ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(ガラスの靴、雨宿り、蜃気楼)
2025/09/20 10:01突然の豪雨、髪もびしょ濡れでスーツはぐっしょりと重たい。今時には珍しい、ひさしのあるお店を見つけてお邪魔する。ガラス張りで店内の様子がよく見える。どうやら、骨董屋らしい。骨董品には際して興味がないが、お店の老人(男性が女性か、判別がつかない)と目が合ってしまい、微笑むものだから店の中に入った。ごちゃごちゃした陳列棚、足元まで瀬戸ものやら陶磁器やらで溢れている。そんな中で目を引いたのは、子供サイズのガラスの靴。なにに使うもの?置物なのだろうが、それにしては履けそうなくらい緻密に、つま先まで空洞があるのだ。手の指で中に触れると、ぐら、と大きな揺れと音。店主を見やれば、微笑むばかり。店の中から、外を伺う。雨なのに、蜃気楼のように歪んで、騎乗した何かのシルエットが見える。直感、まずいと思った。ガラスの靴を棚に戻す。馬の嘶きが聞こえた気がするが、歪んだ景色は元に戻り、雨音だけとなった。
「いいのかい」
声を聞いても、店主の性別は判断出来なかった。
「すみません」
「もう何十年も持ち主を探してんだけどね」
会釈をして、店を出た。先ほどよりは降りが弱まった。早足で駅まで。駅に着いたら、骨董店がどこにあったのか分からなくなっていた。忘れよう。御伽話に付き合う道理はないもの。
「いいのかい」
声を聞いても、店主の性別は判断出来なかった。
「すみません」
「もう何十年も持ち主を探してんだけどね」
会釈をして、店を出た。先ほどよりは降りが弱まった。早足で駅まで。駅に着いたら、骨董店がどこにあったのか分からなくなっていた。忘れよう。御伽話に付き合う道理はないもの。
