ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(もの思う鳥たち、笑えないジョーク、お守りの石)

2025/09/09 09:13
「あんたさ、鳥ばっかり見てるから、鳥頭なんじゃないの?」
窓際の席が好きだった。静かだし、ちょうどいい高さに太めの枝があって、小鳥がよく止まりに来ていた。僕は上司に言い返せずも、ずっと頭の中で反論した。窓の外の鳥を見てるからといって、仕事は手を抜いていない。鳥頭って言われるくらいは、忙しくて周りを気遣えない。僕が鳥を見てるってことに気付いてるのはおそらく上司くらいのもので、上司が1番仕事をしていないのはみんな知ってる。みんな僕と目は合わせない。けれど、憐れみの熱はなんとなく肩に感じる。ここは堪えどきだ、サラリーマン。元カノがくれたパワーストーンをなんとなしに握る。彼女も僕の仕事が忙しくて去っていった。あぁ、なんて無常。力なく虚な目で、黙って上司を見た。上司はひっと背筋がつんのめったようになって、「ま、まぁ今日のところは」とお茶を濁して去っていった。ほっと胸を撫で下ろし、振り返って驚いた。かなりの数の小鳥が、窓際に殺到していた。今度は僕が冷や汗をかく。
「笑えないジョークの種にされて、ごめんね。もう大丈夫、僕も大丈夫だから、ね」
窓をコン、と叩くと、小鳥たちはもの思いに耽るように、首を傾げながら少しずつ飛び立っていった。僕はなぜだか、彼女に会いたくなって、お守りの石を撫でていた。

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