デュラララ‼
七月七日、今日は七夕だ。
来神の昇降口にも、家庭科部が設置した飾られた笹が置いてある。昇降口には願い事を書くための短冊も置かれていた。
「ねぇ、アレみんなで書いてかない?」
新羅のその一言で、臨也達も願い事を書くことにした。
「『セルティとずっと一緒に居られますように…』っと…」
「新羅はホントにセルティしか考えてないんだな…」
「シズちゃんは何て書いてるのー?」
「見んなよ、バカ!!」
黙々と短冊を書いていた静雄から臨也は短冊を取り上げた。
「どれどれ…」
──洋菓子屋のプリンのタダ券貰えますように──
「…随分可愛らしい願いだね」
プリンのタダ券が欲しいだなんてシズちゃんらしい。そう思って笑うと臨也は静雄に頭を叩かれた。
「勝手に見んなよ、バカッ!!」
「ごめんごめん」
「プリンのタダ券って…静雄らしいな」
「門田も笑うな!」
顔を真っ赤にして静雄は叫んだ。
「じゃ、みんな書き終わったみたいだし吊そうよ」
みんなで外に出て、笹に短冊を飾っていく。
「ドタチンは何て書いたの?」
「とりあえず、好きな人と結ばれますようにって書いた」
「えっ、門田君って好きな人いたの!?初耳!!だれだれ!?」
「言わねえよ。てか新羅、目キラキラしすぎ」
「イヤそうなるって。ドタチンに好きな人いるとか意外」
「そう言えば臨也は何を書いたの?」
「えー、シズちゃんが死んでくれますように?」
「テメェ、今すぐこの場で殺してやろうか?」
そして始まるいつもの殺し合い。逃げる臨也を追いかけて静雄も何処かへ消えていった。
「元気だよねーあの二人」
「だよなぁ」
「で、門田君の好きな人って誰?」
「まだそれ言うか」
そんな会話をしつつ、新羅と門田の二人も帰路につくのだった。
───夜。誰もいない来神学園。
と、そこに一人の男子生徒が現れた。フェンスを軽々と越えて中に入り、まっすぐに昇降口の笹へと向かう。
そして、ポケットの中から紙を取り出し──
「何してるの?」
「!?」
突然響いた声に後ろを振り向く。そこにいたのは…
「臨也…」
「何してるの?シズちゃん?」
「…テメェには関係ないだろ」
「それ、飾るんでしょ?」
静雄の手に握られている紙を指さす。それは水色の短冊だった。
「俺もさ、短冊飾りに来たんだよ」
臨也がポケットから短冊を取り出す。静雄と同じ水色の短冊だった。
「どうせだから、シズちゃんが飾ってよ」
「なんで俺がテメェのを飾らなきゃなんねぇんだよ。夕方は自分でやってたくせに」
「だってどうでもいい願いだったからね。知ってる?シズちゃん。短冊って、高い所に飾れば飾るほど叶いやすくなるんだよ」
それが本当かは定かではないけれど。
「どうせそれもロクでもない願いなんだろ?」
「さぁ?結構本気の願いだけど」
「お前にも本気ってあるんだな…」
自分の短冊を飾りながら静雄はいう。臨也が短冊を差し出すと、静雄はそれも飾った。
「シズちゃんって、何気に優しいよね」
「うっせぇ」
「あ、待ってよシズちゃーん」
歩き出した静雄を追って臨也は走っていった。
二人並んで土手の道を歩く。
今日はせっかくの七夕だというのに、生憎空は曇りだ。
「空…曇ってんな…」
「そうだね。これじゃあ、織り姫と彦星会えないね」
「えっ、織り姫と彦星って七夕には必ず会えるんじゃないのか?」
静雄の言葉に臨也は一瞬驚くもすぐに納得した。
人の噂が形を変えていくように、七夕に纏わる織女星と牽牛星の伝承も少しずつ形を変えている。
静雄が知っているのは、その変わってしまった方なのだろう。
「それは違うよ。二人が会えるのは、七夕の晴れた夜だけ。目印である天の川が見える時だけなんだ」
それが本当の伝承だ。多分、これを聞いた誰かがそれを可哀想だと思い、必ず会えるとしたのだろう。
「そう…なのか…」
しゅんとなってしまった静雄が可愛くて。臨也は思わず意地悪をしてしまう。
「ねぇ、シズちゃん。もし俺達が彦星と織り姫だったらどうする?」
「え…どうって…」
「一年に一回、それも七夕の晴れた夜にしか会えないんだから。俺としては大嫌いなシズちゃんに会える回数が減るから、清々するんだけどな~……あれ?シズちゃん??」
いつもだったら何かしら言い返してくるハズなのに。それなのに何も言い返してこない静雄を見れば、俯いて肩を震わせていた。
「ちょっ、シズちゃん!?」
「……だ……」
「えっ…?」
「そんなの…俺はヤダ……。一年に一回しか会えないなんて…そんなのヤダ……」
ポロポロと涙を流す静雄の姿を臨也は不覚にも可愛いと思ってしまった。
「シズちゃん」
