ロマサガ・ミンサガ
【ロマサガ】Look at me!【ジャミルとダウド】
今日も南エスタミルは平和だった。
旅人が強盗に襲われようが、生意気な子供たちがお金を求めて徘徊していようが、町の片隅に住みついているジャミルとダウドはそんなことはお構いなしに、今夜の仕事について考えていた。
「ね~え~、ジャミルってば~」
「ダウド、今話し掛けるな」
先ほどからジャミルは情報屋から仕入れたとある豪邸の見取り図をじっと見つめたまま、微動だにしなかった。
作戦会議だと言って惰眠を貪っていたダウドは叩き起こされ、無理矢理参加させられたのだが、数分もしないうちにジャミルとダウドの間で会話が成立しなくなっていた。
「ちぇっ、つまんないの~」
唇を尖らせて文句を言うダウド。それでもジャミルは見取り図を見つめたまま、ダウドとは目を合わせようとはせず、黙って(というよりはブツブツ独り事を言いながら)いた。
「はぁ~あ」
話し相手はいない、かといって一人で何かするのはつまらない。ダウドは溜め息を付くと床に寝そべって頬杖をつき、合い向かいにあぐらをかいて座っている相棒の顔をふと見上げ、いつの間にかしげしげとそれを眺めていた。
細い三日月型をした眉。今は伏せられて良く見えないが、どんな玉石よりも美しい碧玉の双眸。それを縁取る長い長い睫。スッと通った鼻筋。今はへの字に曲げられているが、笑うと綺麗な弧を描画く唇。
それらを一つ一つ眺めていくうちに、ダウドは無意識のうちにポツリと呟いていた。
「……ジャミルってさぁ、美人だよね~」
「は?」
今まで静かだったせいか、ダウドの言葉はジャミルの耳にもちゃんと届いていた。その、相棒のありえない発言に、ジャミルは目を瞬かせた。
「……いや、だからジャミルって良く見ると美人さんだなあって」
新しい発見をにこにこと嬉しそうにジャミルに告げるダウド。もちろん、その顔には悪意は見当たらない。それが余計に悪かったようだ。
「……」
「あれ?ジャミル、どうしたの?」
突然、俯いて黙りこくってジャミルを見て、ダウドは怪訝そうな顔をした。そう、ダウドは気付いていなかった。ジャミルの背後に怒りのオーラが出ていることを。
「だからどうしてお前はそーゆーこっ恥ずかしいセリフを平気な顔して言えるんだよっ!!」
ジャミルが叫ぶや否やダウドの頭にジャミルのげんこつが炸裂した。
「あたっ! いきなり何するんだよジャミルっ!!」
「何もクソもねーっつーの!」
ダウドはジャミルに抗議したものの?再びダウドの頭にげんこつが降ってきた。
「いっ!? 2回も殴るなんて幾らなんでも酷くない!?」
キッ、とジャミルを睨みつけるダウド。その深紅の瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。だが、ジャミルはフイと明後日の方向を向いて、ダウドと目を合わせようとはしなかった。
「お、お前が悪いんだからな! いっ、いきなり変な事言うから……」
最初は勢いがよかったものの、後半はボソボソとかろうじて聞き取れるくらいの声の大きさで呟くジャミル。その顔と耳は薄っすらと赤く染まっていた。そんなジャミルの顔を見て、ダウドは吹きだしそうになるのを懸命にこらえながら、ジャミルに聞いた。
「……ジャミル、もしかして照れてるの?」
「て、照れてなんかねぇよっ!!」
赤くなっていた顔をさらに赤くして、ジャミルはダウドを怒鳴りつけた。そんなジャミルを見て、ニヤニヤしながらダウドがジャミルに言い寄った。
「だって、顔と耳が真っ赤だよぉ~?」
痛いところを付かれ、言葉に詰まるジャミル。そして、ついにはダウドに背中を向けてしまった。
「う、うるせぇっ!! もうこれ以上俺に話し掛けんな!!」
「あははっジャミルってばおもしろ~い」
そんなふて腐れたジャミルの背中に体重をかけながら、ダウドは笑ってなおも言い続けた。
「ああくそっ! いいから黙れ、馬鹿ダウドっ!!」
背中のダウドを払い除けようとしながら、ジャミルはダウドに怒鳴っているが効果はないようだ。そして、ダウドがおもむろに背中に体重をかけるのを止め、ジャミルの右腕を掴みながら笑顔でジャミルを見つめながら言った。
「へへっ。やっとジャミルが俺の事構ってくれたっ!」
「! ……全く、お前って奴は」
ダウドの天然だったのかまたは計算だったのかは定かでは無いが、いつの間にかジャミルはダウドのペースに乗せられていた。
「(ダウドって実は頭が良かったりとか…ンなわけないか。)」
「ジャミル? どうしたの?」
自分のほうをじっと見つめたまま微動だにしないジャミルを見て、ダウドは思わず声をかけた。
「あ? なんでもねぇよ。ま、しいて言うなら……お前の呑気なところに呆れてただけだっての」
「ちょっと! いくらなんでもひどくない!?」
今日も南エスタミルは平和だった。
旅人が強盗に襲われようが、生意気な子供たちがお金を求めて徘徊していようが、町の片隅に住みついているジャミルとダウドはそんなことはお構いなしに、騒いでいた。
