ミンサガ・デス神夢小説
「ただただ心の底から願うこと、それは」
冥府の最奥。今日もお一人でかの神は粛々と己に課せられた仕事をこなしていく。
死者たちの魂の行く末を見定め、今一度、マルディアスの大地へと還していく。
「ああ、デス様……今日も素敵……」
そして私は今日もそのお姿(後ろ)をうっとりしながら眺めてしまう。生前、どれだけ偉かろうか貧しかろうが関係なく、ただ死した魂の善悪を見極めるその高潔な黒い眼窩は、私が今まで見てきたもので一番美しく——
「——おい、新入り」
しかし私の妄想は背後からの鋭い一声で霧散した。うう、わかってる。私はほんの少しの温情でここにいられるのだという事実。
「……えーと、ユリウス様。本日も大変ご機嫌麗しゅ」
私がギギギ、と音がしそうなレベルでゆっくりと笑顔で振り向くと、そこにはこめかみに青筋を立てながら笑顔を向ける冥府の大法官にして私の現上司・ユリウス様がいた。
「能書きは良いからさっさと机に戻って書類整理に戻らんか新入り」
今日も盛大にブチ切れていらっしゃる。まあそうですよね。部下が仕事ほっぽって更に上の上司に現を抜かしていたらまあそりゃそうなりますよね。でもデス様パワーチャージしないと正直やってられないんですよこの仕事。
「承知いたしました……チッ」
「……今日のお前の書類は倍にするかのー」
「アアアアアアアすみませんすみません!反省していますので許してください!!!!」
「全く……デス様のことを思うのであれば、真面目に仕事をするべきだぞ」
「ハイ……」
ユリウス様の言い分はごもっともすぎて胸が痛い。
けれど、私は別にデス様に振り向いてほしいわけではないのだ。ただ、真面目すぎるほど真面目に死者と向き合う優しき死の神様の、その荷物をほんの少し持ちたかったのだ。——それがたとえ、私のエゴだったとしても。
「ただただ心の底から願うこと、それは」
薔薇色の日々(創作お題bot)
@theme_lovelessより