説明がつかない。そして知る限り、この金色を従わせる事が出来るのは世界で一人だけだ。
不意に日が射して、いつもは
「この間フリッピーと喋った」
最近覚えたばかりの“焦燥感”が、チリチリと脳味噌を焼く。だってこの人はこんなにもあの緑の人に尽くしているのに
「昔の話を教えてくれたよ」
「…………──知ってる」
俄かに変化した返答に、驚いて黙れば独り言のような言葉が続く。
「ンな事べらべら喋り散らさねぇんだよ
「……そう、そう言ってたフリッピーも」
「なんなんだお前」
そんな事を、言われても。
視線が合っているのだからきっと、オレがその瞳を見つめている様にあちらかもオレの眼が見えているのだろう。それでもその金色は、幾分もしない内にふいっとその目を逸らしてしまう。何か幽霊でも見てしまったような顔で。
「──なぁ仲良し小良しがしてぇんなら
「フリ、」
思いも掛けず静かな声で呟いたかと思えば次の瞬間、いつのまに近づいて来たのか反駁しようとした声は物理的に止められる。
「よくよく考えれば別に殺さなきゃぁいいんじゃねぇか。死なねぇ程度に甚振ってやるよ、なぁ?……このクソガキが」
そうしてオレの喉に指を食い込ませながら、恐ろしく低い声で軍服の男は囁いた。
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