ギュッと、臨也は静雄を抱きしめた。身長が低いせいもあり、臨也が静雄に抱きついているように見えなくもないが、そんなことはどうでもいい。
「う…ひっく…い、臨也…?」
「俺だってホントはヤだよ。シズちゃんと一年に一回、しかも晴れた七夕の夜にしか会えないなんて…」
静雄の頬を両手でそっと包む。街灯で光る涙はとても綺麗で、それを流している静雄はもっと綺麗で。
「俺だったら七夕なんて待たずに、いつでもシズちゃんに会いに行くよ」
牽牛星は我慢強い奴だと臨也は思った。一年に一度しか会えないのは確かに自分たちに与えられた罰なのだろうけど、それでも、もしそれが自分だとしたら堪えられない。
こんなにも、目の前にいる唯一人が愛おしくてたまらないのに。いつだって触れていたいと思うのに。
「だからシズちゃん、泣かないでよ…」
そっと、静雄の唇にキスを落とす。フワフワとした唇はとても甘くて柔らかくて。思わず深くまで貪ってしまう。
「んっ…ふぅん…いざ…」
静雄が口を開けたタイミングで臨也が舌を入れる。唇だけじゃなく、静雄の舌も甘く柔らかくて。
静雄の全てが甘いことを臨也は知っている。知っているからこそ、一年に一度は堪えられそうにないのだ。
やがて離れた唇を、煌めく銀糸が結んだ。
「はっ……いざや……」
キスですっかりとろけてしまった静雄を臨也はギュッと抱き締める。コテンと肩に頭を乗せてくる静雄はすごく可愛くて。
ふと空を見上げれば、雲の間から晴れた夜空が見えた。
「シズちゃん、空見て」
臨也の声に静雄も空を見上げる。千切れた雲が晴れていき、次第に星空が見え始める。
「これなら、織り姫と彦星も会えるだろうね」
「うん…」
雲がなくなった空は、輝く星の大河を抱いていた。
「シズちゃん」
「なに…?」
「ずっと、一緒にいようね」
「…うん」
顔を赤くしながらも、嬉しそうに笑う静雄は可愛くて。
臨也は今一度、静雄の額にキスを落とし、心の中で呟いた。
──ごめんねドタチン。この可愛い織り姫は、俺だけのモノなんだ。
数年後、二人の七夕の願いは叶えられる。
[END]
せっかくなので七夕ネタのイザシズ書いてみました(^^)なんか、シズちゃんが乙女…。そしてドタチンの好きな人を分かってた臨也はすごい…。二人の願いって何なんだろうか?一応正解はあるけど、今はまだ皆様の想像にお任せです。
来神の昇降口にも、家庭科部が設置した飾られた笹が置いてある。昇降口には願い事を書くための短冊も置かれていた。
「ねぇ、アレみんなで書いてかない?」
新羅のその一言で、臨也達も願い事を書くことにした。
「『セルティとずっと一緒に居られますように…』っと…」
「新羅はホントにセルティしか考えてないんだな…」
「シズちゃんは何て書いてるのー?」
「見んなよ、バカ!!」
黙々と短冊を書いていた静雄から臨也は短冊を取り上げた。
「どれどれ…」
──洋菓子屋のプリンのタダ券貰えますように──
「…随分可愛らしい願いだね」
プリンのタダ券が欲しいだなんてシズちゃんらしい。そう思って笑うと臨也は静雄に頭を叩かれた。
「勝手に見んなよ、バカッ!!」
「ごめんごめん」
「プリンのタダ券って…静雄らしいな」
「門田も笑うな!」
顔を真っ赤にして静雄は叫んだ。
「じゃ、みんな書き終わったみたいだし吊そうよ」
みんなで外に出て、笹に短冊を飾っていく。
「ドタチンは何て書いたの?」
「とりあえず、好きな人と結ばれますようにって書いた」
「えっ、門田君って好きな人いたの!?初耳!!だれだれ!?」
「言わねえよ。てか新羅、目キラキラしすぎ」
「イヤそうなるって。ドタチンに好きな人いるとか意外」
「そう言えば臨也は何を書いたの?」
「えー、シズちゃんが死んでくれますように?」
「テメェ、今すぐこの場で殺してやろうか?」
そして始まるいつもの殺し合い。逃げる臨也を追いかけて静雄も何処かへ消えていった。
「元気だよねーあの二人」
「だよなぁ」
「で、門田君の好きな人って誰?」
「まだそれ言うか」
そんな会話をしつつ、新羅と門田の二人も帰路につくのだった。
───夜。誰もいない来神学園。
と、そこに一人の男子生徒が現れた。フェンスを軽々と越えて中に入り、まっすぐに昇降口の笹へと向かう。
そして、ポケットの中から紙を取り出し──
「何してるの?」
「!?」
突然響いた声に後ろを振り向く。そこにいたのは…
「臨也…」
「何してるの?シズちゃん?」
「…テメェには関係ないだろ」
「それ、飾るんでしょ?」
静雄の手に握られている紙を指さす。それは水色の短冊だった。
「俺もさ、短冊飾りに来たんだよ」
