ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(改札口、落とし物の手袋、ネオン)※長め
2025/09/15 13:185連勤終えて、せっかくの休日なのにな!土日で改札口がごったがえす新宿。落とし物に気付いて立ち止まれば、不機嫌そうな人に思い切りぶつかられて、チッと舌打ちをもらう。ほんとに、優しさを忘れた街だよここは。ため息を吐きながらも、落とし物を確認する。季節外れのもこもこした手袋は、幼い子供の物のようだ。名前がしっかり書いてある。……音音?なんて呼ぶんだろう、よっぽど音楽が好きな家族の元に生まれたのかな?会ってみたい衝動に駆られるが、あと私に出来ることはみどりの窓口に届けることくらいだ。人混みを掻き分けながら、みどりの窓口に行く。ちょうど、落とし物の問い合わせをしてる男性がいる。
「子供用の手袋で……音音と書いてネオンと読むんですが」
「あ、これですよね?」
たまらず、男性に語りかける。男性は私の持つ手袋を目に止めると、ぱっと花咲くように笑った。表情が明るくて分かりやすい人だ。窓口から少し離れて、手袋を返す。
「ありがとうございます。うちの子、季節が変わってもこの手袋がお気に入りで、手放さないんですよ」
「そうなんですね!あの、お名前なんでネオンちゃんなんですか?」
少し失礼だろうか。プライバシーに踏み込みすぎ?でもどうしても気になって。男性は笑みを崩さない。
「俺たち夫婦はネオン街で出会ったのに。音音は盲目で生まれたんですよ」
さらっと告げられたことに、ぽかんと言葉を忘れる。男性は少し寂しそうな影を纏えど、笑みを称えたまま。
「音音の人生が悲劇になんてならないように、名前を決めたんです」
「…………それは、とても幸福なお名前ですね」
でしょう!と、男性は誇らしげな笑顔に変えて。
「お手数おかけしました!拾ってくれてありがとう」
「こちらこそ、素敵なお話をありがとうございました」
男性が新宿の街に溶けていく。私は天を仰いで。優しさを忘れたのは、私の方なのかも。私は日傘を差して、人混みの中に踏み込んだ。日差しも人混みも厳しいが、なんとか自分を失わずいよう。今日のことは、きっと握り締めて忘れないと思う。帰りの改札をすり抜けても、ちゃんと持ち帰る。今度ここに来る時も、きっと。覚えていたい。
「子供用の手袋で……音音と書いてネオンと読むんですが」
「あ、これですよね?」
たまらず、男性に語りかける。男性は私の持つ手袋を目に止めると、ぱっと花咲くように笑った。表情が明るくて分かりやすい人だ。窓口から少し離れて、手袋を返す。
「ありがとうございます。うちの子、季節が変わってもこの手袋がお気に入りで、手放さないんですよ」
「そうなんですね!あの、お名前なんでネオンちゃんなんですか?」
少し失礼だろうか。プライバシーに踏み込みすぎ?でもどうしても気になって。男性は笑みを崩さない。
「俺たち夫婦はネオン街で出会ったのに。音音は盲目で生まれたんですよ」
さらっと告げられたことに、ぽかんと言葉を忘れる。男性は少し寂しそうな影を纏えど、笑みを称えたまま。
「音音の人生が悲劇になんてならないように、名前を決めたんです」
「…………それは、とても幸福なお名前ですね」
でしょう!と、男性は誇らしげな笑顔に変えて。
「お手数おかけしました!拾ってくれてありがとう」
「こちらこそ、素敵なお話をありがとうございました」
男性が新宿の街に溶けていく。私は天を仰いで。優しさを忘れたのは、私の方なのかも。私は日傘を差して、人混みの中に踏み込んだ。日差しも人混みも厳しいが、なんとか自分を失わずいよう。今日のことは、きっと握り締めて忘れないと思う。帰りの改札をすり抜けても、ちゃんと持ち帰る。今度ここに来る時も、きっと。覚えていたい。
