海辺にて

  • ランディ

    わあ!来たんだ!海…

  • バーレント

    ずいぶんとはしゃいでいるな。

  • バーレント

    入るにはまだ水は冷たいぞ

  • ランディ

    潮の匂いをかいで、海辺を歩くだけで良いんだよ

  • 波打ち際を駆けていくランディ。車にもたれてその後ろ姿を見つめているバーレント

  • バーレント

    (子供みたいに無邪気で…)

  • ランディ

    見て見て!
    バーレント!

  • ランディ

    天気が良いから波が陽の光を反射してキラキラしてる!

  • ランディ

    ほら、まるで笑っているみたい

  • バーレント

    !!

  • バーレント

    (海が「笑っている」
    か…)

  • バーレント

    (そうやって笑っている君の方が私には眩しい)

  • バーレント

    (まるで天使のような)

  • バーレント

    (穢れのない純真無垢な天使)

  • バーレント

    (それに比べて…私は薄汚れた…)

  • ランディ

    バーレントも一緒に歩こうよ!
    ね?

  • ランディは駆け戻ってくるとバーレントの腕をとる。
    ふ、とランディは黙ってバーレントの顔を見上げる。

  • バーレント

    ランディ?

  • ランディ

    …ねえ、バーレント…

  • ランディ

    アンタは俺の救いの神なんだ

  • バーレント

    神だなんて…私など…

  • ランディ

    ううん!神だよ!
    俺を絶望の淵から救ってくれた

  • バーレント

    (君の家族が死んだのは、私のせいなんだぞ…)

  • ランディ

    俺、これからもずっとバーレントと一緒にいたい

  • ランディ

    だから…
    ずっと…

  • ランディ

    俺だけの神様でいて…

  • ランディは背伸びをすると、バーレントの唇に自分の唇を重ねた。
    軽く触れる程度だったが、その温もりに罪悪感が押し寄せるバーレント。
    何も言えず、戸惑うばかり。

  • バーレント

    (なぜ、そこまで私を?)

  • バーレント

    (私は汚い。だが、何があろうと君だけは守りぬく…)

  • ランディ

    俺、海が大好きなんだ。
    大好きなバーレントと来れて良かった

  • 屈託のないランディの笑顔に、さらに罪悪感が増すバーレント。
    しかし、それゆえ決意もかたくなったのだった。

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