臨也がポケットから短冊を取り出す。静雄と同じ水色の短冊だった。
「どうせだから、シズちゃんが飾ってよ」
「なんで俺がテメェのを飾らなきゃなんねぇんだよ。夕方は自分でやってたくせに」
「だってどうでもいい願いだったからね。知ってる?シズちゃん。短冊って、高い所に飾れば飾るほど叶いやすくなるんだよ」
それが本当かは定かではないけれど。
「どうせそれもロクでもない願いなんだろ?」
「さぁ?結構本気の願いだけど」
「お前にも本気ってあるんだな…」
自分の短冊を飾りながら静雄はいう。臨也が短冊を差し出すと、静雄はそれも飾った。
「シズちゃんって、何気に優しいよね」
「うっせぇ」
「あ、待ってよシズちゃーん」
歩き出した静雄を追って臨也は走っていった。
二人並んで土手の道を歩く。
今日はせっかくの七夕だというのに、生憎空は曇りだ。
「空…曇ってんな…」
「そうだね。これじゃあ、織り姫と彦星会えないね」
「えっ、織り姫と彦星って七夕には必ず会えるんじゃないのか?」
静雄の言葉に臨也は一瞬驚くもすぐに納得した。
人の噂が形を変えていくように、七夕に纏わる織女星と牽牛星の伝承も少しずつ形を変えている。
静雄が知っているのは、その変わってしまった方なのだろう。
「それは違うよ。二人が会えるのは、七夕の晴れた夜だけ。目印である天の川が見える時だけなんだ」
それが本当の伝承だ。多分、これを聞いた誰かがそれを可哀想だと思い、必ず会えるとしたのだろう。
「そう…なのか…」
しゅんとなってしまった静雄が可愛くて。臨也は思わず意地悪をしてしまう。
「ねぇ、シズちゃん。もし俺達が彦星と織り姫だったらどうする?」
「え…どうって…」
「一年に一回、それも七夕の晴れた夜にしか会えないんだから。俺としては大嫌いなシズちゃんに会える回数が減るから、清々するんだけどな~……あれ?シズちゃん??」
いつもだったら何かしら言い返してくるハズなのに。それなのに何も言い返してこない静雄を見れば、俯いて肩を震わせていた。
「ちょっ、シズちゃん!?」
「……だ……」
「えっ…?」
「そんなの…俺はヤダ……。一年に一回しか会えないなんて…そんなのヤダ……」
ポロポロと涙を流す静雄の姿を臨也は不覚にも可愛いと思ってしまった。
「シズちゃん」
ギュッと、臨也は静雄を抱きしめた。身長が低いせいもあり、臨也が静雄に抱きついているように見えなくもないが、そんなことはどうでもいい。
「う…ひっく…い、臨也…?」
「俺だってホントはヤだよ。シズちゃんと一年に一回、しかも晴れた七夕の夜にしか会えないなんて…」
静雄の頬を両手でそっと包む。街灯で光る涙はとても綺麗で、それを流している静雄はもっと綺麗で。
「俺だったら七夕なんて待たずに、いつでもシズちゃんに会いに行くよ」
牽牛星は我慢強い奴だと臨也は思った。一年に一度しか会えないのは確かに自分たちに与えられた罰なのだろうけど、それでも、もしそれが自分だとしたら堪えられない。
こんなにも、目の前にいる唯一人が愛おしくてたまらないのに。いつだって触れていたいと思うのに。
「だからシズちゃん、泣かないでよ…」
そっと、静雄の唇にキスを落とす。フワフワとした唇はとても甘くて柔らかくて。思わず深くまで貪ってしまう。
「んっ…ふぅん…いざ…」
静雄が口を開けたタイミングで臨也が舌を入れる。唇だけじゃなく、静雄の舌も甘く柔らかくて。
静雄の全てが甘いことを臨也は知っている。知っているからこそ、一年に一度は堪えられそうにないのだ。
やがて離れた唇を、煌めく銀糸が結んだ。
「はっ……いざや……」
キスですっかりとろけてしまった静雄を臨也はギュッと抱き締める。コテンと肩に頭を乗せてくる静雄はすごく可愛くて。
ふと空を見上げれば、雲の間から晴れた夜空が見えた。
「シズちゃん、空見て」
臨也の声に静雄も空を見上げる。千切れた雲が晴れていき、次第に星空が見え始める。
「これなら、織り姫と彦星も会えるだろうね」
「うん…」
雲がなくなった空は、輝く星の大河を抱いていた。
「シズちゃん」
「なに…?」
「ずっと、一緒にいようね」
「…うん」
顔を赤くしながらも、嬉しそうに笑う静雄は可愛くて。
臨也は今一度、静雄の額にキスを落とし、心の中で呟いた。
──ごめんねドタチン。この可愛い織り姫は、俺だけのモノなんだ。
数年後、二人の七夕の願いは叶えられる。
[END]
せっかくなので七夕ネタのイザシズ書いてみました(^^)なんか、シズちゃんが乙女…。そしてドタチンの好きな人を分かってた臨也はすごい…。二人の願いって何なんだろうか?一応正解はあるけど、今はまだ皆様の想像にお任せです。
