花に嵐の喩へもあれど

「おはよさん」

「あ、……おはようございます…悟浄。」

「珍しいじゃん。」

朝だというのにまだベッドに横になる八戒の側に寄り、悟浄は布団に埋もれている彼の顔を覗き込んだ。

「大丈夫?朝方帰ってきた時、スゲーうなされてたから起こしたんだけど、」

明け方、街の賭博でだいぶ稼ぎ、鼻唄まじりで帰ってきた悟浄は、ベッドの上で苦しそうに身を捩る八戒に気がついた。

「おい!おい!八戒っ!」

その大きな手で揺さぶれば、うっすらと碧の瞳が現れ、そして…

「そのまんま、スースー寝ちまったから俺も寝たんだけど…」

失敗だったか…と呟く悟浄に、八戒は儚く壊れそうな笑みを浮かべた。

「ごめんなさい。風邪を…ひいたのかもしれません。頭が痛くて……」

「あ~、この街に着くまで強行軍だったからなぁ。」

悟浄は八戒の額に手をあてると顔を歪めた。

「熱あんなぁ。ま、ちっと休めや。」

そう言って手を頬から耳へと滑らせて、八戒の髪を撫で付けた悟浄の瞳が見開かれた。

熱のため汗の浮き出た白い首筋には、赤い鬱血痕がはっきりと浮かび上がっていた。

【NEXT→若宮】
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