花に嵐の喩へもあれど

「えっ、じゃあ暫く出発できねぇじゃん!」

悟浄から八戒の不調を聞いた悟空は、今にも立ち上がらんばかりの勢いでテーブルに身を乗り出した。

「アイツも疲れが溜まってたんだろう。回復するまでは此処に留まる」

新聞を広げながら三蔵は言う。

「…なぁ、三蔵。ちょっとイイか?」
「なんだ?」
「お前…八戒に何かした?」
「…どういう意味だ?」

眉根を寄せ、三蔵は悟浄に聞き返す。この様子からして、三蔵はアノ跡を付けた者ではないのだろう。

「あーいや、別に何でもねぇ」

その時、部屋のドアがノックされた。

「あ、あの…」
「どうしたんだ?」
「えっとね、金髪のお兄さんにお話があって…」

ドアに近い所にいた悟空が部屋のドアを開けると、そこには三人の子ども達がいた。その子ども達は昨日カルタ遊びをしていた子ども達だと、三蔵は声で分かった。

「なんだ?」
「あ、あの…昨日の夜中に…」

子ども達の話はこうだ。昨晩トイレに行こうと目を覚まし廊下を歩いていると、八戒の部屋に入って行く白い服の男を見たのだと。

「はぁ?夢でも見てたんじゃねぇの?」

茶化すように言う悟浄だが、内心まさか…という思いがあった。

「た、確かに夢かもって思ったよ!だけど、三人一緒の夢見ることなんてないし、それに…」

そういうと子どもは、後ろ手に持っていたとあるものを取り出した。

「金髪のお兄さんに渡しなさいって言われたコレが、枕元にあるはず無いもん…」

【NEXT→夜来様】
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