鳥の唄(バッファローマン夢小説)
名前を変える
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
バッファローマンは冬の冴えたしじまが好きだ。
チイチイワアワアゴソゴソ、辺りをはばからずさんざめく小さい生き物たちが息を潜めるあの静けさが。
彼は寒さなど頓着しないし、夜闇のなかにさえ彼に危害を加えられるものなどありはしない。
その夜もコツコツと自分のたてる靴音だけを耳に留めながら家路をたどっていた。
そして見てしまった。
月のような明るさの水銀灯が作りだした円い輪の中心に横たわる小鳥のむくろ。
供物のようにそこに置き去りにされていた。
樹上にあった頃はふくふくと暖かな空気を蓄えていたであろう羽毛はすっかりしぼみ、いくらかは抜け落ちてそこに散らばっている。
縮こまった趾 とギュッとつむった眼。
小さな花びらみたいに散った血痕。
声には出さず哀れんだ。
マンションに帰りつき自宅のドアを開けると、たたきを上がってすぐの廊下で彼女が毛布にくるまっていた。
バッファローマンの気配にも気づかずうつ向いているのはうたた寝をしているのだろう。
傍らには四つに畳まれたぶ厚い毛布があった。
それは酒の飲みすぎで人事不省になって帰ってもなだめすかして寝床に運ぶことができないバッファローマンのために用意されたものだ。
風邪などまずひかないというのに。
むしろそれで彼女が体調を崩すことを避けたい。だから帰りが遅いときは気にせず休むようにと幾度も諭してきたが、いっかな聞き入れようとしないのだ。
そっと顔を近づければささやくような寝息が聞こえる。
顔にかかった髪をかき分けると宵の口に風呂にはいったのかシャンプーの香りが鮮やかに立ち上った。
「風邪ひくぞ」
呼びかけに向けられた眼差しは半ばまどろみのなかにいる。
「……ちょっと寝ちゃったみたい」
その瞬間、さっき見た小鳥のむくろと目の前の彼女がオーバーラップした。
小さくて頑固で一途な彼女。
あんな風にならないように掴まえておいてやらないと。
おかえりなさい、と照れ笑いしながら抱きついてきた彼女の額、まぶた、鼻、頬へとバッファローマンは順にキスをして、最後に唇を重ねた。
両手で頬をはさみこんで覆い被さるように相手の口内に舌を差し入れれば、無自覚だった柔らかさが次第に熱をともなって潤いをおびてくる。
息継ぎのために唇を離すと絡まりあって一つになった唾液が糸をひいた。
「……する?」
彼女の声は細い。
細いがよく通る。
それでもって耳元で低くささやかれると、煮えたぎるような熱が身体の下のほうからこみ上げてくる。
たまらずに固くなりつつあるそこへ相手の手をあてがった。
「聞くのか?」
雑作もなく抱え上げた身体を寝室にはこぶ。
唄うのをやめたあの小鳥のぶんまで彼女を鳴かせてやろうとバッファローマンは決めた。
End
(初出:pixiv 2022.01.23)
チイチイワアワアゴソゴソ、辺りをはばからずさんざめく小さい生き物たちが息を潜めるあの静けさが。
彼は寒さなど頓着しないし、夜闇のなかにさえ彼に危害を加えられるものなどありはしない。
その夜もコツコツと自分のたてる靴音だけを耳に留めながら家路をたどっていた。
そして見てしまった。
月のような明るさの水銀灯が作りだした円い輪の中心に横たわる小鳥のむくろ。
供物のようにそこに置き去りにされていた。
樹上にあった頃はふくふくと暖かな空気を蓄えていたであろう羽毛はすっかりしぼみ、いくらかは抜け落ちてそこに散らばっている。
縮こまった
小さな花びらみたいに散った血痕。
声には出さず哀れんだ。
マンションに帰りつき自宅のドアを開けると、たたきを上がってすぐの廊下で彼女が毛布にくるまっていた。
バッファローマンの気配にも気づかずうつ向いているのはうたた寝をしているのだろう。
傍らには四つに畳まれたぶ厚い毛布があった。
それは酒の飲みすぎで人事不省になって帰ってもなだめすかして寝床に運ぶことができないバッファローマンのために用意されたものだ。
風邪などまずひかないというのに。
むしろそれで彼女が体調を崩すことを避けたい。だから帰りが遅いときは気にせず休むようにと幾度も諭してきたが、いっかな聞き入れようとしないのだ。
そっと顔を近づければささやくような寝息が聞こえる。
顔にかかった髪をかき分けると宵の口に風呂にはいったのかシャンプーの香りが鮮やかに立ち上った。
「風邪ひくぞ」
呼びかけに向けられた眼差しは半ばまどろみのなかにいる。
「……ちょっと寝ちゃったみたい」
その瞬間、さっき見た小鳥のむくろと目の前の彼女がオーバーラップした。
小さくて頑固で一途な彼女。
あんな風にならないように掴まえておいてやらないと。
おかえりなさい、と照れ笑いしながら抱きついてきた彼女の額、まぶた、鼻、頬へとバッファローマンは順にキスをして、最後に唇を重ねた。
両手で頬をはさみこんで覆い被さるように相手の口内に舌を差し入れれば、無自覚だった柔らかさが次第に熱をともなって潤いをおびてくる。
息継ぎのために唇を離すと絡まりあって一つになった唾液が糸をひいた。
「……する?」
彼女の声は細い。
細いがよく通る。
それでもって耳元で低くささやかれると、煮えたぎるような熱が身体の下のほうからこみ上げてくる。
たまらずに固くなりつつあるそこへ相手の手をあてがった。
「聞くのか?」
雑作もなく抱え上げた身体を寝室にはこぶ。
唄うのをやめたあの小鳥のぶんまで彼女を鳴かせてやろうとバッファローマンは決めた。
End
(初出:pixiv 2022.01.23)
1/1ページ
