小さな死(キン肉マンビッグボディ夢小説)
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私たちは共に夜を過ごすとき、たいていは別々に眠る。もちろん寝室は同じだけど。ビッグボディはもともとあった彼専用のベッドで、わたしはあとから買った(ここは彼の家だから)人間サイズのベッドだ。大きなほうのベッドは超重量級超人向けのもので、身長240センチ、体重215キロという圧巻の巨躯をそなえたビッグボディでも、ゆうゆう身体を伸ばせるようにつくられている。だからわたしがそうしようと思えば、彼のとなりに寝れないことはない。むしろスペースはたっぷりあるし、何度かそうせがんでもみた。だけどビッグボディは「もしもオレの寝返りかなにかでおまえにケガでもさせたら、オレは自分が許せなくなる」と言って、頑としてそれを許してくれない。
それでもやっぱり身体を重ねたあとは、肌を触れあわせて眠りたい。それはビッグボディも同じなようで、そういう夜だけは二人で一つの寝床で朝をむかえている。
今夜もまたそんな一夜だった。ついさっきまでの欲望と熱情はすっかりおさまって、わたしは心地よい気だるさと、トロリとした眠気に包まれていた。天気予報では「今夜はこの冬一番の冷えこみ」と警報のようにくり返していたけれど、このピンク色のおおきな身体にぴったりと寄りそっていれば、まるで春の宵のような温かさだ。
ビッグボディもそろそろ本格的な眠りにおちようとしているのだろう。ついさっきまでせわしなく隆起と沈降をくり返していた厚い胸板、ゆるゆるとした動きに変わっている。その胸のうえで、彼の両の手は祈りのように組みあわされている。それは不用意にうごかした腕があたって、わたしが痛い思いをしないようにという、彼の気づかいだ。そう、ビッグボディはどこまでも優しいのだ。
おだやかな優しさは時おりほんの少し退屈で、それでもしみじみと泣きたくなる。だからわたしは戒めのように組んだその手をほどいて、覆いかぶさるようにして、厚い胸板にうつ伏せる。すると、もはや夢うつつのビッグボディは、丸太のような太い腕でしっかりとわたしを抱えこむのだ。大切な何かをけして失うまいとする幼子みたいに。ふれあう肌越しに感じる力強い鼓動。呼応するように強い眠気が意識を染めてゆく。
交わりのあとでむかえる眠りのことを、どこかの国では「小さな死」と呼ぶのだそうだ。
温かくて暗い、二人で迎える小さな死。
今夜、わたしたちはきっと同じ夢をみるだろう。
end
(2026.01.11 書き下ろし)
それでもやっぱり身体を重ねたあとは、肌を触れあわせて眠りたい。それはビッグボディも同じなようで、そういう夜だけは二人で一つの寝床で朝をむかえている。
今夜もまたそんな一夜だった。ついさっきまでの欲望と熱情はすっかりおさまって、わたしは心地よい気だるさと、トロリとした眠気に包まれていた。天気予報では「今夜はこの冬一番の冷えこみ」と警報のようにくり返していたけれど、このピンク色のおおきな身体にぴったりと寄りそっていれば、まるで春の宵のような温かさだ。
ビッグボディもそろそろ本格的な眠りにおちようとしているのだろう。ついさっきまでせわしなく隆起と沈降をくり返していた厚い胸板、ゆるゆるとした動きに変わっている。その胸のうえで、彼の両の手は祈りのように組みあわされている。それは不用意にうごかした腕があたって、わたしが痛い思いをしないようにという、彼の気づかいだ。そう、ビッグボディはどこまでも優しいのだ。
おだやかな優しさは時おりほんの少し退屈で、それでもしみじみと泣きたくなる。だからわたしは戒めのように組んだその手をほどいて、覆いかぶさるようにして、厚い胸板にうつ伏せる。すると、もはや夢うつつのビッグボディは、丸太のような太い腕でしっかりとわたしを抱えこむのだ。大切な何かをけして失うまいとする幼子みたいに。ふれあう肌越しに感じる力強い鼓動。呼応するように強い眠気が意識を染めてゆく。
交わりのあとでむかえる眠りのことを、どこかの国では「小さな死」と呼ぶのだそうだ。
温かくて暗い、二人で迎える小さな死。
今夜、わたしたちはきっと同じ夢をみるだろう。
end
(2026.01.11 書き下ろし)
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