デュラララ‼
「遊馬崎…ウォーカー、さん?」
人々の行き交う池袋の街。その街の一角、サンシャインビルの前。金髪糸目のハーフの青年・遊馬崎ウォーカーは、不意に声をかけられて顔を上げた。
まるで少女漫画から出てきたかのような出で立ち、だけどいっさいの表情を映し出さない美男子が、遊馬崎に声をかけた張本人。
売れっ子俳優にして、池袋の喧嘩人形と名高い平和島静雄の弟・平和島幽がそこにいた。
「…そうっす、けど…」
「やっぱり。いつも兄さんや門田さんから、話は聞いてます」
なんで急に声をかけてきたのか、人の多いサンシャイン通りに有名人がいるのに何で誰も騒がないのだろうかとか、色々な思考が遊馬崎の頭を駆け巡る。そんな遊馬崎の考えなど露知らず、幽は続けた。
「ここにいるってことは、誰かと待ち合わせですか?」
「そうっす、狩沢さんと待ち合わせっすよ」
「もしかして、ディーバの新曲プレイしに行くんですか?」
「知ってるっすか!?そうっす!ディーバの新曲プレイしに行くっす!!」
今日は初音ミクProject DIVA Arcadeの新曲と、新モジュールの追加が行われる日だった。ミクを、ひいてはボカロを愛している遊馬崎にとっては待ちに待った今日この日だ。
もちろん、それは狩沢とて同じこと。だから新曲新モジュールが追加になる今日、共にゲームをプレイしようじゃないかということで待ち合わせていたのだ。
「俺はしたことないけど、いつも一緒になるスタッフさんがやってるんです。それで」
「なるほど~」
なんだかそのスタッフさんとは語れそうだなと思った時、幽がじっとこちらを見つめているのに気付いた。
「?どうか、したっすか?」
「いや。指先、真っ赤だなぁって思って」
「あぁ…。俺、末端冷え性なんすよ」
幽がじっと見ていたのは、遊馬崎が考える素振りで口元に持っていった指先だった。遊馬崎自身は慣れたこととはいえ、やっぱり…。
「今日みたいに寒いと、余計に辛くないですか?」
「そうなんすよねぇ…」
そう。今日のように最高気温がとてつもなく低い冬の日は、とても辛い。寒さで感覚が無くなるなんて普通だし、何より指先が動かなくなるのが辛い。
だから、待ち合わせでPSPのディーバをプレイしても、思うように指が動かせなくて悔しい思いをするのだ。
「PSPがプレイ出来ないのは、つらいっす……」
しかも今日に限って、手袋を忘れるという失態を犯したのだ。新曲新モジュールで頭がいっぱいだったゆえに。
「PSP…」
ポツリと呟いてから、幽は腕に巻いた時計を見た。時間を確認してから、幽は遊馬崎に言った。
「ならしばらくの間、俺がカイロになりましょうか?」
「へっ…っ!?」
素っ頓狂な声を上げたと同時、遊馬崎の両手は幽の両手の中に包まれていた。
「ちょっ、何やって!?」
「五分間ですけども…何も無いよりは、マシじゃないですか?」
「でも、だけど…!!」
ここは池袋で、しかも人の多いサンシャイン通りで。こんな姿を見られたら、ゲイだの何だの騒がれてしまう。
「大丈夫ですよ、遊馬崎さん。下手に慌てると見られますよ?」
「っ…」
「今まで誰も、俺がいるのに騒いでないでしょ?」
そうだ。確かに、ここに主役級の俳優がいるのに、誰一人として騒ぎ出さない。ごくごく自然に、幽は街と人に溶け込んでいる。
なら、ここで自分が騒げば確実にバレる。趣味や職業のことで目立つならまだしも、こんなことで誤解されて目立つのは勘弁だ。
それに、幽の手はすごく温かくて冷え切った自分の手に丁度いい。せっかくの好意だし、甘んじて受けようと遊馬崎は考え直し大人しくなった。幽も、遊馬崎の考えが分かったのか、それから何も言わなくなった。
「本当に冷たいですね…」
不意に、幽が自分の口元に、遊馬崎の手ごと自分の手を引き寄せた。
「っ…!!」
─突然のそれに、遊馬崎の心臓が跳ね上がった。
幽がしたのは、遊馬崎の手に自分の呼気を当てて温かくするというもの。そういうことは、遊馬崎自身もやることだ。
でも、遊馬崎が反応したのはそれじゃない。その時の、幽の表情だ。
吐息を当てる時、幽は瞳を閉じていた。まるで、遊馬崎の手を愛おしむような…。さらに当て終わったら当て終わったで、「笑った」のだ。
─そう、確かに、「笑って」いた。しかもその笑みは、とても甘やかで穏やかな、女性が見たなら誰だって虜になってしまいそうな…。
「っ─!」
幽と視線がぶつかった。上目遣い気味に遊馬崎を見る幽。その顔に浮かぶ表情が更に甘く穏やかになる。
心臓が、ドキドキとしている。耳が熱くなるのが感じられ、冷たい外気がひりつく痛みを耳に与えてくる。
手全体で感じる幽の体温に、指先からとろかされていきそうな、そんな錯覚を覚える。
落ち着こうと思って呼吸をしても、上手く呼吸が出来ない。早鐘のように響く心音に邪魔をされて、ヒュッと細く息が吸われただけだ。
池袋の喧騒が遠く感じる。ここにはまるで、自分と幽しかいないように感じる。
(俺…なんか、おかしいっす……!!)
