DRIVE(バッファローマン夢小説)
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二人を乗せたトリノコンバーチブルは左側に海を眺めながら、七月の温い空気をかき分けてハイウェイをゆるやかに駆けていた。
「ひとっ走りつきあえよ」
いつだってバッファローマンは、その朝急に思ついたかのように彼女をドライブに誘う。
「今日は絶対雨が降らない天気」かつ「バッファローマンの予定がなにもない」
そんな日でないと行くことが出来ないので、当日になってみるまで判らないというのが実際のところだ。
仮に彼女がそれに付き合えなかったとしても、彼が気分を害することは決してない。
バッファローマンはいつだって豪放磊落で、誘いはするけれども強制ではないし、彼女が否といえば気にもとめずに独りで走りに行ってしまう。けれども彼女はいつだって二人で出かけたくて仕方ない。
今日、バッファローマンはハイビスカス柄の明るい赤のアロハシャツ、白いパンツ、黒のヌバックでできたドライビングシューズ。それから、レイバンのティアドロップのサングラス。
その出で立ちをうっとりと眺める彼女は空色のロング丈のフレアのワンピース。左右のウエストからリボンが垂れていて、後ろできゅっと蝶々に結ぶ。自分ではできないフリをして、バッファローマンに結んでもらうのが密かな楽しみだった。
海が目の前に現れてしばらくたった頃、背後から複数のエキゾーストノートが聞こえてきた。
彼女が小さく振り返ると、黒いオートバイの集団が駆けてくるところだった。
乗っているのは全員が中高年の男たちだった。やや腹が出ている者、削ぎ落としたように痩せている者。こころもち身体を後ろに引いてシートに座っている。
皆がマシンを操ることを楽しんでいた。
「バイク、カッコいい!」
「ハーレーだ、イカしてるな」
彼らが二人に追いついてくると、バッファローマンはバカでかい車体が彼らの妨げにならないよう、心もちスピードを落とし、左によって「先に行け」と手を降って合図を送った。
ハーレーの一団は追い抜きざま、親指を一本たて、サムズアップのジェスチャーを二人に送り、バッファローマンも同じくサムズアップでそれに応えた。
クロームで出来たハーレーの排気管が陽光を浴びてギラリと光る。
排気ガスの臭いを残して、鋼鉄の獣たちが走り去っていった。
それからしばらくして、静寂に飽いたバッファローマンが、ミュージックテープをカセットデッキに放り込んだ。デッキはカシャ、という音をたててテープを飲み込んだ。
その音は、いつも彼に昔の仲間を思い起こさせる。今となってはちょっとレトロでコミカルだけれども、いざとなれば恐ろしい姿にたちまち変わってしまう、あの悪魔超人。
レーナード・スキナーの「Free Bird」が流れ始めた。
水平線と平行に続くハイウェイを滑らかにトリノコンバーチブルは走る。
突き抜けるような青い空、髪をさらって吹き抜けていく風。かすかに感じる潮の香りはすっかり夏の雰囲気だ。
「いい風だけが吹いてるね」
「今日は上手いこと言うな、おまえ」
バッファローマンは彼女の頭をくしゃくしゃと撫でた。
その仕草に彼女の胸は痛いほど締め付けられ、自分は心底、彼を愛しているのだと改めて思い知る。
――このまま。
このまま、誰にも追い付けないスピードで世界の涯までつれていって欲しい。この世が終わってしまうまで、二人だけでずっとずっとそこで暮らすのだ。
凪いだ海を眺めながら小半時ほど走った。
「もう少し走ったらメシにするか」
バッファローマンはギアを上げ、アクセルを踏み込む。
二人の旅はもう少し続く。
「ひとっ走りつきあえよ」
いつだってバッファローマンは、その朝急に思ついたかのように彼女をドライブに誘う。
「今日は絶対雨が降らない天気」かつ「バッファローマンの予定がなにもない」
そんな日でないと行くことが出来ないので、当日になってみるまで判らないというのが実際のところだ。
仮に彼女がそれに付き合えなかったとしても、彼が気分を害することは決してない。
バッファローマンはいつだって豪放磊落で、誘いはするけれども強制ではないし、彼女が否といえば気にもとめずに独りで走りに行ってしまう。けれども彼女はいつだって二人で出かけたくて仕方ない。
今日、バッファローマンはハイビスカス柄の明るい赤のアロハシャツ、白いパンツ、黒のヌバックでできたドライビングシューズ。それから、レイバンのティアドロップのサングラス。
その出で立ちをうっとりと眺める彼女は空色のロング丈のフレアのワンピース。左右のウエストからリボンが垂れていて、後ろできゅっと蝶々に結ぶ。自分ではできないフリをして、バッファローマンに結んでもらうのが密かな楽しみだった。
海が目の前に現れてしばらくたった頃、背後から複数のエキゾーストノートが聞こえてきた。
彼女が小さく振り返ると、黒いオートバイの集団が駆けてくるところだった。
乗っているのは全員が中高年の男たちだった。やや腹が出ている者、削ぎ落としたように痩せている者。こころもち身体を後ろに引いてシートに座っている。
皆がマシンを操ることを楽しんでいた。
「バイク、カッコいい!」
「ハーレーだ、イカしてるな」
彼らが二人に追いついてくると、バッファローマンはバカでかい車体が彼らの妨げにならないよう、心もちスピードを落とし、左によって「先に行け」と手を降って合図を送った。
ハーレーの一団は追い抜きざま、親指を一本たて、サムズアップのジェスチャーを二人に送り、バッファローマンも同じくサムズアップでそれに応えた。
クロームで出来たハーレーの排気管が陽光を浴びてギラリと光る。
排気ガスの臭いを残して、鋼鉄の獣たちが走り去っていった。
それからしばらくして、静寂に飽いたバッファローマンが、ミュージックテープをカセットデッキに放り込んだ。デッキはカシャ、という音をたててテープを飲み込んだ。
その音は、いつも彼に昔の仲間を思い起こさせる。今となってはちょっとレトロでコミカルだけれども、いざとなれば恐ろしい姿にたちまち変わってしまう、あの悪魔超人。
レーナード・スキナーの「Free Bird」が流れ始めた。
水平線と平行に続くハイウェイを滑らかにトリノコンバーチブルは走る。
突き抜けるような青い空、髪をさらって吹き抜けていく風。かすかに感じる潮の香りはすっかり夏の雰囲気だ。
「いい風だけが吹いてるね」
「今日は上手いこと言うな、おまえ」
バッファローマンは彼女の頭をくしゃくしゃと撫でた。
その仕草に彼女の胸は痛いほど締め付けられ、自分は心底、彼を愛しているのだと改めて思い知る。
――このまま。
このまま、誰にも追い付けないスピードで世界の涯までつれていって欲しい。この世が終わってしまうまで、二人だけでずっとずっとそこで暮らすのだ。
凪いだ海を眺めながら小半時ほど走った。
「もう少し走ったらメシにするか」
バッファローマンはギアを上げ、アクセルを踏み込む。
二人の旅はもう少し続く。
