ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(鍵穴、月明かり、声の主)
2025/09/17 22:46(ここからだして)
幼い頃から、胸に響く声があった。決まって月明かりのまばゆい満月の夜に。月の満ち欠けに関係なく、両親は夜中に自由になどさせてはくれない。そのことは当然だと分かりながら、胸に響く声がだんだんと大きくなるのが怖くて。満月の夜には、耳を塞ぎながら早めに寝ていた。
15の夜、夢の中で鍵を拾った。なにか宝石が嵌めてあったような窪みがあり、錆びついている。握ったまま、目覚めてしまうと、手の中に鍵がある。月明かりが私の部屋に差し込む。しんしんと冷える夜なのに、窓は開いていて。あぁ、何故だろう?窓の下に鍵穴がある。今まで気付かなかったのが不思議だ。
(ここからだして!!)
声が大きくなり、頭がズキズキとする。私は差し出すように鍵穴に鍵を差し込み、回した。バキッと壁が割れて、夜風が部屋に入り込む。真っ黒な影の狼が、赤い宝石を咥えている。狼は、宝石を私の手の上に寄越した。
「ありがとな、お嬢さん。へっへっへ」
胸に響いてた声とは真逆の、低くて下卑た声だった。アオーンと狼は遠吠えを吹く。満月が雲に隠れた隙に、狼は窓の外へ駆け出していった。私が助けたかった声の主は、本当にあの狼なのだろうか?手の中の赤い宝石を月明かりに照らすと、私まで魅入られそうだった。
幼い頃から、胸に響く声があった。決まって月明かりのまばゆい満月の夜に。月の満ち欠けに関係なく、両親は夜中に自由になどさせてはくれない。そのことは当然だと分かりながら、胸に響く声がだんだんと大きくなるのが怖くて。満月の夜には、耳を塞ぎながら早めに寝ていた。
15の夜、夢の中で鍵を拾った。なにか宝石が嵌めてあったような窪みがあり、錆びついている。握ったまま、目覚めてしまうと、手の中に鍵がある。月明かりが私の部屋に差し込む。しんしんと冷える夜なのに、窓は開いていて。あぁ、何故だろう?窓の下に鍵穴がある。今まで気付かなかったのが不思議だ。
(ここからだして!!)
声が大きくなり、頭がズキズキとする。私は差し出すように鍵穴に鍵を差し込み、回した。バキッと壁が割れて、夜風が部屋に入り込む。真っ黒な影の狼が、赤い宝石を咥えている。狼は、宝石を私の手の上に寄越した。
「ありがとな、お嬢さん。へっへっへ」
胸に響いてた声とは真逆の、低くて下卑た声だった。アオーンと狼は遠吠えを吹く。満月が雲に隠れた隙に、狼は窓の外へ駆け出していった。私が助けたかった声の主は、本当にあの狼なのだろうか?手の中の赤い宝石を月明かりに照らすと、私まで魅入られそうだった。
