サガエメ

 ディーヴァNo.5と呼ばれるメカが歌っている。それは今まで聴いた中で、一番美しい歌だと思った。

 ——いつかさ、お前の歌を聞かせてくれよ。
 ——いつになるか、分かりません。
 ——俺もメカだ。いつまででも待っててやる。
 ——ありがとうございます。

 いつかの旅の途中の会話のログが勝手に再生された。なんだよお前、こんなすげえ歌が歌えるんじゃねえか。
 敵の容赦ない攻撃に、ボディはもう破壊寸前だった。でも、どうしてだろうな。全然負ける気がしねえんだわ。
「ひっだりからー! ディーヴァ!」
 そうして俺は悲鳴をあげるボディを無視して武器からありったけの技を引き出し敵へと浴びせる。
 ——やっと心を得て歌えるようになったこのメカを、ここで終わらせてやるもんか。

「君の歌よ、遍く世界に届け」
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