鬼灯~二藍の刻にひそむ妖~
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ここのところ、止まない雨が続いていた。細かい雨がサァサァと降り、木々の葉を濡らしている。
「…いない…」
ポツリと玖々廼馳は呟いた。
こうも止まない雨だ。動物たちがいないのはきっと、住処や洞穴などで雨宿りをしているからだろう。
不意に、雨が強く降り始めた。
「どうしよ…」
あのくらいなら平気だろうと、傘を持って来なかったのだ。
「あっ……」
近くに大きな穴のある大木があった。玖々廼馳は大木のところまで走ると、小さな体を穴の中にねじ込んだ。
「玖々廼馳ー、玖々廼馳ー?」
「どうしたんだよ、祢々斬」
祢々斬の声がして、竜尊は祢々斬に問いかけた。
「竜尊。なぁ、玖々廼馳が何処へ行ったか知らねえか?」
いつになく焦ったような様子の祢々斬。何かあったのだろうか…?
「知らないなぁ…。何かあったのか?」
「ちょっと…色々あってな…」
歯切れ悪く言う祢々斬に、竜尊はあることに気付く。
「玖々廼馳と喧嘩にでもなったのか?」
「…やっぱり、お前にはかなわねぇな」
溜め息混じりに、祢々斬は呟いた。
「玖々廼馳のヤツに…謝りたいんだよ。キツく言い過ぎたって…」
「なるほどな」
喧嘩になった祢々斬と玖々廼馳。
言い負かされた玖々廼馳の行く場所は、あそこしかない。
「それじゃあ、俺が連れてきてやるよ」
「本当か!?」
「嘘言ったって仕方ないだろ?少し待っててな」
竜尊はそういうと、玖々廼馳を見つけに森へと行くのだった。
「…止まない…」
ぽつりと玖々廼馳は呟いた。
雨はひっきりなしに降り注いでいる。雫が木々の葉にあたり、独特のリズムを生み出している。
玖々廼馳はそっと、木の壁に耳をあてた。地面から水を吸い上げる音が、幹を通して玖々廼馳の耳へと入ってゆく。
それは命の音。玖々廼馳が最も好きな、癒やしの調べだった。
はぁ…、と玖々廼馳はため息をついた。
──祢々斬とケンカをした。
口喧嘩だ。負けるとわかっていた。でも、引き下がりたくはなかった。
それでも結局は、こんなハメになってしまったが……。
「……竜ちゃん……」
ぽつり玖々廼馳は呟いた。
頼れる兄貴分で、誰よりも優しくて、誰よりも理解がある存在で…。玖々廼馳にとっては、ある意味で憧れだった。
その憧れは、いつしか恋心へと変わった。
気がつけば、竜尊を目で追っている自分がいた。竜尊も竜尊で、鬼であることを憂いでいる自分を気にかけてくれていた。
それが、玖々廼馳には苦しかった。だから理解されないと分かりつつも、祢々斬に相談したのだ。
案の定、祢々斬は反発した。それも猛反発だった。そこから口喧嘩に発展し、今に至っていた。
…でも、祢々斬が猛反発した理由が、玖々廼馳には分かる気がした。
祢々斬も、竜尊のことが好きだから。だから反発したのだ。本人は気づいていないかもしれないけど、玖々廼馳は今までのやりとりの中で気づいていた。
それに…
「竜ちゃんはいつだって……祢々斬のそばにいる……」
ふと気がつけば、竜尊の隣には祢々斬がいた。祢々斬がリーダーシップを取る手前、竜尊のような冷静な人物が参謀格になるのは、ある意味で必然的だった。
それに、竜尊といる時の祢々斬は楽しそうだった。
だから、祢々斬も竜尊が好きなのだろうことは、なんとなくだがわかったのだ。
ぎゅっと、玖々廼馳は自分の膝を抱いた。
何故か寂しく悲しかった。自分は竜尊が好きだ。それは変わりない。でも、祢々斬も竜尊が好きだ。それがなぜだか、寂しく悲しかった。
──わからない。いくら探しても答えは見つからなかった。只見つけられる答えは、自分が好きなのは竜尊だけだということ。それだけだった。
物音がして、玖々廼馳は顔を上げた。穴の前に誰かがいた。でも、玖々廼馳にはそれが誰かすぐに分かった。
「……竜ちゃん?」
「やっぱり此処だったか、玖々廼馳」
その声と共に、竜尊の顔がひょこっと入ってきた。
「にしても……よくこんなとこに入れたよな……」
穴の中を見回して、竜尊が呟いた。
「祢々斬が探してたぞ。謝りたいって」
「祢々斬が……?」
「あぁ。だから、一緒に行こうぜ」
