ロマサガ・ミンサガ

【ミンサガ】愛の女神、マルディアスへ行く【アムト神】

 シリルお兄様は迷いの森の大木になり、エリスお姉様は銀色の狼となり、ウコムお兄様には三人の美しい娘がいる。そして、私たちの父であるエロールお父様は自ら造りし人間に身をやつしてマルディアス中を旅している。

「……みんなずるいわ。そう思わないのお母様。お母様はずっとここにいるんでしょう? 地上に出ようとは思わなかったの?」

 今夜は銀の月の夜。エリス姉様の日だからと私はお母さまがいらっしゃる砂漠の地下神殿へと遊びに来ていた。私のぼやきにお母さまはくすくす笑っている。私は真剣なのに。

「ここには私の子が住んでいるから、出ようとは思わなかったわ。それに、あの人が逐一教えてくれるんだもの」
「……ねぇ、私が地上にいきたいって言ったらどうするの?」

 まさかお父様がマルディアスを旅しているのはそういう理由なのかしら……と一瞬勘ぐってしまったが、私はぶんぶんと首を振ると私は本題を切り出した。お母さまは驚いたみたいで目を丸くしたが、すぐにいつもの優しい顔に戻っていた。

「あなたの好きなようにすればいいわ」
「だって、私も地上にいったらお母様だけ除け者みたいで」
「いったでしょう。動けない私の代わりに、あの人が地上の様子を教えてくれると。だから私のことは気にせず自由にやりなさい。あなたの思ったように」
「……じゃあ、私、行ってきます!」
「気を付けてね。あの人に会ったらよろしく」
「はぁーい!」

こうして私、エロールの末の娘・赤い月の女神アムトはマルディアスの大地へ降り立つことになった。



 私がマルディアスに行きたかったのは、父や兄や姉への羨望もあるが、もう一つ理由があった。それは、神殿を通して届けられるたくさんの人間たちの願いだ。
 その多くは、好いた相手と一生を共にしたいというものだ。また、私の神殿では私にあやかって結婚式というものをやるらしい。しかし人間とは不思議なもので互いに愛していたと思えばいつの間にかいがみ合い、別れてしまう。何故だろう。私はそれが気になって仕方がなかった。
 私はこの世の全てのものを愛している。だが、人間はそうではないようだ。父や兄姉のように、人の世に紛れてみればわかるのだろうか。私は知りたかったのだ。人の愛と私の愛の違いを。

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