相手も自分も男なのに。でも、遊馬崎の感情をよそに、指先は幽の体温を、柔らかな手の感触をこれでもかと言うほどに伝えてくる。
(どうか、バレませんように…!!)
この鼓動と緊張が、彼には気付かれないように。それだけを祈るのに、精一杯だった。
「─時間だね」
暫くして、幽はそっと遊馬崎の手を放した。その顔にはあの甘やかで穏やかな笑みは無く、無表情な顔に戻っていた。
「でも五分じゃ、そんなに温まらないかぁ…」
「そ、そんなことないっすよ!十分に温まったっす!!」
そう。時間にして僅か五分の出来事だった。でも遊馬崎には、永遠のように感じられたのだ。
「何かないかな…あっ」
ポケットを漁っていた幽が声をあげた。幽はそれを取り出すと、遊馬崎の手に乗せた。
「良かったら、使ってください」
それは、クリスマス仕様の初音ミクデザインが入ったカイロケースだった。中にはやっぱり、カイロが入っているのだろう。幽の体温とあいまって、とても温かい。
「じゃあ、俺はこれで」
「えっ、ちょっ、これどうすればいいんすか!?」
「使ってください。なんなら、そのまま差し上げます」
「それはさすがに悪いっすよ!?」
「なら、今度会った時にでも返していただければけっこうなので。じゃあ、今日は楽しんで来てください」
それだけ言うと、幽は颯爽とその場を去って行った。その姿は、あっと言う間に人波に紛れ見えなくなってしまった。
たったの、短時間の出来事だった。時計を見たら、まだ十分も経ってはいない。
なのに、すごくすごく、長い時間を過ごしたような、そんな気がしていた。
それに──
「っ…!」
幽の笑みが、脳裏に甦る。甘やかで穏やかな、見る者すべてを虜にしてしまいそうな柔らかな笑み。それは遊馬崎が見てきたどんな二次元の美少女たちをも凌駕する、完成された笑みだった。
(もし、叶うならもう一度──)
「ゆまっちー、お待たせー!!」
聞こえてきた相方とも言える女性の声に、遊馬崎の身体がビクリと跳ねた。同時に、思考も現実に戻された。
(お、俺は一体何を考えて…!?)
相手は男だ。それなのに、何でもう一度男の笑顔を見たいと考えた!?
「って、ゆまっち?顔紅いよ?」
「な、何でもないっす!」
「本当?」
「本当っす!!それよりも狩沢さん、早くゲーセン行くっす!」
「えっ、う、うん」
あれは単なる気の迷いだ、きっとそうに違いない。近くであんな美男子の表情を見たからの感情であって、決してヘンな意味はない。
そう結論づけ、でもその結論に些か寂しさのようなものを覚えつつ、遊馬崎は狩沢と共に歩き出した。
ふと手の中のカイロケースを見れば、デザインされたクリスマス仕様の初音ミクが目に入った。リボンのかかったプレゼントボックスを差し出す彼女、その中には何が入っているのだろう。
開けてみなくては、プレゼントは分からない。そして、遊馬崎自身の感情も。
彼がそれに気付くのは、まだまだ、先のことだった。
[END]
デュラララ!!で新境地開拓です。まさかの幽×ゆまっちですよぉおおっ!!検索かけても出てこなかったんだぜ、カスユマww開拓されたのは、某コスイベ時でした。コスイベって素晴らしいな、おい((
ゆまっちが乙女ですね…だれおま状態です。いや、幽もだれおま状態ですけどもwwそしてこの話の裏話ですが、この後ゆまっちは一部始終をバッチリ見ていた狩沢さんの質問攻めに遭いますwwゆまっち、頑張れwwあとごめんなさい、若宮ディーバプレイしたことありません…!!ディーバは見る専です。皆さんのプレイ見てヤベェって言ってる人です。幽もそんなノリです。でもボカロは好きです。KAITO兄さんイイよね。
何はともあれ、カスユマの輪よ広がれぇええ!!(呪文)
人々の行き交う池袋の街。その街の一角、サンシャインビルの前。金髪糸目のハーフの青年・遊馬崎ウォーカーは、不意に声をかけられて顔を上げた。
まるで少女漫画から出てきたかのような出で立ち、だけどいっさいの表情を映し出さない美男子が、遊馬崎に声をかけた張本人。
売れっ子俳優にして、池袋の喧嘩人形と名高い平和島静雄の弟・平和島幽がそこにいた。
「…そうっす、けど…」
「やっぱり。いつも兄さんや門田さんから、話は聞いてます」
