サガフロ
きっと言葉なんていらない
人間のリージョンはうるさくて敵わない。特にこのクーロンというリージョンは顕著だった。街の中は鮮やかすぎる色で溢れ、ひっきりなしに音が、声がけたたましく響き、人間と機械とモンスターがどこでもいる。この街は静寂という言葉を忘れているのだろう。
あまりにも煩すぎて宿を後にし、人の気配のしない方へと足を運んだ。やっと落ち着ける、と思った矢先のこと。降りていた階段の中央で挟み込むように人間がやってくる。……全く、本当に人間とは愚かな存在だ。
「なあ兄ちゃん、ここを通るなら通行料支払ってくれよ」
「貴様らのような下衆に与えるものなど何もない。今すぐ消えろ」
「んだと!?」
「やっちまえ!!」
「……」
人間の存在は元々気に食わないと思っていたが、この街の人間は余計に腹立たしく感じる。他人に何かしないと気が済まないのは一体何故なのか。さっさと終わらせたかった私は武具に憑依させているモンスターの力を引き出した。
「うわっ」
「なんじゃこりゃあ!」
周囲に粉塵が舞う。“死の粉”と名付けられたそれはただ目眩しに使うだけではない。吸い込んだが最後、知覚に異常をきたし混乱状態となる恐ろしいモノなのだから。
「ヒッ! やめろ近づくなァっ!」
「バカ!俺じゃねえ何やってんだアイツを狙え!!」
「フン、他愛のない」
互いに錯乱して攻撃し合っている間にその場から立ち去った。全く、人間は弱くて救い様の無い存在だ。気を取り直して静かな場所を探そうとしたその時だった。
背後から何者かの気配がする。先程の下衆な人間とは違う強者のもの。だがこの気は——
「何のつもりだ?」
「はっはっは、悪い悪い。アンタいっつもクーロンに来ると一人になりたがるようだから気になってなあ」
振り向き様に剣を向ければ、アセルスが共に連れていたゲンという名の男が立っていた。
「答えになってないぞ」
「アセルスからお前さんが強いと聞いてな。どれくらいの手練れか見てみたくなっちまったんだ」
「戦闘なら普段から見ているだろう」
「一対一の戦いはまた別モンだ。実際にアンタとやりあってみたいと思っちまってな」
「……どうせ断ったところでついてくるんだろう」
「お、わかってるんじゃねえか」
「貴様の行動を見ていればおおよそ察しはつく」
はあ、と大袈裟にため息をつけば、この男は大口を開けて笑った。
「……さっさと終わらせるぞ」
「そいつはどうかな?」
俺は向けていた剣を構え直し、男は腰に履いた剣に手を掛ける。そしてどちらかともなくその刃を解き放った。
【終】
departure(お題bot)@dpt_title_bot
「きっと言葉なんていらない」
人間のリージョンはうるさくて敵わない。特にこのクーロンというリージョンは顕著だった。街の中は鮮やかすぎる色で溢れ、ひっきりなしに音が、声がけたたましく響き、人間と機械とモンスターがどこでもいる。この街は静寂という言葉を忘れているのだろう。
あまりにも煩すぎて宿を後にし、人の気配のしない方へと足を運んだ。やっと落ち着ける、と思った矢先のこと。降りていた階段の中央で挟み込むように人間がやってくる。……全く、本当に人間とは愚かな存在だ。
「なあ兄ちゃん、ここを通るなら通行料支払ってくれよ」
「貴様らのような下衆に与えるものなど何もない。今すぐ消えろ」
「んだと!?」
「やっちまえ!!」
「……」
人間の存在は元々気に食わないと思っていたが、この街の人間は余計に腹立たしく感じる。他人に何かしないと気が済まないのは一体何故なのか。さっさと終わらせたかった私は武具に憑依させているモンスターの力を引き出した。
「うわっ」
「なんじゃこりゃあ!」
周囲に粉塵が舞う。“死の粉”と名付けられたそれはただ目眩しに使うだけではない。吸い込んだが最後、知覚に異常をきたし混乱状態となる恐ろしいモノなのだから。
「ヒッ! やめろ近づくなァっ!」
「バカ!俺じゃねえ何やってんだアイツを狙え!!」
「フン、他愛のない」
互いに錯乱して攻撃し合っている間にその場から立ち去った。全く、人間は弱くて救い様の無い存在だ。気を取り直して静かな場所を探そうとしたその時だった。
背後から何者かの気配がする。先程の下衆な人間とは違う強者のもの。だがこの気は——
「何のつもりだ?」
「はっはっは、悪い悪い。アンタいっつもクーロンに来ると一人になりたがるようだから気になってなあ」
振り向き様に剣を向ければ、アセルスが共に連れていたゲンという名の男が立っていた。
「答えになってないぞ」
「アセルスからお前さんが強いと聞いてな。どれくらいの手練れか見てみたくなっちまったんだ」
「戦闘なら普段から見ているだろう」
「一対一の戦いはまた別モンだ。実際にアンタとやりあってみたいと思っちまってな」
「……どうせ断ったところでついてくるんだろう」
「お、わかってるんじゃねえか」
「貴様の行動を見ていればおおよそ察しはつく」
はあ、と大袈裟にため息をつけば、この男は大口を開けて笑った。
「……さっさと終わらせるぞ」
「そいつはどうかな?」
俺は向けていた剣を構え直し、男は腰に履いた剣に手を掛ける。そしてどちらかともなくその刃を解き放った。
【終】
departure(お題bot)@dpt_title_bot
「きっと言葉なんていらない」
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