順応
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──よく知ってるんだね。
言われて初めて気がついた。なんでオレはこんなことを知ってるんだ。
ここに来てからテレビを見たしラジオも聞いたけど、そんなことを言っていた覚えはない。
じゃあ何で?──最初から知ってたからだ。
でも相変わらず、オレの記憶は何も戻ってなどいない。
たまに、たとえばあの金色を見たときとか、頭の奥の方、白く靄がかった何かが揺れる ような気はする。それでもそれは気のせいといわれればそれで済むくらいの話だ。
フレイキーの言う、たくさん色んな事……でもなんでそんなことをオレ は知っているんだ?
「イチ?」
「うん」
「イチ、大丈夫……?」
「うん。うん、ごめん。思い出せない……あ」
言ってしまってから謝るところではなかったと気づいた。
「イチ、ごめっ、ごめんね、変なこと言って!」
案の定フレイキーが気にしてしまった。
「フレイキーは何も悪いことしてないよ」
「でも、でもボク余計なこと言った!」
「ふれ」
「ごめんね!あのね、ランピーが言ってたの、焦らせるのが一番いけないって!」
小さな頭を揺らして力説するので髪がほつれないように手に力を込めた。
そんなことにも気づかないようで、フレイキーは必死に喋っている。
「む、無理させたらだめって!違うのイチ、あのね思い出せなくていいんだよ!──そう、思い出せなくても変じゃないんだよ!」
「……変」
「あのね、忘れちゃっても、それとは別に覚えてる事があったりして、そゆのは、えっと、む、むい?」
「無意識?」
「そうそれっ!忘れちゃっても、知ってることは覚えてるんだよ。これはね、フリッピーが言ってたの」
フリッピー……
じゃあ、普段のフリッピーと金目のフリッピーは知識を共有してる、という事だろうか。
「ぁうう、だか、だから、イチは……えと、えっと、あれ、ボク何が言いたかったんだっけ?」
ふと視線を戻すとフレイキーはやや頭を傾かせて思案している。どうやら興奮しすぎて行き先を見失ったらしい。
瞳を涙を浮かべて振り向きざまに見上げてくるフレイキーを見て、オレは『可愛い』とは少し別の気持ちになる……だってフレイキーがこんなにも声を上げてくれているのは全部オレを助けるためだから。
それは、何か、とても、安心をさせられてしまうような。
「あうっ、イチ?」
「なんでもないよ」
オレは開いてる手をいつも着てるパーカーの襟首に伸ばすと、フードの紐を思い切り引っ張って取り出した。
その黒い紐を赤い髪にぐるぐる巻きつける。縛って、蝶々結びにしてみると、案外うまくいった。オレの手先はどうやら器用な方らしい。
「あ、あれ?どうなったの?」
「似合ってるよフレイキー」
あ、鏡は持ってない。
自分がどうなっているのか見えないので不安なのかフレイキーはまたしてもわたわたしている。
その頭では一本結び、ポニーテールが揺れていた。街のポスターで笑うタレントの女の子を真似てみたのだが、首の辺りもすっきりしたし髪質のおかげでボリュームがあって可愛いと思う。
「むぅうー」
が、本人は完成形が見られないのが不満らしい。頭に手をやろうとするのでそれは掴んで止めさせておいた。
「……このまま誰かに見せにいこうか。鏡も借りられる」
オレがそう言うと阻止したままだった手のひらがきゅっと握られたので了承の証だと思い、二人で一緒に歩き出した。
手を繋いだまま歩くなんて、あんまりしたこと無いけど、少し新鮮で面白い、かもしれない。
「……イチはきっと、かしこくって物知りなんだね」
「そうかな」
「そうだよ!」
【end】
初死にから暫くしたころ
──よく知ってるんだね。
言われて初めて気がついた。なんでオレはこんなことを知ってるんだ。
ここに来てからテレビを見たしラジオも聞いたけど、そんなことを言っていた覚えはない。
じゃあ何で?──最初から知ってたからだ。
でも相変わらず、オレの記憶は何も戻ってなどいない。
たまに、たとえばあの金色を見たときとか、頭の奥の方、白く靄がかった何かが
フレイキーの言う、たくさん色んな事……でもなんでそんなことを
「イチ?」
「うん」
「イチ、大丈夫……?」
「うん。うん、ごめん。思い出せない……あ」
言ってしまってから謝るところではなかったと気づいた。
「イチ、ごめっ、ごめんね、変なこと言って!」
案の定フレイキーが気にしてしまった。
「フレイキーは何も悪いことしてないよ」
「でも、でもボク余計なこと言った!」
「ふれ」
「ごめんね!あのね、ランピーが言ってたの、焦らせるのが一番いけないって!」
小さな頭を揺らして力説するので髪がほつれないように手に力を込めた。
そんなことにも気づかないようで、フレイキーは必死に喋っている。
「む、無理させたらだめって!違うのイチ、あのね思い出せなくていいんだよ!──そう、思い出せなくても変じゃないんだよ!」
「……変」
「あのね、忘れちゃっても、それとは別に覚えてる事があったりして、そゆのは、えっと、む、むい?」
「無意識?」
「そうそれっ!忘れちゃっても、知ってることは覚えてるんだよ。これはね、フリッピーが言ってたの」
フリッピー……
じゃあ、普段のフリッピーと金目のフリッピーは知識を共有してる、という事だろうか。
「ぁうう、だか、だから、イチは……えと、えっと、あれ、ボク何が言いたかったんだっけ?」
ふと視線を戻すとフレイキーはやや頭を傾かせて思案している。どうやら興奮しすぎて行き先を見失ったらしい。
瞳を涙を浮かべて振り向きざまに見上げてくるフレイキーを見て、オレは『可愛い』とは少し別の気持ちになる……だってフレイキーがこんなにも声を上げてくれているのは全部オレを助けるためだから。
それは、何か、とても、安心をさせられてしまうような。
「あうっ、イチ?」
「なんでもないよ」
オレは開いてる手をいつも着てるパーカーの襟首に伸ばすと、フードの紐を思い切り引っ張って取り出した。
その黒い紐を赤い髪にぐるぐる巻きつける。縛って、蝶々結びにしてみると、案外うまくいった。オレの手先はどうやら器用な方らしい。
「あ、あれ?どうなったの?」
「似合ってるよフレイキー」
あ、鏡は持ってない。
自分がどうなっているのか見えないので不安なのかフレイキーはまたしてもわたわたしている。
その頭では一本結び、ポニーテールが揺れていた。街のポスターで笑うタレントの女の子を真似てみたのだが、首の辺りもすっきりしたし髪質のおかげでボリュームがあって可愛いと思う。
「むぅうー」
が、本人は完成形が見られないのが不満らしい。頭に手をやろうとするのでそれは掴んで止めさせておいた。
「……このまま誰かに見せにいこうか。鏡も借りられる」
オレがそう言うと阻止したままだった手のひらがきゅっと握られたので了承の証だと思い、二人で一緒に歩き出した。
手を繋いだまま歩くなんて、あんまりしたこと無いけど、少し新鮮で面白い、かもしれない。
「……イチはきっと、かしこくって物知りなんだね」
「そうかな」
「そうだよ!」
【end】
初死にから暫くしたころ
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