なんで急に声をかけてきたのか、人の多いサンシャイン通りに有名人がいるのに何で誰も騒がないのだろうかとか、色々な思考が遊馬崎の頭を駆け巡る。そんな遊馬崎の考えなど露知らず、幽は続けた。
「ここにいるってことは、誰かと待ち合わせですか?」
「そうっす、狩沢さんと待ち合わせっすよ」
「もしかして、ディーバの新曲プレイしに行くんですか?」
「知ってるっすか!?そうっす!ディーバの新曲プレイしに行くっす!!」
今日は初音ミクProject DIVA Arcadeの新曲と、新モジュールの追加が行われる日だった。ミクを、ひいてはボカロを愛している遊馬崎にとっては待ちに待った今日この日だ。
もちろん、それは狩沢とて同じこと。だから新曲新モジュールが追加になる今日、共にゲームをプレイしようじゃないかということで待ち合わせていたのだ。
「俺はしたことないけど、いつも一緒になるスタッフさんがやってるんです。それで」
「なるほど~」
なんだかそのスタッフさんとは語れそうだなと思った時、幽がじっとこちらを見つめているのに気付いた。
「?どうか、したっすか?」
「いや。指先、真っ赤だなぁって思って」
「あぁ…。俺、末端冷え性なんすよ」
幽がじっと見ていたのは、遊馬崎が考える素振りで口元に持っていった指先だった。遊馬崎自身は慣れたこととはいえ、やっぱり…。
「今日みたいに寒いと、余計に辛くないですか?」
「そうなんすよねぇ…」
そう。今日のように最高気温がとてつもなく低い冬の日は、とても辛い。寒さで感覚が無くなるなんて普通だし、何より指先が動かなくなるのが辛い。
だから、待ち合わせでPSPのディーバをプレイしても、思うように指が動かせなくて悔しい思いをするのだ。
「PSPがプレイ出来ないのは、つらいっす……」
しかも今日に限って、手袋を忘れるという失態を犯したのだ。新曲新モジュールで頭がいっぱいだったゆえに。
「PSP…」
ポツリと呟いてから、幽は腕に巻いた時計を見た。時間を確認してから、幽は遊馬崎に言った。
「ならしばらくの間、俺がカイロになりましょうか?」
「へっ…っ!?」
素っ頓狂な声を上げたと同時、遊馬崎の両手は幽の両手の中に包まれていた。
「ちょっ、何やって!?」
「五分間ですけども…何も無いよりは、マシじゃないですか?」
「でも、だけど…!!」
ここは池袋で、しかも人の多いサンシャイン通りで。こんな姿を見られたら、ゲイだの何だの騒がれてしまう。
「大丈夫ですよ、遊馬崎さん。下手に慌てると見られますよ?」
「っ…」
「今まで誰も、俺がいるのに騒いでないでしょ?」
そうだ。確かに、ここに主役級の俳優がいるのに、誰一人として騒ぎ出さない。ごくごく自然に、幽は街と人に溶け込んでいる。
なら、ここで自分が騒げば確実にバレる。趣味や職業のことで目立つならまだしも、こんなことで誤解されて目立つのは勘弁だ。
それに、幽の手はすごく温かくて冷え切った自分の手に丁度いい。せっかくの好意だし、甘んじて受けようと遊馬崎は考え直し大人しくなった。幽も、遊馬崎の考えが分かったのか、それから何も言わなくなった。
「本当に冷たいですね…」
不意に、幽が自分の口元に、遊馬崎の手ごと自分の手を引き寄せた。
「っ…!!」
─突然のそれに、遊馬崎の心臓が跳ね上がった。
幽がしたのは、遊馬崎の手に自分の呼気を当てて温かくするというもの。そういうことは、遊馬崎自身もやることだ。
でも、遊馬崎が反応したのはそれじゃない。その時の、幽の表情だ。
吐息を当てる時、幽は瞳を閉じていた。まるで、遊馬崎の手を愛おしむような…。さらに当て終わったら当て終わったで、「笑った」のだ。
─そう、確かに、「笑って」いた。しかもその笑みは、とても甘やかで穏やかな、女性が見たなら誰だって虜になってしまいそうな…。
「っ─!」
幽と視線がぶつかった。上目遣い気味に遊馬崎を見る幽。その顔に浮かぶ表情が更に甘く穏やかになる。
心臓が、ドキドキとしている。耳が熱くなるのが感じられ、冷たい外気がひりつく痛みを耳に与えてくる。
手全体で感じる幽の体温に、指先からとろかされていきそうな、そんな錯覚を覚える。
落ち着こうと思って呼吸をしても、上手く呼吸が出来ない。早鐘のように響く心音に邪魔をされて、ヒュッと細く息が吸われただけだ。
池袋の喧騒が遠く感じる。ここにはまるで、自分と幽しかいないように感じる。
(俺…なんか、おかしいっす……!!)
