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銀浄
銀夜どの。
私はこれから、薬草を採りに行ってくる
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銀浄
日が暮れるまでには戻ってくるから、留守を頼む

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銀夜僕も一緒に行ってはダメかなあ
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銀浄
薬草のある区域は、守人である私しか立ち入れぬのだ

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銀浄
すまないな

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銀夜うーん…そうかぁ
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銀浄
なるべく早く戻る

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銀浄
私の部屋の書庫に入って良いぞ。
本は自由に持って行ってくれ
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銀夜わかったよ…
いってらっしゃい
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銀夜烏さんしか入れない場所があるんだよなあ
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銀夜時々一人で出かけちゃうんだよね
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銀夜このまま帰ってこないんじゃないかって、不安になることがある…
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銀夜…考えすぎか。
これだから「寂しがり屋」だって笑われるんだけど; -
銀浄の部屋から何冊か本を持ち出し、読んでいる銀夜。
ふと気付くと日は落ちて薄暗い。 -
銀夜わあ、もうこんな時間?
烏さん、戻ってないよね? -
銀夜…静かだなあ。
こういう静けさは何か苦手。
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その時、物音がして気配がする。銀浄が戻ってきたようだ
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銀浄
戻ったぞ。遅くなったな。

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銀夜わー、お帰りなさい。
良かったあ。 -
銀浄
夕餉にしよう

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銀夜手伝うよ
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一緒に食事の準備を始める。支度をしながら話しかける銀夜。
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銀夜…あのさ、
烏さんしか入れない場所って訊いても良い? -
銀浄
…どう説明したら良いのか

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銀浄
例えば、銀夜どのがここの守人になることがあれば、全てを教えられるのだが…

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銀夜うーん、そういうことか。
だったらやめておくよ
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銀浄
そう簡単には説明しがたい。
「聖域」そのものの話になると、私の過去から始まり長くなるぞ

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銀夜うん、今は良いよ
(気にはなるけどね) -
銀浄
ここで過ごしていればわかってくることもあろう

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銀浄
そなたの妖力をコントロールすることが先かもしれぬな

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銀夜あ~、そうなるの?
これはこれで長くなるよ -
銀浄
だから焦るな。

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銀浄
私の考えだが、そなたが妖力を自在に操れるようになれば、ここにも影響される気がするのだ

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銀浄
そのことにより、そなた自身が「聖域」を深く知ることができるかもしれぬ

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銀夜ふーん…
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銀夜(知りたい気持ちと、怖い気持ちとが葛藤しているよ…)
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銀夜(とりあえず、今は烏さんと平穏に過ごせれば良いか)
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銀浄
…一品できたぞ。
味を見てくれ
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銀夜はーい
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準備ができて、食事を始める二人。
薬草についていろいろ教えてくれる銀浄の話に聞き入る銀夜だった。
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