ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(鍵、ミルク、三日月)

2025/10/05 20:41
屋根裏部屋にひとつだけある窓(正しくは古くなって木が割れたのに、枠をつけてただけ)に、月明かりが細く差し込む。今夜は三日月。私はホットミルクを啜りながら、双子の妹が部屋に来るのを待っている。鍵は家畜の餌を溜め込んだ倉庫、藁葺きの中に隠してきた。私たち双子の、特別な夜遊び。片方が屋根裏部屋の鍵を隠して、部屋で鍵をかけて待つ。片方が鍵を見つけてきて、開錠して部屋に来る。もうそろそろ、来てもいい頃。
「お姉ちゃん、ただいま」
「おかえり。今日も早かったね」
「だって分かりやすすぎだもん」
笑みを交わして、まだ温かいミルクを差し出す。ミルクを啜りながら、三日月と星を眺める。眠気が来るが、そのままここで寝てしまうと雇い主の奥さんに怒鳴られてしまう。
「部屋に戻ろう」 
妹が少し寂しそうにしながら、頷く。誰も近寄らない屋根裏部屋の鍵。これだけが私達の宝物。私達が切っても切れない双子なことの証明。次の夜も、その次の夜も。肩を寄せ合い、ここから不恰好に切り取られた、月明かりを浴びるんだ。

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