相手も自分も男なのに。でも、遊馬崎の感情をよそに、指先は幽の体温を、柔らかな手の感触をこれでもかと言うほどに伝えてくる。
(どうか、バレませんように…!!)
この鼓動と緊張が、彼には気付かれないように。それだけを祈るのに、精一杯だった。
「─時間だね」
暫くして、幽はそっと遊馬崎の手を放した。その顔にはあの甘やかで穏やかな笑みは無く、無表情な顔に戻っていた。
「でも五分じゃ、そんなに温まらないかぁ…」
「そ、そんなことないっすよ!十分に温まったっす!!」
そう。時間にして僅か五分の出来事だった。でも遊馬崎には、永遠のように感じられたのだ。
「何かないかな…あっ」
ポケットを漁っていた幽が声をあげた。幽はそれを取り出すと、遊馬崎の手に乗せた。
「良かったら、使ってください」
それは、クリスマス仕様の初音ミクデザインが入ったカイロケースだった。中にはやっぱり、カイロが入っているのだろう。幽の体温とあいまって、とても温かい。
「じゃあ、俺はこれで」
「えっ、ちょっ、これどうすればいいんすか!?」
「使ってください。なんなら、そのまま差し上げます」
「それはさすがに悪いっすよ!?」
「なら、今度会った時にでも返していただければけっこうなので。じゃあ、今日は楽しんで来てください」
それだけ言うと、幽は颯爽とその場を去って行った。その姿は、あっと言う間に人波に紛れ見えなくなってしまった。
たったの、短時間の出来事だった。時計を見たら、まだ十分も経ってはいない。
なのに、すごくすごく、長い時間を過ごしたような、そんな気がしていた。
それに──
「っ…!」
幽の笑みが、脳裏に甦る。甘やかで穏やかな、見る者すべてを虜にしてしまいそうな柔らかな笑み。それは遊馬崎が見てきたどんな二次元の美少女たちをも凌駕する、完成された笑みだった。
(もし、叶うならもう一度──)
「ゆまっちー、お待たせー!!」
聞こえてきた相方とも言える女性の声に、遊馬崎の身体がビクリと跳ねた。同時に、思考も現実に戻された。
(お、俺は一体何を考えて…!?)
相手は男だ。それなのに、何でもう一度男の笑顔を見たいと考えた!?
「って、ゆまっち?顔紅いよ?」
「な、何でもないっす!」
「本当?」
「本当っす!!それよりも狩沢さん、早くゲーセン行くっす!」
「えっ、う、うん」
あれは単なる気の迷いだ、きっとそうに違いない。近くであんな美男子の表情を見たからの感情であって、決してヘンな意味はない。
そう結論づけ、でもその結論に些か寂しさのようなものを覚えつつ、遊馬崎は狩沢と共に歩き出した。
ふと手の中のカイロケースを見れば、デザインされたクリスマス仕様の初音ミクが目に入った。リボンのかかったプレゼントボックスを差し出す彼女、その中には何が入っているのだろう。
開けてみなくては、プレゼントは分からない。そして、遊馬崎自身の感情も。
彼がそれに気付くのは、まだまだ、先のことだった。
[END]
デュラララ!!で新境地開拓です。まさかの幽×ゆまっちですよぉおおっ!!検索かけても出てこなかったんだぜ、カスユマww開拓されたのは、某コスイベ時でした。コスイベって素晴らしいな、おい((
ゆまっちが乙女ですね…だれおま状態です。いや、幽もだれおま状態ですけどもwwそしてこの話の裏話ですが、この後ゆまっちは一部始終をバッチリ見ていた狩沢さんの質問攻めに遭いますwwゆまっち、頑張れwwあとごめんなさい、若宮ディーバプレイしたことありません…!!ディーバは見る専です。皆さんのプレイ見てヤベェって言ってる人です。幽もそんなノリです。でもボカロは好きです。KAITO兄さんイイよね。
何はともあれ、カスユマの輪よ広がれぇええ!!(呪文)
