テキサス・サンライズ(キン肉マン二次小説)

序章

夜が溶けてゆく。地平線の彼方から朝が姿を表すと、空はたちまちにその佇まいを変え、曙色に染まった。
二人の屈強な男たちが馬上からその様を見つめていた。
馬の一頭はガッシリと太くたくましい。鞍上の人物もまた同様であった。見上げるほどの長身、膂力を感じさせる小山のような背中、盛り上がった二の腕の筋肉。そして素肌にレザーベストを羽織っている。彼は自分を真っ直ぐに射る橙色の朝陽に眼を細めると
「なあ、この眺めは大したモンじゃねえか?ウォーズ」
と、連れの男に問いかけた。
「バッファ、あまり長い時間直射日光を見つめていると眼を痛めるぞ」
バッファ、と呼びかけられた男は軽く肩をすくめた。
「ニンゲンの場合はな。オレにとっちゃ、どってことねえよ」
言葉通り彼は人間ではない。
超人だ。
クセの強い、アフロヘアのようにウェーブのかかった長髪、側頭からは有蹄類のような角が左右一本ずつ生えており、だからなのか、自らを『バッファローマン』と名乗っている。
太陽の直視をたしなめた男、彼もまた超人だ。
名を『ウォーズマン』。
褐色の肌に金属製のヘルメット。胸部、腰部、腕と脚にはプロテクターをつけている。ヘルメットの下には金属の仮面をつけていて、本来の顔立ちは少しも窺うことができない。両眼のスリットからは赤い光がのぞいていた。
その全身が、立ち上った朝陽を反射してキラリと光った。
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