竜尊が手を差し出してくる。玖々廼馳はその手を取ろうとして、躊躇った。
「どうした、玖々廼馳?」
「………」
今の玖々廼馳は、特異な体質になっていた。相手の生気を吸い、自分の糧としてしまう。
それは意識をしている訳ではなく、自分の意思とは無関係に起こってしまう。
そしてそれは加減することが出来ず、生気を吸われた相手にあるのは──死、だけだ……。
それが起こるのは植物だけとは言え、もし万一のことがあればと思うと怖かった。
玖々廼馳が竜尊の手を取ることを躊躇っていると、突如として竜尊は玖々廼馳の手を引いた。
「りゅ、竜ちゃん!?」
「躊躇ってたって、何も変わらねえよ。ほら、祢々斬のとこに行くぞ」
竜尊の温かく大きな手が、玖々廼馳の小さな手を包み込んでいる。その手が優しくて、玖々廼馳の目から涙が零れそうになった。
…多分、竜尊は気づいていないだろう。自分が竜尊を想っていると言うことを。
「…ヒドいよ…竜ちゃん…」
ポツリ呟いたその言葉は、雨音に掻き消され竜尊の耳には届かなかった。
「さっきは、キツく言い過ぎてごめんな」
竜尊に連れられた玖々廼馳に、祢々斬は真っ先にこの言葉を告げた。
「大丈夫です…僕にも悪いところがありましたから…」
祢々斬の見たこともないような表情に、玖々廼馳は少し慌ててしまう。
悪いのは自分なのに、どうして祢々斬は傷ついたような表情をしているのだろう…。
「じゃあ仲直りしたところで、行くか祢々斬」
「ちょっ!?腰に腕回すなよ!!」
顔を赤くして祢々斬は竜尊を押し返そうとするが、竜尊の方が力が強いらしく腰から腕が放れることは無かった。
──玖々廼馳の中に、言いようのない感情が渦巻いた。
竜尊が祢々斬の腰に腕を回したこと。それが玖々廼馳には堪らなく許せなかった。
だけど何故許せなく思うのか。それはきっと、祢々斬への嫉妬なのだと玖々廼馳は思った。
……だが、その時の玖々廼馳はそれの本当の意味を知る由も無かった。
[続]
まさかの続くだよ、コレ!どうすんの自分(゜o゜;)まぁ…なんとか考えるよ、うん…。
初の鬼灯なのに…趣味丸出しじゃねぇかぁぁあっ!だけどそんなの気にしない、気にしないもん!!
それでは続編をお楽しみに~
「…いない…」
ポツリと玖々廼馳は呟いた。
こうも止まない雨だ。動物たちがいないのはきっと、住処や洞穴などで雨宿りをしているからだろう。
不意に、雨が強く降り始めた。
「どうしよ…」
あのくらいなら平気だろうと、傘を持って来なかったのだ。
「あっ……」
近くに大きな穴のある大木があった。玖々廼馳は大木のところまで走ると、小さな体を穴の中にねじ込んだ。
「玖々廼馳ー、玖々廼馳ー?」
「どうしたんだよ、祢々斬」
祢々斬の声がして、竜尊は祢々斬に問いかけた。
「竜尊。なぁ、玖々廼馳が何処へ行ったか知らねえか?」
いつになく焦ったような様子の祢々斬。何かあったのだろうか…?
「知らないなぁ…。何かあったのか?」
「ちょっと…色々あってな…」
歯切れ悪く言う祢々斬に、竜尊はあることに気付く。
「玖々廼馳と喧嘩にでもなったのか?」
「…やっぱり、お前にはかなわねぇな」
溜め息混じりに、祢々斬は呟いた。
「玖々廼馳のヤツに…謝りたいんだよ。キツく言い過ぎたって…」
「なるほどな」
喧嘩になった祢々斬と玖々廼馳。
言い負かされた玖々廼馳の行く場所は、あそこしかない。
「それじゃあ、俺が連れてきてやるよ」
「本当か!?」
「嘘言ったって仕方ないだろ?少し待っててな」
竜尊はそういうと、玖々廼馳を見つけに森へと行くのだった。
「…止まない…」
ぽつりと玖々廼馳は呟いた。
雨はひっきりなしに降り注いでいる。雫が木々の葉にあたり、独特のリズムを生み出している。
玖々廼馳はそっと、木の壁に耳をあてた。地面から水を吸い上げる音が、幹を通して玖々廼馳の耳へと入ってゆく。
それは命の音。玖々廼馳が最も好きな、癒やしの調べだった。
はぁ…、と玖々廼馳はため息をついた。
──祢々斬とケンカをした。
口喧嘩だ。負けるとわかっていた。でも、引き下がりたくはなかった。
それでも結局は、こんなハメになってしまったが……。
「……竜ちゃん……」
ぽつり玖々廼馳は呟いた。
頼れる兄貴分で、誰よりも優しくて、誰よりも理解がある存在で…。玖々廼馳にとっては、ある意味で憧れだった。
