ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(ビー玉、廃工場、手紙)
2025/09/10 21:43半年前に別れた恋人からの手紙に入っていた地図を頼りに、見知らぬ街までやってきた。海岸線を辿ると、廃工場が並ぶ通りがあり、地図にはそこが目的地と書いてあった。立ち入り禁止の札を無視して、中に入ると、足元に転がるビー玉。青いビー玉、赤いビー玉、黄色、桃、紫。カラフルなビー玉が、コンテナボックスから逃げ出している。拾い上げて陽にかざせば、ひび割れた部分に光が反射して綺麗。床に置きっぱなしはあんまりだから、拾い集めてコンテナに戻す。ジャラジャラとガラスがぶつかり合う音。なんだか楽しくなって、ここにいる意味を忘れてしまう。僕は顔だけで微笑んだ。
「なに笑ってるの……?」
馴染みある声に振り返ると、包丁を握り込んだ彼女が、昔の恋人がいる。僕は笑ったまま首を傾げる。
「だって、こんなにも素敵な場所じゃないか」
「……意味が分からない!!元カノからの手紙で、こんな怪しい場所!!来るなんてどうかしてるわ!!」
「??だから、僕のこと好きなんでしょう??」
それを聞いて、彼女は青ざめ……包丁を投げ捨てて小さな悲鳴を工場に響かせながら、走ってこの場を去った。包丁を拾う、その時にうっかり指を切った。どうにも、僕はうっかり屋で楽天家で。ありのままで幸せなのに、どうにも響き合えなくて。少し悲しくなって、血濡れた指でひとつだけビー玉を盗んで、誰かに見つかる前に帰ったんだ。波の音さざめく海岸線が、闇に僕を誘うようだった。
「なに笑ってるの……?」
馴染みある声に振り返ると、包丁を握り込んだ彼女が、昔の恋人がいる。僕は笑ったまま首を傾げる。
「だって、こんなにも素敵な場所じゃないか」
「……意味が分からない!!元カノからの手紙で、こんな怪しい場所!!来るなんてどうかしてるわ!!」
「??だから、僕のこと好きなんでしょう??」
それを聞いて、彼女は青ざめ……包丁を投げ捨てて小さな悲鳴を工場に響かせながら、走ってこの場を去った。包丁を拾う、その時にうっかり指を切った。どうにも、僕はうっかり屋で楽天家で。ありのままで幸せなのに、どうにも響き合えなくて。少し悲しくなって、血濡れた指でひとつだけビー玉を盗んで、誰かに見つかる前に帰ったんだ。波の音さざめく海岸線が、闇に僕を誘うようだった。
