ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(時計仕掛け、血の匂い、子守唄)

2025/09/27 15:27
※一次創作「全ての梟が眠る夜に」試運転

終わりは時計仕掛けのようにやってくる。ナオトの枕元、フクロウはくつろぐように座るが目は閉じない。あと、何日だ。ここはあと何日で終わる世界なのか。
「シャワー、先にいいか?」
カイが私に尋ねる。拳銃に血の匂いはしないが、血を吸い込んだ泥は臭いのだろう。帰り道、ずっと顔を顰めていた。
「かまわない」
「ナオトは?寝たか?」
「すっかりおやすみ中だ」
子守唄がいらなくなったのはいいねぇ。カイが機嫌良さげに呟き、シャワー室に消える。彼にもまた、なにか償わなければならないだろう。ナオトを神に引き上げ、彼との思い出は消されてしまった。それでも変わらず、彼はナオトについてきた。ナオトが神であることへの理解は、半信半疑だ。
「はぁー血の匂いってのは、残るなぁ」
ハーフパンツだけの姿で、髪も濡れたまま。ベッドの縁に座ると、ナオトの梟にちょっかいを出す。指を噛ませたり、突いたり。梟が笑っているように見えた。
「お前もシャワー、浴びてこいよ」
カイが私の入浴を促す。動かずにいると、カイは俺と顔を合わせた。
「疲れた顔してんぞ。洗い流せねぇもんばっかだがよ、とりあえず水で流したほうがいい」
洗い流せないものとは。なにを指しているのだろう。訊ねるのは怖くて、私はシャワー室に引っ込んだ。生ぬるい水が、身体を洗い流していく。本来、それ以上の意味は持たない行為。それでも、気分は軽くなる。ーーあの男、カイの言葉がナオトにも影響しているのは明らかだ。ならば。なればこそ。カイには終わりまで、立ち会ってもらわなければならないだろう。イレギュラーの発生に戸惑いながら、それでもナオトに友達がいてよかったと思った。時計仕掛けを狂わせるマジックを、ほんの少し期待した。

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