その憧れは、いつしか恋心へと変わった。
気がつけば、竜尊を目で追っている自分がいた。竜尊も竜尊で、鬼であることを憂いでいる自分を気にかけてくれていた。
それが、玖々廼馳には苦しかった。だから理解されないと分かりつつも、祢々斬に相談したのだ。
案の定、祢々斬は反発した。それも猛反発だった。そこから口喧嘩に発展し、今に至っていた。
…でも、祢々斬が猛反発した理由が、玖々廼馳には分かる気がした。
祢々斬も、竜尊のことが好きだから。だから反発したのだ。本人は気づいていないかもしれないけど、玖々廼馳は今までのやりとりの中で気づいていた。
それに…
「竜ちゃんはいつだって……祢々斬のそばにいる……」
ふと気がつけば、竜尊の隣には祢々斬がいた。祢々斬がリーダーシップを取る手前、竜尊のような冷静な人物が参謀格になるのは、ある意味で必然的だった。
それに、竜尊といる時の祢々斬は楽しそうだった。
だから、祢々斬も竜尊が好きなのだろうことは、なんとなくだがわかったのだ。
ぎゅっと、玖々廼馳は自分の膝を抱いた。
何故か寂しく悲しかった。自分は竜尊が好きだ。それは変わりない。でも、祢々斬も竜尊が好きだ。それがなぜだか、寂しく悲しかった。
──わからない。いくら探しても答えは見つからなかった。只見つけられる答えは、自分が好きなのは竜尊だけだということ。それだけだった。
物音がして、玖々廼馳は顔を上げた。穴の前に誰かがいた。でも、玖々廼馳にはそれが誰かすぐに分かった。
「……竜ちゃん?」
「やっぱり此処だったか、玖々廼馳」
その声と共に、竜尊の顔がひょこっと入ってきた。
「にしても……よくこんなとこに入れたよな……」
穴の中を見回して、竜尊が呟いた。
「祢々斬が探してたぞ。謝りたいって」
「祢々斬が……?」
「あぁ。だから、一緒に行こうぜ」
竜尊が手を差し出してくる。玖々廼馳はその手を取ろうとして、躊躇った。
「どうした、玖々廼馳?」
「………」
今の玖々廼馳は、特異な体質になっていた。相手の生気を吸い、自分の糧としてしまう。
それは意識をしている訳ではなく、自分の意思とは無関係に起こってしまう。
そしてそれは加減することが出来ず、生気を吸われた相手にあるのは──死、だけだ……。
それが起こるのは植物だけとは言え、もし万一のことがあればと思うと怖かった。
玖々廼馳が竜尊の手を取ることを躊躇っていると、突如として竜尊は玖々廼馳の手を引いた。
「りゅ、竜ちゃん!?」
「躊躇ってたって、何も変わらねえよ。ほら、祢々斬のとこに行くぞ」
竜尊の温かく大きな手が、玖々廼馳の小さな手を包み込んでいる。その手が優しくて、玖々廼馳の目から涙が零れそうになった。
…多分、竜尊は気づいていないだろう。自分が竜尊を想っていると言うことを。
「…ヒドいよ…竜ちゃん…」
ポツリ呟いたその言葉は、雨音に掻き消され竜尊の耳には届かなかった。
「さっきは、キツく言い過ぎてごめんな」
竜尊に連れられた玖々廼馳に、祢々斬は真っ先にこの言葉を告げた。
「大丈夫です…僕にも悪いところがありましたから…」
祢々斬の見たこともないような表情に、玖々廼馳は少し慌ててしまう。
悪いのは自分なのに、どうして祢々斬は傷ついたような表情をしているのだろう…。
「じゃあ仲直りしたところで、行くか祢々斬」
「ちょっ!?腰に腕回すなよ!!」
顔を赤くして祢々斬は竜尊を押し返そうとするが、竜尊の方が力が強いらしく腰から腕が放れることは無かった。
──玖々廼馳の中に、言いようのない感情が渦巻いた。
竜尊が祢々斬の腰に腕を回したこと。それが玖々廼馳には堪らなく許せなかった。
だけど何故許せなく思うのか。それはきっと、祢々斬への嫉妬なのだと玖々廼馳は思った。
……だが、その時の玖々廼馳はそれの本当の意味を知る由も無かった。
[続]
まさかの続くだよ、コレ!どうすんの自分(゜o゜;)まぁ…なんとか考えるよ、うん…。
初の鬼灯なのに…趣味丸出しじゃねぇかぁぁあっ!だけどそんなの気にしない、気にしないもん!!
それでは続編をお楽しみに~
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