【終】
今日も南エスタミルは平和だった。
旅人が強盗に襲われようが、生意気な子供たちがお金を求めて徘徊していようが、町の片隅に住みついているジャミルとダウドはそんなことはお構いなしに、今夜の仕事について考えていた。
「ね~え~、ジャミルってば~」
「ダウド、今話し掛けるな」
先ほどからジャミルは情報屋から仕入れたとある豪邸の見取り図をじっと見つめたまま、微動だにしなかった。
作戦会議だと言って惰眠を貪っていたダウドは叩き起こされ、無理矢理参加させられたのだが、数分もしないうちにジャミルとダウドの間で会話が成立しなくなっていた。
「ちぇっ、つまんないの~」
唇を尖らせて文句を言うダウド。それでもジャミルは見取り図を見つめたまま、ダウドとは目を合わせようとはせず、黙って(というよりはブツブツ独り事を言いながら)いた。
「はぁ~あ」
話し相手はいない、かといって一人で何かするのはつまらない。ダウドは溜め息を付くと床に寝そべって頬杖をつき、合い向かいにあぐらをかいて座っている相棒の顔をふと見上げ、いつの間にかしげしげとそれを眺めていた。
細い三日月型をした眉。今は伏せられて良く見えないが、どんな玉石よりも美しい碧玉の双眸。それを縁取る長い長い睫。スッと通った鼻筋。今はへの字に曲げられているが、笑うと綺麗な弧を描画く唇。
それらを一つ一つ眺めていくうちに、ダウドは無意識のうちにポツリと呟いていた。
「……ジャミルってさぁ、美人だよね~」
「は?」
今まで静かだったせいか、ダウドの言葉はジャミルの耳にもちゃんと届いていた。その、相棒のありえない発言に、ジャミルは目を瞬かせた。
「……いや、だからジャミルって良く見ると美人さんだなあって」
新しい発見をにこにこと嬉しそうにジャミルに告げるダウド。もちろん、その顔には悪意は見当たらない。それが余計に悪かったようだ。
「……」
「あれ?ジャミル、どうしたの?」
突然、俯いて黙りこくってジャミルを見て、ダウドは怪訝そうな顔をした。そう、ダウドは気付いていなかった。ジャミルの背後に怒りのオーラが出ていることを。
「だからどうしてお前はそーゆーこっ恥ずかしいセリフを平気な顔して言えるんだよっ!!」
ジャミルが叫ぶや否やダウドの頭にジャミルのげんこつが炸裂した。
「あたっ! いきなり何するんだよジャミルっ!!」
「何もクソもねーっつーの!」
ダウドはジャミルに抗議したものの?再びダウドの頭にげんこつが降ってきた。
「いっ!? 2回も殴るなんて幾らなんでも酷くない!?」
キッ、とジャミルを睨みつけるダウド。その深紅の瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。だが、ジャミルはフイと明後日の方向を向いて、ダウドと目を合わせようとはしなかった。
「お、お前が悪いんだからな! いっ、いきなり変な事言うから……」
最初は勢いがよかったものの、後半はボソボソとかろうじて聞き取れるくらいの声の大きさで呟くジャミル。その顔と耳は薄っすらと赤く染まっていた。そんなジャミルの顔を見て、ダウドは吹きだしそうになるのを懸命にこらえながら、ジャミルに聞いた。
「……ジャミル、もしかして照れてるの?」
「て、照れてなんかねぇよっ!!」
赤くなっていた顔をさらに赤くして、ジャミルはダウドを怒鳴りつけた。そんなジャミルを見て、ニヤニヤしながらダウドがジャミルに言い寄った。
「だって、顔と耳が真っ赤だよぉ~?」
痛いところを付かれ、言葉に詰まるジャミル。そして、ついにはダウドに背中を向けてしまった。
「う、うるせぇっ!! もうこれ以上俺に話し掛けんな!!」
「あははっジャミルってばおもしろ~い」
そんなふて腐れたジャミルの背中に体重をかけながら、ダウドは笑ってなおも言い続けた。
「ああくそっ! いいから黙れ、馬鹿ダウドっ!!」
背中のダウドを払い除けようとしながら、ジャミルはダウドに怒鳴っているが効果はないようだ。そして、ダウドがおもむろに背中に体重をかけるのを止め、ジャミルの右腕を掴みながら笑顔でジャミルを見つめながら言った。
「へへっ。やっとジャミルが俺の事構ってくれたっ!」
「! ……全く、お前って奴は」
ダウドの天然だったのかまたは計算だったのかは定かでは無いが、いつの間にかジャミルはダウドのペースに乗せられていた。
「(ダウドって実は頭が良かったりとか…ンなわけないか。)」
「ジャミル? どうしたの?」
自分のほうをじっと見つめたまま微動だにしないジャミルを見て、ダウドは思わず声をかけた。
「あ? なんでもねぇよ。ま、しいて言うなら……お前の呑気なところに呆れてただけだっての」
「ちょっと! いくらなんでもひどくない!?」
今日も南エスタミルは平和だった。
旅人が強盗に襲われようが、生意気な子供たちがお金を求めて徘徊していようが、町の片隅に住みついているジャミルとダウドはそんなことはお構いなしに、騒いでいた。
【終】