DRIVE(バッファローマン夢小説)
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1970年式フォード・トリノGT・2ドアコンバーチブル、紺のボディカラー。
それが、バッファローマンがとても大切にしている彼のクルマだった。
2シートで幌のついた大きなそのマシンは、20世紀の後半にアメリカで生産された。
時流からは完全に外れているものの、クラシックカーと呼ばれるにはまだ若いその車を、バッファローマンはとても気に入っている。
でかくて、うるさくて、無駄に大飯食らいなところが自分そっくりだ、といつも思う。
「法的な解釈」から言えば、バッファローマンはクルマに乗ることができる。
地球に在住する超人は、宇宙超人委員会を窓口として、主たる在籍国の「自動車運転免許証」を取得することが可能だ。彼の場合は以前居住していたスペインの「自動車運転免許証」を元にして、日本の「国際運転免許証」を取得している。
「物理的な解釈」から言えば、バッファローマンがクルマに乗ることは極めて難しい。
身長250cm、プラスしてロングホーン。その上半身を納めることの出来る車内高をもつ車種は殆んどないと言える。おまけに220kgの体重。その重量を支えてドライバーのリクエストに応えるには余程ポテンシャルが高くなくてはならない。
幌を取り外すことが出来て――つまりは天井がなくて、ハイパワーを持つマシン。
それが、V型8気筒360馬力のトリノGT・コンバーチブルだった。
ではあるものの、彼が乗れば幌はつけられないから雨の日にはもちろん乗れない。オーバーヒートが怖いので本当の真夏にも乗れない。ヒーターはあるがエアコンはついていない。もちろん、新式のカーオーディオなんて載せられない。申し訳程度のカセットデッキとカーラジオがついているだけ。
ないない尽くしのない尽くし。おまけに燃費もすこぶる悪い。
「どうしてそんな不便なクルマに乗るのだ」と彼女がたずねたことがあった。
「何でも思い通りになったらつまらないだろ」とバッファローマンは答えた。
雨の日にはクルマを磨く。マンションの地下の駐車場の片隅で。
車体に極力負担をかけないようにするため、洗車もしないしワックスもかけない。だから雨でも全く問題はない。軽く絞ったウエスで、傷をつけないよう一方向に拭き、仕上げに今度は固く絞ったウエスで同じように拭きあげる。
着古したシャツとオーバーオールのジーンズで作業をするバッファローマンは、いつも嬉しそうだ。その間、彼女は車内の掃除をする。
「赤いクルマのほうが似合うのに」
「トリノのシリーズでも他のやつは割りと残ってるが、このタイプはカラーが選べるほど、タマが残ってねえのさ……もしかしたら、いつか、コイツは最後の一台になるかもしれないな」
哀れむような、慈しむような眼差しで、バッファローマンは紺色のボディを磨く。
それが、バッファローマンがとても大切にしている彼のクルマだった。
2シートで幌のついた大きなそのマシンは、20世紀の後半にアメリカで生産された。
時流からは完全に外れているものの、クラシックカーと呼ばれるにはまだ若いその車を、バッファローマンはとても気に入っている。
でかくて、うるさくて、無駄に大飯食らいなところが自分そっくりだ、といつも思う。
「法的な解釈」から言えば、バッファローマンはクルマに乗ることができる。
地球に在住する超人は、宇宙超人委員会を窓口として、主たる在籍国の「自動車運転免許証」を取得することが可能だ。彼の場合は以前居住していたスペインの「自動車運転免許証」を元にして、日本の「国際運転免許証」を取得している。
「物理的な解釈」から言えば、バッファローマンがクルマに乗ることは極めて難しい。
身長250cm、プラスしてロングホーン。その上半身を納めることの出来る車内高をもつ車種は殆んどないと言える。おまけに220kgの体重。その重量を支えてドライバーのリクエストに応えるには余程ポテンシャルが高くなくてはならない。
幌を取り外すことが出来て――つまりは天井がなくて、ハイパワーを持つマシン。
それが、V型8気筒360馬力のトリノGT・コンバーチブルだった。
ではあるものの、彼が乗れば幌はつけられないから雨の日にはもちろん乗れない。オーバーヒートが怖いので本当の真夏にも乗れない。ヒーターはあるがエアコンはついていない。もちろん、新式のカーオーディオなんて載せられない。申し訳程度のカセットデッキとカーラジオがついているだけ。
ないない尽くしのない尽くし。おまけに燃費もすこぶる悪い。
「どうしてそんな不便なクルマに乗るのだ」と彼女がたずねたことがあった。
「何でも思い通りになったらつまらないだろ」とバッファローマンは答えた。
雨の日にはクルマを磨く。マンションの地下の駐車場の片隅で。
車体に極力負担をかけないようにするため、洗車もしないしワックスもかけない。だから雨でも全く問題はない。軽く絞ったウエスで、傷をつけないよう一方向に拭き、仕上げに今度は固く絞ったウエスで同じように拭きあげる。
着古したシャツとオーバーオールのジーンズで作業をするバッファローマンは、いつも嬉しそうだ。その間、彼女は車内の掃除をする。
「赤いクルマのほうが似合うのに」
「トリノのシリーズでも他のやつは割りと残ってるが、このタイプはカラーが選べるほど、タマが残ってねえのさ……もしかしたら、いつか、コイツは最後の一台になるかもしれないな」
哀れむような、慈しむような眼差しで、バッファローマンは紺色のボディを磨く。
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